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プロローグ
人類の20世紀最大の偉業は、きっと月の大地に足を踏みしめた事だろう。
でも結局、それは人類としての可能性を広げるだけだった。
選ばれた奴だけの可能性だった。それは僕には無い可能性だった。
ただただ憧れ、幾度となく手を伸ばし、届かない事に絶望する。
これでは届かないモノが、月からスペースシャトルになっただけだ。
20世紀最大の偉業とやらは、僕ではない誰かの偉業に過ぎなかったのだ。
人類はどうだか知らないが、僕はなりたいものには、なれなかった。
...だから造ろうと....否、創ろうと思ったのだ。
能力差とか境遇とか人としての限界とか周囲とのしがらみとか、
そんな"些細"な事は目に入らなくなる、大きな大きな世界を。