林 真里菜編
というわけでね、第5話くらいまで書いているのでさっさと出そうと思いますw
同時に出しているぼくと都会の静かな場所より
だいぶどろどろしててぼくらしい作品だと思います。
さてさて、残りの作品もちゃっちゃと出していこうと思いますのでよかったらみてください!!
私は幸せだ。幸福な環境にホントに恵まれている。小学校から高校までいじめを受けたこともなければ誰かに嫌な思いもしたわけでもない。
私林真里菜は幸せな人生を送っている。
私の父は少し大きな会社の社長をしている人間だった。周りの人間から慕われ誰一人として恨むような人間はいなかった。母も世界的にも有名なファッションデザイナーをしていて子供の時から私の欲しいものは何でも買ってもらっていた。ただ、忙しかったためにあまり遊んでくれなかった両親を私はあまり好きではなかった。そんな私のことを育ててくれるいわば執事のような存在の男がいた。名前は中島徹という男だ。
中島は、私の執事として仕事をしている男・・・そして私の初恋の相手だ。すらっとしたシルエットに優しい性格、そして私にいつも見せてくれるあの優しくて暖かい笑顔が大好きだった。いや、今も好きだ。
中島は、私が勉強をするときも一緒になって問題を解いてくれたり教えてくれたりもした。
遊ぶ相手がいないときは私とよく遊園地に行ったりもしていた。
ただ、中島は私が何十回も何百回も告白したのに振り向いてもくれなかった。
ただ、言われるひとことは決まっていた。
「私は、お嬢様の執事ですので、その・・・恋愛という関係になられますのはやはりよろしくないと思いますよ。でも、お気持ちは嬉しいです」
わかっている、私だってわかっているけど・・・でも、こんなに完璧な人間はいないの。
ずっとずっと幸せだったのに、唯一それは不幸でしかなかった。
そういえば、小学校から中学校、高校までもいじめを受けている男の子がいた。なまえは隆二君・・・だったかな?ずっといっしょだから流石に名前くらいは覚えた。だけど一回も声を聴いたことがなかった。ずっと一緒にいるのに多分相手は名前すら憶えてくれてないと思う。だんだんそう思うと相手に興味を持ち出すようになった。
中島みたいな、クールな人も好きなのだが、少し特殊な男の子も好きなんだなと思ってしまった。だけど私は、いじめられている隆二君を助けることが出来なかった。なぜなら、いじめている相手が、私の友達だったからだ。それもちょっとやそっとの仲なのではなくかなり前から知っているいわば、「両方の名前も思い出もある幼馴染」なのである。
名前は、鮫口稜真。私の父である林泰造が仕切っている林グループと稜真の父鮫口寅之助が仕切っている鮫口グループはとても仲が良く、素晴らしい関係を持っていた。その子供である私たちは、ホントに小さいころから一緒でよく知っている二人だった。
稜真は少し乱暴な性格で周りの人に迷惑をかけていた。だが、根はやさしく少し意地っ張りなところがあるとてもかわいい男の子だった。まったく、中島といい隆二君といい稜真といい、私は本当に素晴らしい人たちに恵まれているなと思う!!
だって、私は昔から幸せ者なんだもん!!!
そんなある日、ある事件が私の家を襲う。
それは、「林家強盗殺人事件」である。父と母が久しぶりに帰ってきた我が家にそんな事件が起きたのは高校3年生の頃であった。私と中島はちょうど両親にプレゼントするものを近所の雑貨屋で考えていたのでその時は家に居なかった。だがしかし、私の家にはちょうど父と母がいた。両親とも強盗犯に殺されたのだ。しかも、その犯人は捕まってないのだという。私は、さっきまでここにいたはずの父と母だと思われる肉の塊を玄関で見つけ泣き叫んだ。あぁ、幸せが、私の人生で最大の不幸なことが起きた。つらい。こんなに「不幸」というものは胸に突き刺さり痛いものなんだなと実感した。
中島は、そんな私を見て、背中をさすることしかできなかった。仕方がないよね、もうどうすることもできないのだから。
そんな私に、たった今夢が生まれた。それは「医者になる」ということだ。もしかしたらあの時に、止血の方法などを学んでおけば一命を取り留めることが出来たのかもしれない。そんな人間を少しでも助けてあげたい、そんな思いから私は医学の道に進むことにした。
近所に医学の大学があっておどろいた。こんなところに大学があったなんて、そして、もう一つ驚きがあった。隆二君がいる。そう、小学校からずっと一緒だったが覚えられてすらないほうの幼馴染隆二君だ!!!
