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10話

 

 パーティーの準備としてまず服だ。今日は仕立屋を呼び、サイズを測る。


「おお、イザーク坊ちゃん以前より背がのびましたな!」


 仕立屋のおっちゃんが頭をがしがしと撫でながら言う。実はこの仕立屋、だいぶ薄いがバイヤー家の血が流れているらしい。


[シュティ、このおっちゃんと最後に会ったのはいつだ?]


[だいたい1年前ですかね、その時は社交界は開催しませんでしたが、屋敷内で身内で祝ったそうです]


 なるほど。いつ会ったのが分からないと会話に齟齬が出そうだった。


「あぁまだ子供だからな。1年もすればそこそこ伸びるだろう」


「ん? いや、なんでもない」


 気になるじゃないか!」


「なんだ?」


 そう言うとおっちゃんは、がははと笑い言い直す。


「いやなに、何か雰囲気が大人っぽくなったなぁと思ってな。子供の成長ってのは急だからなぁ。イザーク坊ちゃんは雰囲気だけでいったら青年くらいはあるぜ」


 服は生きてく上で一番自分に触れているだろう。その服を作る仕立屋は、人を見る事に特化しているということか。


「ふむ、そうだおっちゃん、それなら一つドレスも作ってくれないか?」


 おっちゃんが驚く、何故と疑問に思っているような顔だ。そして俺も驚く。

 理由はおっちゃんをおっちゃんと言った事だ。転生後、イザークは生意気っぽい口調だった。それこそお前、などと言ってても不思議ではない。この言動には何か法則がある? 思えばイザークが父上を慕っているはずもない。それなら何故イザークは父上にあのような口調を使っている?

 疑問は尽きない。


「ん?なんだ坊ちゃん、これにでもプレゼントするのか?」


 おっちゃんは握り拳を突き出して小指を立てた。……どこの世界でもジェスチャーというのは意思疎通に向いている。現に今俺に伝わっている。

 そういや、日本で外国人に道を聞かれたときも、ジェスチャーで何とかなったな。今となってはいい思い出だ。俺はどうやらこの世界では言語は自動翻訳されているようだ。なので読み書きが出来ない。故に今は急いで頭に詰め込んでいる。


「うるさい。違う、そうじゃないんだ……いや、違くないか。それは俺の大事な女性に向けてだ。もっとも着る事は出来ないけどな」


「おっと、深く踏み込みすぎちまったか?悪い悪い」


 バツが悪そうに視線が下がっている。まぁ悲しい話じゃないから、その対応は間違ってるぞとは言わない。


[ほぉ、そのドレスは誰に?]


[シュティ、君はわかってるだろ?]


[そうですね……すいません]


 どことなく嬉しそうなのは俺の気のせいであって欲しくないな。


「別に何とも思ってないから問題ない」


 そう、ほんとに何でもない事だから、おっちゃんに悪いと思ってる。まぁ感違いは指摘しない。



 そして忙しいのはこれからだ。

 まずは招待された、招待したい貴族への根回し。俺に出来る事は手紙にて猛アピールくらいしかないが。むしろそれ以外をこの歳でやってのけたら怖い。

 だが、それでも各貴族に対してアプローチする文面を考えるのは面倒極まりない。


[シュティさんや、手伝ってくださいお願いします]


[はぁ仕方ないですね、一緒に考えましょうか]


 シュティ様に手伝ってもらって、最悪な想像の半分もいかないくらいの時間で仕上げた。三人いれば文殊の知恵って言うしな。二人しかいないけど……


 そして、次に待っているのはスピーチの内容だ。主役は俺自身であり、挨拶もする事になっているのでそれも考えなければならない。

 これまたシュティに手伝って貰い、完成させた。内容は到底7歳児には考えつかないようやものにした。

 ここは敢えて超優秀だという事を周辺貴族に理解していただく。ただの子供相手では商談も碌に出来ないからな。


 さて、パーティー本番まであと一週間程度。早い家はそろそろバイヤー領に着く頃合いである。それもだいたい法則性があって、遠方の小貴族が早い。その次に周辺の小貴族、大貴族となる。もちろん例外もあったりするが。

本日2話目ですー

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