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「私さ、今のとこ引き払って真宙のとこに住むことにしたんだよね。その方が節約できるし、二人で結婚資金も貯めなきゃいけないしね。で、真宙も車持ってるし、二台もいらないでしょ。この車、すっごく気に入って買ったやつだから売りたくないんだ! お姉ちゃんが持っていてくれたら、私が乗りたい時に乗りに来れるでしょ!」
「え~、いらないよ、車なんて。公共機関で移動する方が便利だし、それに車は維持費がかなりかかるじゃん!」
「まあ、そう言わず、とりあえず乗ってから決めてよ。はい、これ鍵。」
車なんて、本当に必要ないのに…。
浩太と別れた今、一緒にドライブする相手すらいないのに…。
「あ、ちょっと保険どうなんてんのよぉ~!」
絵美香に聞こうと思ったら、もういなくなっていた。
どうせ彼氏のとこに行ったのだろう。
孤独な姉を置き去りにして…。
私の心とは裏腹に、外は雲一つない晴天だ。
車か…。
気分転換にドライブしてみるか!
用心深い私は車の一日保険に加入した。
そしてチャチャっとテキトーに出かける準備をした。
車は絵美香のマンションの駐車場にあった。
「か、可愛い…」




