エピローグ・逆さ虹の森は永遠に
逆さ虹の森では、赤ずきんが川に飛び込んでから、もう長い時間が経っていました。
動物たちは、川の前で、ずっと、赤ずきんが水面に顔を出すのを待ち続けていましたが、いっこうに、その様子はなかったのでした。
「赤ずきんさん、大丈夫でしょうかね?」
クマが、ポツンと言いました。
「あの子、口は悪いが、いい奴だったよな」
と、アライグマ。
「お転婆だったけど、可愛かったズラ」
「そうだね。シューシュー。赤ずきんちゃんに、また会いたいよぉ」
「♪もう一度、一緒にお話したいわ〜」
動物たちは、次々に口にしました。
「そうだ!ドングリ池にお願いしてみよう!」
ひょっこりと、そう提案したのは、リスです。
「そうだ、そうだ。それがいい!」
と、一同は、あっさりと賛成したのでした。
彼らは、ゾロゾロと歩き始めました。
向かうのは、ドングリ池と呼ばれている、この森の名所です。そこで、この池にドングリを投げて、お願いをすると、その願いが叶うと言われていたのでした。
連中は、ドングリ池にと到着しました。
それから、彼らは、池のはしに並ぶと、一匹ずつ、ドングリを池に投げ込んで、お願い事を始めたのです。
「赤ずきんくんが戻ってきますように」
「赤ずきんさん、無事でいてくださいね」
「やい、帰ってこいよ、赤ずきん!」
「♪赤ずきんさん、また会いましょうね〜」
「赤ずきんどん、この森に帰ってくるズラ」
「シューシュー。赤ずきんちゃーん!」
それぞれの動物が、願いを言い終えたあとです。
突如、彼らの背後からは、ガサガサと言う足音が聞こえてきました。何者かが、連中の方へ近づいてきているのです。
動物たちは、その音を耳にして、全員、ぱあっと笑顔になりました。彼らは、喜びの表情のまま、いっせいに後ろにと振り返ったのでした。
おしまい