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12話

 

「ラインハルト、明日から出かけるぞ。まずはこの街、次に近い街、効率よく街や集落を巡る。目的は親のいない子供で上を目指せる者の発掘だ」


 ラインハルトを自室に呼んで明日からの予定を伝える。明日からの予定、つまり明日だけで終わるはずもなく予想では一月は掛かるだろう。


「分かりました。して、その目的の先を聞いてもよろしいでしょうか? 何故ストリートチルドレンなんかをーー」


「ラインハルト、俺はお前の事を悪い奴だなんて思っていない。ただ……今のはあまりよろしくないぞ」


 そう、ラインハルトは実に俺似と言っても過言ではないだろう。ラインハルトは平民の出身だ、こんな環境では常に飢えていた事もあっただろう。だから、そういう人達の気持ちが分かる。ただ、問題はそこじゃない。

 〜なんか。これは無意識に下に見ているのだ。もちろん悪意は無かっただろう。ラインハルトのような人間でさえ、そういう考え方があるという事だ。


「失礼しました」


「それでどうするかだったか……教育を施し、彼らが青年期になるあたりまでに使えるようにしたい。俺は彼らに仕事をやらせるつもりだ。政治だったり、諜報部隊を組織したりと。

 王国が生まれ変わった暁には、政治はすべて平民にやらせる。というよりは、貴族は消えて力のある奴は排除する。力の無い王と、只の国民だ。もちろんそれでも腐敗は避けられない。だから専用の組織を作る」


 自分でも何を言っているか分からなくなってきたな。目的をまとめると、将来の側近を育てると、いうところにある。

 恩義を与え裏切られる可能性を極力避け減らす。さらに相互に監視試合うシステムを作れば上手く回るだろう。


「なるほど」


「ラインハルト、お前とセバスはそこそこ信用しているつもりだ。これから何かと頼る事になる。お前たちは第一の臣下だ。こき使うことになるぞ?」


「仰せのままに」


 セバスは工作要員だ。指示を出してもらったり、どちらかといえば情報という面がでかいか。ラインハルトは武の方面で活躍してもらう。主に俺の護衛、邪魔者の排除といったところか。邪魔者の排除に関しては隠密部隊を整えるまでは実行に移せないから、どうしても、という時に限って行う。

 そうだなぁ……子供たちが3年ほど「教育」を受けたら、お家騒動でも起こそうか。決行は早いほどいいからな。子供達が使えるようになるまでのバランスを考えた際の3年だ。教育にはもっと時間がかかる。


「セバスに馬車を用意するように言っておけ。あいつなら明日までに用意出来るだろう。もちろん食料も積めておくように。しばらくは男二人旅になるぞ」


「かしこまりました。それでは失礼します」


 まぁどうせ夜あたりにでもセバスがくるだろう。その時に話を詰めればいいか。




「ふむ、しばらく出かけるとな?」


 そう、まず領地巡りに向かうには父上を説き伏せなければならない。まぁ否定はされないだろうが反対はされるだろう。それは父上がちゃんとした父親だからだ。貴族であっても、腐っていたとしても、父親なのだ。貴族の中には子供を道具にしか思っていない輩もいるが、父上はそうではなかった。民衆からよく思われなくても、家族を守るためにあんな態度を取っているんだろうとは察しがつく。

 家族(笑)なんだけれども。夕食は基本的に家族でとる方針らしい。だが、食卓に着いているのは俺と父上の二人だ。母上は自室、クリスも自室だ。普通にしていれば反抗期なんだろうと思うだろうが実情は違う。母上は貴族のそれだ。金と権力が最も大事で、夫や子供はその道具でしかない。俺はもはや、いらないと判断している。クリスは母上が抱え込んでいる。マインドコントロールと言えばいいのか? いや、まだ幼女だからそんな言葉は使わないか? まぁつまりは、母上の色が濃く反映されていた。俺が関わったから少しはマシになったが……クソ、早く膿はなんとかしなければ。ただ少なく見積もっても3年は掛かる。それまでどれだけ母上の暴走を軟化されられるかが焦点となるだろう。


