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突然ナビが話し出した。
「エミカサンノ 安全ノ為、只今 全扉 ロック シテオリマス。」
「何でロックすんのよー! あの人は私の彼氏なの! これから二人で温泉に行くんだから! 速く開けてよ!」
すると助手席側の窓が5センチほど開いた。
「絵美香~! 冗談はこのくらいにして速く開けてくれよ~!」
5センチの隙間から裕一郎さんが困ったような顔をして話しかけた。
「違うの! 開けようとしてる…」
私の話を途中で遮り、ナビが勝手に叫び出した。
しかも私の声で!!!
「おい! 裕一郎! キサマ妻子ある身で私に近づいて何考えてんだよ! しかも一銭も払わずタダで温泉旅行なんて、心底腐ってんな! この〇×△□ピーーーーー野郎! 冗談は〇×△□ピーーーーーだけにしやがれ、クズ人間がーーーーーー! 〇×△□ピーーーーー 〇×△□ピーーーーー!!!!」