「隆二君?だよね!!ほら覚えてる?小学校も中学校も高校も一緒だった林 真里菜だよ?一応幼馴染って奴なんだけど覚えてるかな」
決死の覚悟だった。いきなりこんな子が前に現れたらどう思うのだろうか、と思いながらも話しかけた。
すると
「いや、俺隆二なんて男じゃねーし」
という明らかに逃げの体制に入った言葉をもらった。
しかも初めて会話した言葉がそれかよ!!!なんて思いながらもかわいらしい隆二君を見ていた。
それから、私たちは付き合うようになった。
やはり私の人生は幸せなのだなっとまた思えた。
あまり恋愛どころか交友関係も慣れていない隆二君をリードするのはとても大変だったが、それでもかわいい隆二君が大好きで仕方がなかった。一緒に靴を買ったり、一緒の部屋に泊まったり、夏祭りに行ったり、キスしたりとたくさんの思い出を作れた。
だが、そんなある日、私のところにある男が寄ってきた。
そう、稜真だ。
「よう~ひっさしぶりだなぁ。元気にしてたか?てか、聞いたぜ、お前あのくそ隆二と付き合ってんだってな。はははははは、前々から思ってたけどお前って変な奴だよなまったく」
という、汚い言葉を発しながら寄ってくる稜真を私は無意識に避けた
「うわ、避けるとかまじないわ、幼馴染だろ?もう少し仲良くしてよぉ」
「いい加減にして、私はあんたみたいな男好きじゃないから」
そういうと、私はその場を立ち去った
「いつか、絶対後悔するぜお前。俺が予言しといてやるよ」
「私の人生で後悔なんてしない。だって私は幸せな人生を送っているからね」
そういうと、私は急いで帰った。
だが、ホントに稜真の予言があったのか私の中で後悔というものが生まれてしまった。
私って隆二君といてホントに楽しいのかな?そんな小さな悩みから始まったそれは次第にどんどんと膨れ上がっていった。隆二君の何が良くて付き合っているのかそれに最近両方忙しくてまったくデートもできてないし思い出もできない。メールもしてなければ顔すらも見ていない。つらい。もう、別れようか。
そんな気持ちが強くなった私は隆二君にメールを送った。
「隆二さんへ、たくさんの思い出ありがとうね。でも、なんか疲れちゃったよ。ホントに自分勝手でごめん。別れましょうか」
そして、返信が帰ってきた・・・と思ったら違う、隆二君からの返信メールじゃない・・・このアドレスは・・・稜真?
「やっほ~、俺の予言は的中しちゃったね、今から隆二君、人生変えるってさ。ビルの屋上で面白いもんが見れるぜぇ~見たければ来いよ」
なんで、なんで稜真は隆二君に私が別れをつげたことを知っているの?おかしいよ。どうして・・・そんなことを考えているよりとりあえずビルに行かないと大変なことになる。
急いで私は中島に車を出させた、行き先はもちろん隆二君のビルである。
屋上に着くと、今にも飛び降りそうになっている隆二君がいた。
「やめて!!」
私はそう叫んだ
「ごめんねりゅうちゃん。私、りゅうちゃんが昔からさんざんなことされていたから守ってあげようって思っていたのに、やっと大学に入ってわたしがりゅうちゃんを守れるって思っていたのに、全然守ってあげれなかった。そしてあんなひどいこと言っちゃった。ホントにごめん、だから自分から死のうなんて思わないでお願い!!」
そういって涙でぐしゃぐしゃになった私を隆二君はやさしく抱きしめてくれた。
そして何か私の耳元で言おうとした瞬間、誰かに背中を押された。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ助けて!!!!!」
そういいながら無造作に落ちていく私を抱えながら落ちる隆二君。
待って、そんな体制で落ちたら隆二君が!!!!!
そう思ったのは遅かった。隆二君は私と一緒にビルから落ちた。しかも私をかばって落ちたので即死レベルのけがを負ってしまった。
私はというと、隆二君がクッション代わりになっていたせいか。骨折程度で済んだ。
隆二君、ごめんね。私があまりにも幸せだったからけがが少なく済んだ。だけど、その幸せは隆二君が作ってくれた幸せ。その幸せを作るために隆二君は・・・
私は幸せであって幸せでないのだ。
さてと、不幸の次は幸せ。
某ハイスピード推理ゲームにも幸運の能力を使い人がいますが
幸運もこうなることがあるんだなと思うとめちゃくちゃおそろしいですよねw