「うん、領地を回って実情を見てくるよ。大丈夫、僕自室そこらの魔法使いより強いし、ラインハルトもいる」


「俺としてはダメだと言いたいが、そんな事を素直に聞き入れるタマではあるまい。まぁ早いが勉強として行ってくると良い。ただし怪我は厳禁だ、理由は分かるだろう」


 あれ? 意外とOKが出るのが早かったな。もしかして……いや、あれは信用している、目だな。多分だけど……


[なぁシュティ、どう思う?]


[どう思うもなにも……普通に良かったんじゃないですか?]


 シュティが言うならそうだな。仮に違ったとしても今はそうしとこう。


「ありがとう父上、あともう一つ頼みがあるんだ。これが叶わないと領地巡りに行く理由も失われる」


「なんだ、とりあえず言ってみなさい」


「親のいない子供達を拾ってくる予定なんだよね。それでそれらを養うのは僕の作ったお金で賄えるんだけど、建物を作ったりするのは厳しいんだよ。そこで頼みごとなんだけど、専用の建物を建造して欲しいんだ」


「却下だ。まず金の無駄だと判断した。そもそも俺はその子供達を拾ってくること自体が良く思っていない。

 理由がないからだ。そこのところの説明無しに要求は飲めん」


 う、たしかにそうだよなぁ。立場が逆でも、なんでそんな意味の分からない事に金を回さなくちゃならないんだって思うな。


「諜報部隊を作りたい。戦争において情報は命だと思う。後々必要になってくるんだ。

 それと、暗殺者の育成」


 そう言い切ると父上は目を開く。まぁ自分の7つになったばかりの子供が戦争について宣言したんだ、普通はそうなるだろうか。まぁ他に文官にしたりとあるんだが、今それをわざわざ言う必要もない。口は災いの元ってな。


「ふむ、なるほど。戦争ときたか。相手はどこだ? あの豚伯爵か、腹黒公爵か。はたまた切れ者の男爵か。お前の提案した肥料の事で領地は多少豊かになるだろう、しかしどこもたやすく勝てる相手ではないぞ?」


 ふっ、そんな小物共なんて最初から眼中にはない。目指すはーー


「王国だよ」


[ちょっ! イザーク?言ってしまうのですか?]


 そう、王国だ。日本で言えば一都道府県が国に喧嘩売っているようなもんだ。それだけ無謀といえる。


「……それは誠か?」


「あぁ、どうやら父上は普通の腐敗した貴族とは違うと思ったから打ち明けるよ。

 俺は世界いや、この大陸を変える。争いの無い世界へ。貴族と平民、これはダメだ。あるべき姿を実現させる。

 誰一人飢える事なく暮らせる世界を。

 富を独り占めするような奴を排除した世の中を! それにはまずは国一つを思いのままに動かせるようにしたい。そこで俺はクーデターを起こし、俺が王になる。次に、貴族制度を廃止、そこには国と民しかいなくなる。政治をするのは教育を施した子供達だ。互いを監視しあうシステムを作り出す。それで皆平和、飢える事なく過ごせる。

 次に戦争の抑止力として、圧倒的軍備拡張だ。大陸上の国が戦争する事になれば我が国か介入する」


 俺の思想は社会主義に近いな。民を全て最低限平等に。そこに満足出来ない者はそれプラス何かすれば良い。まぁ俺はそんな事で本当の幸せは得られないと思う。だけど、今日を生きる事がままならない者がいて、反対を向けば掃いて捨てるほどの食べ物を所有して弱者をいたぶる者もいる。それはダメだ、管理者が許しても俺が許さない。


「正気か……?」

はい4話目!

本日はこの辺にしときます

父親に頭の心配をされる主人公()

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