ごくふつうの朝の風景
死にたがりのギリギリさえほのぼのに見える
ここは高校。そんな中のカップルの一日
「遅いよ!麓」
「すまん。ちょっと早く起きすぎた」
「それって、二度寝したってこと?」
「まあそうなんだが。俺の場合金縛りにかかるから」
「ダメだよ。体に悪いから」
「わぁーったよ。そろそろ行くぞ、美紀」
「もうっ。心配してあげてるのに」
トコトコ
「ああ~、車でも突っ込んできてくれないかな。一瞬で楽になれる」
「む~。私ってものがいるのになんでそんな死にたがるのよ」
「俺はちょっと頭が良いだけのボッチ。そう楽しいことなんてないんだよ」
「私に興味を示さなかった唯一の人なのに」
「お前はなぁ。成績優秀、運動神経抜群、誰からでも愛されているだろ?俺なんかじゃ不釣り合いだ」
「でもそれなりに反応するでしょ。声をかけても緊張してどもったりしなかったし」
「基本こういうとき以外無口だからな」
「照れもしなかったし」
「可愛いヤツだなとは思ったが生憎、女にはそういう感情が湧かないのでな」
「あーいったらこーいう。とにかく私には初めてのタイプの人だったの」
「そうか?どこにでもいる一般ピープルのこの俺が?」
「でも私にとっては特別なの」
「付き合ってるせいで周りからいじめられそうになっているこの俺の身にもなってみろよ」
「そんなこと一度もないから分かんないもん」
「断ってもめんどくさそうだからOKしただけだから」
「酷いよ。デートもしたのに………泣いちゃうよ?」
「ちょっと苦しいだろうが、カッターで首をかっ切るかな」
「ストップッッ!!すとーっぷすとーっぷ!!!冗談だよ」
「ッチ せっかく死ねるかと思ったんだが」
「けど麓はなんで死なないの?」
「ただ死ぬと迷惑がかかるからな。なにか理由をつけて後腐れなく逝きたい」
「じゃあ、私を残して逝けないようにすれば」
「残念ながら、お前は後を追うだろう。それについては諦めている」
「そんなことわかんないじゃないの」
「わかるさ。一応彼氏なもんで」
「麓………」
「もう着いたぞ。じゃあここで」
「うん!また帰りもね」
「嫌だ。お前は生徒会長の仕事で遅いだろ」
「抜け出すもん」
「副会長達に注意されるのはなぜか俺だけなんだぞ」
「注意されたことなんてないもん」
「とりあえず仕事はしていけ。学校行くのも面倒になりそう」
「それはないでしょ」
「いや、それもいいかもな。そのまま不登校になり自殺か。影が薄いから先生は気づかないし話も聞いてくれない」
「えっ!!ちょっちょっと!!」
「そういうことだ。一緒に帰ろう」
「じゃあ仕事頑張る」
「そうか。今日もつまんない一日になりそうだな」
「楽しい一日にしてみせるね」
そうやって彼らは別れた。
こんなの序の口
学校が始まってからが本番だ