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13話

 

「あっあ〜! クッキー落としちゃったよ。ん? そこの君、欲しいか? あげるよ、こっちにきな?」


 俺はストリートチルドレンがいる目の前でクッキーを落とした。もちろんわざとだ。そこでその子供をおびき寄せる。そしてーー


「あーあー、遅いから間違えて踏んじゃったよ! ん? これでもよかったらあげるよ」


 近寄ってきたら落ちたクッキーを踏み潰す。粉々に、砂と同化するほど。


[これだけみたらただのクソやろうですね]


 おっしゃる通りで。


[まぁここからが本番だしな]


「……えっ?」


 少年は唖然としている。次に余程腹が減っていたのか目に雫を溜めて崩れ落ちる。だいぶ弱っていたみたいだな。クッキー一つの希望と絶望で崩れ落ちるなんて。


「ラインハルト」


「はっ!」


 ラインハルトが銀貨1枚とナイフ1本を少年を、挟んで地面に置く。

 銀貨一枚とは大人の平民が一カ月くらせるくらいの金額だ。。子供ならもっと増えるだろうか。


「……?」


「選べ、この銀貨を選べば一月はお腹いっぱい食べる事が出来るだろう。このナイフを選べば自分を騙し弄んだ俺に怪我を負わせられるぞ?」


 はてさて、少年が選ぶ未来とはーー


「ふぅ、非常に喜ばしいよ。

 これだけ向上心が 無い 少年を選ばずに済んで。あ、まだいたんだ? 早くその銀貨を持ってどっか行きな?」


 ガッカリだ。まぁまだ一人目だ、悲観するのはまだ早いか。午前は屋敷があるこの街を回る。予定では街を出るのは午後からだ。



 ○



 結果から言おう、目的の子供達は3人確保した。少女が一人、少年が二人だ。この3人は見事にナイフを選択して俺に向かってきた。もちろんラインハルトに拘束させる。そして、その理由までが条件だったのだ。正解は憎いや、俺たちを馬鹿にしたからだとかそんな感じなら合格だ。逆に不正解だが、実際に8人程いた。それらの者の言い分は、そんなに金をほいっと出せるなら金を沢山持っているに違いない。奪ってやるだ。これ系は別にいらない。

 そして、子供達全体の名前を決めなければならない。……呼びやすいからだ!


[普通にチルドレンとかで良いんじゃないですか?]


 先読みされて、シュティに言われる。まぁ、たしかにそれでも良いな。よし決まり。

 次に、俺が個体個体に名前を付ける。その方が愛着が湧くだろ? まぁ冗談だが。理由としては、前の名前を捨てさせる事にある。いつまでも引きずってもらっては困るからな。それだけ名前というものは大きい。逆に俺は名付け親となる。名前を付けてくれた者に対しては悪い感情を持ちにくなる。


 まぁひとまずチルドレンはリサに任せる。セバス経由で連絡しておいたのだ。父上にアパートのような物を建ててもらう事にはなったが、いかんせん時間がかかる。俺が帰ってくるまでには出来ているだろうが、それまでこの3人はリサに任せて宿暮らしだな。ちなみにリサとは俺の家庭教師だ。


「金だ。これだけあれば1カ月は暮らせるだろ。お前には学校の教師もしてもらうからな。今のうちに復習したりしておけよ?」


「あ、あはは……って、多すぎですよ!」


 リサはわなわなと震えて大声を上げる。渡した金額は金貨5枚、金貨とは銀貨10枚分の価値がある。


「まぁそれでチルドレンに良い思いをさせてもいいし、自分の趣味に使うもの良いだろう。教師をする報酬の前金のように思ってくれていい」


 さて、旅に出かけようか。

 魔物が出れば魔法の検証にもなる。実際魔物というものは大して強くはない。大型の熊が一回り大きくなったりしたようなものや、狼のようなもの。危険な野生動物とさして変わらない。もしも魔物が強ければ、おそらく都市国家のようなものが普通になっていただろう。




「エアウォール」


 意味はそのまま風の壁ということだ。道中で出没したゴブリンを二方向から展開した魔法で圧殺する。

 ふむ、中々使えるかな。通常魔法は一度に一つしか使えない。だが俺はシュティのおかげで一度に二つの魔法が使えるらしい。よく分からないが、シュティ曰くそうらしい。


 そこで俺は凄く厨二病的な事を思いついてしまった。やってみたい。そんな事を考えているとオーガとエンカウントした。

 よし、やるか。


「ツインドラゴン!」


[ぷーくすくす! 厨二病乙!]


 ファッキューシュティ。いや、なんでもないさ。ついついキレたなんてことはないよ? うん。

 ツインドラゴンとは火属性の魔法と水属性の魔法を組み合わせ、火の龍と水の龍を絡ませながら相手にぶつける魔法だ。2度と使うもの事はないだろう…….見た目はエクセレントだが、威力がイマイチなのだ。


[身体強化の練習でもしてればどうですか?]


 ぱーどぅん? そんなん初めて聞いたぞ。


おいっす!

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