表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/15

9話


 生まれ変わってから約一ヶ月が経とうとしていた。おかげで魔力コントロールがだいぶ上手くなったと思う。シュティ曰く熟練の魔法使いクラスだそうだ。


「あ゛〜終わったー」


 慣れなのか知らないが、以前は魔力を使い切ると自然と眠りについていたが今ではそうならない時の方が多い。

 それで、問題は農業に関してだが……これは年単位での事業だから今は分からない。そこで思ったんだが、俺が自由に使える資金というものがない。もちろん貴族であるわけだから金はある。だが全て父上のものなのだ!


[シュティさんや、何か解決方法はないかね]


 シュティに尋ねる。

 ぶっちゃけ自分で考えるよりもはるかに効率的だ。もちろんシュティでさえ全ての意見が正しいというわけでもなく、話し合いをちょいちょいしている。数日前なんて「イザークら女の子の格好が似合いそうですね」なんて言ってやがったし。


[細かい魔力コントロールが出来るなら、それを生かしたものに取り組んでは?]


 生かしたものねぇ……それが分かれば苦労は、いや! 待てよーー


[そういや、隣領は鉱物で有名だったな?]


[たしかそのはずですが]


 鉱物、細かい作業が出来る、これらから思いつく事は、


[金属細工士なんてどうだ?]


 金属細工、それはゴールドやシルバーをアクセサリーなどに使う用に細工する事だ。つまり、それをする人たちの事だ。この時代、おそらくある程度なら儲かる。理由は魔法があるためだ。

 魔法を使わなければ細工は手間がかかる。魔法を使えば速く出来るが、そもそも貴族がそんなそんな事はしない。俺はそこに目を付けて貴族用に貴族が細工したアクセサリーというものを売りに出そうと考えた。魔法を使用して作り上げる。他人とは違うめずらしい物を持つ、これは貴族なんて人種の大抵がそれを求めている。


「っと、まぁすぐには無理だなぁ……まず材料がない、近いうちに何とか出来ればいいけど」


 金塊なんて俺の小遣いじゃ到底買えない。貴族だとしてもだ。あの塊もある種加工を施された物だ。さて、だいたいそういうのは採れる領地でやってしまうので、鉱物で有名な家と繋がりたいものだ。

 セバスでも呼ぶか。


「失礼します」


 はい呼びました。呼んだ理由、それはこのバイヤー家がどこと繋がっているかを知るためだ。その事をセバスに説明する。


「ーーというわけなんだが、何か分かるか?」


「ええ、しかし残念ながら伯爵様が懇意にしている貴族様にゴールドやシルバーが有名な家は……伯爵様とお付き合いのある家は政治方面な方が多いもので」


 うーん、政治家かぁ。そうなると上手くいっても間に一つ挟む事になるからお金が嵩むんだよな。政治方面の家と繋がりがある事が分かったのは収穫だが、今回の事はあまり期待出来ないな。


「なるほど、最後に、隣領が鉱物関連で有名らしいな? そこを調べておいてくれ。

 それで用事は終わりだ。下がっていいぞ」


「はっ、かしこまりました」



 数日が経ち、セバスから報告があった。

 隣領を治めているのはボー伯爵家

 領主は30代後半くらい

 子供は2人、跡取りは長男

 領内で金と銀、鉄が採れる

 まぁ簡単に入手出来る情報だとこんなものだ。そもそもイザークが知らないのがおかしな事だったようなものばかり。



 ○



「え、誕生日パーティー?」


 夕食時に父上から言われた。誕生日パーティー、所謂社交界のようなものだ。純粋に祝って貰うのではなく、コネ作りのための場だ。


「そうだ、もう2月もすれば誕生日だろう。そこでイザークには社交界デビューしてもらう」


 なるほど、誕生日が来れば7歳という事になる。そろそろしなければ、となったのだろう。

 これは使える。コネクション、これは俺が今最も必要なものだ。


「分かりました、じゃあボー伯爵も呼んでいただきたい」


 父上は目を鋭くする。なるほど、あまり仲がよろしくないようだ。それでも俺のために呼んでもらわなくてはならない。


「何故だ、かの家は我らの政敵の派閥に位置する。まぁどちらも組織の末端、さして重要でもないから大きな問題にはならないが、あまりよろしいことではないぞ」


「うん、だけど鉱物は魅力的じゃない?」


「うむ、しかしーー」


「僕がやりたい事に必要なんだ。政治は父上が上手く躱してよ。僕の望む誕生日プレゼントはそれさ」


 これまで笑顔で会話していたが、ここで顔から表情が消える。否、消えたというよりは真剣の真顔そのもの。


「ふぅ、分かった。ボー伯爵も招待しよう。だが、先方が来るとは限らないぞ」


「ありがとう父さん、おかげでこの領地をのし上げる事が出来そうだよ」


 俺の戦略はこうだ。領地を発展させ、軍備を拡張、その際主力は銃を用いる。準備が整ってきたら、王族や主要貴族に対して罪をでっち上げる。この領地だけでクーデターを実行、王族を皆殺しにして俺が王になる。

 そして貴族制度の廃止、絶対王政の元悪をなくす。軍拡を続け、大陸上で戦争が起きた際に介入すると宣言、実施する。圧倒的武力を背景にどこの国も戦争は容易には起こせまい。

 結果、ほぼ全ての民が満足とは言わないまでも、なあなあな生活を送れる。飢える者もいない。どうだろう、完璧な構図だ。俺は全ての人は幸福を得れないと思う。それなら不幸な者を無くせば争いは無くなるんじゃないか。

久しぶりの復活

この後も何話か投稿します

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