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第1章:僕はいたってノーマルなはず

タイトル等はあとで変えるかもしれません

 ひゅうう。勢いよく向かい風が僕を吹き飛ばそうとしてくる。反射的に目を閉じ腕で顔を覆った。この勢いでは、きっと僕の髪型は残念なことになっているだろう。

 両腕の隙間から細目で辺りを見回す。どうやらここは森の中の開けた場所らしい。僕が立っているところは草原になっていて、奥の方に木々が見える。少し歩こうとしてヒヤッとした。一歩先は急激に低くなっており、底が見える程度ではあるがまるで小さな崖のよう。踏み外せば怪我は避けられなかっただろう。

 少し風圧が弱まったので、念のため地面に両手をつけて崖下を観察する。だいたいマンションの3、4階くらいの高さだろうか、10メートル以上はありそうだ。切り立った地形になっており、崖の断面は土が露出している。底の方もここより草が少なく土っぽい。ちょうど崖を境に円形状に木々がなく、2~30メートル先からキノコの生えていそうなじめじめした森が広がっていた。近くに人の気配はない。

 うーん、おかしいな。ここは思い出の場所でもなんでもなく、見覚えのない場所だ。僕は相川さんの夢を見るはずだったのだけど。確かに場所の指定まではしなかったが、学校以外になるとは思いもよらなかった。今のところぽつんと森にひとりぼっちだ。こんな場所で相川さんとどう出会うというのだろう。

 くしゅん。肌寒い。なんと、僕の服装は寝間着のTシャツに短パンだった。


「はあ~。」


 この夢は失敗みたい。僕はその場にへたりこんだ。普段はこんなことないのに。もっと入念に妄想しておくべきだった。寝直すのも面倒だ。

 ぼんやりと大自然の空気を吸ったり吐いたり……ん?


「うっげほげほ」


 土くさい大自然の空気に腐臭が混ざりだし、それをしっかり吸ってしまった僕は思わずむせた。何だこれ、くさい。時間経過とともに、着実に臭いは増していく。寛ぐことすら叶わないのかこの夢は、吐き気がする。


「ウゥアアア……」


 変な声まで聞こえてきた。不気味だ。前方の森が蠢いて見える。いや、気のせいではない。何かがいる。

 むせかえる腐臭と呻き声が間違いのないものになったころ、のろのろと前進してくる集団を視覚で捉えた。あれは……。

 ゾンビだ。どう見てもゾンビ。日本人でなく外国人の、老若男女ゾンビだ。流行りの洋ドラに影響でもされたか。僕はそういうゲームやらドラマやら観てもいないのに、一体どうしたんだろう。


「ウゥアオアアァア」


 まずい。ゾンビの集団は僕目掛けて前進を続けている。ターゲットになってしまったようだ。崖まで残り僅か。高さがあるといっても、いかんせん数が多い。ゾンビタワーを建設して登ってくるに違いない。

 そこでふと最悪の可能性が思い浮かぶ。相川さんはもうゾンビに襲われてしまったのでは、と。数百はいるゾンビの顔触れを見渡す。ぱっと見いないようだが。もしくは襲われかけの相川さんを助けて惚れさせるとかいうシナリオ?なんてシチュエーションだ、僕は顔をしかめた。

 もしかして、自分ではいたってノーマルなつもりだったけれど、ゾンビに肉を喰いちぎられる相川さんを見たいだとか、僕にそんな潜在的願望があったのかもしれない。そんな性的嗜好やばすぎるよ。僕は自分のことが信じられなくなった、性的な意味で。


「フシュ~」


 うっくさっ!強烈な異臭で我に返ると、僕の目と鼻の先に面長で彫りの深いヨーロッパ男性ゾンビが迫っていた。ゾンビタワーの建築完了だ。


「うわっ!」


 僕は勢いよく後ろに飛び退いた。尻餅をつく、痛い。しっかりと、五感がある。夢とはいえど、噛まれたらきっと猛烈に痛い。そんなの嫌だ。変態にも人権はある。

 幸い、ゾンビの移動速度はゆっくりだ。走る僕の方が速い。僕は草原の外周に向かい時間稼ぎをしつつ、打開策を考えるのであった。

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