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アレンとマリエールは転移陣の増設を時期が早すぎると否定したが男爵が拘り、2つ目の転移陣の設置に取り掛かった。
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アレンにはそういった発想はなかった。嫡男の彼にはこの領を捨てて別の場所に行く発想はない。だからこそこの地の水不足の解消が大事だったのだ。マリエールは与えられた課題に全力で取り組む事を是としている。他の場所に移ろうという発想はなかった。
男爵の言葉はなんだろう。2人とも将来的には転移陣の増設には賛成である。なのに早くしないと若者達が出て行くと言っているように聞こえる。本当にそうなのだろうか。2人は彼らと水不足は深刻だ。我々は生きていけない。という話しをした事はある。生きていけない場所だから出て行くのも理解出来た。しかし男爵はこの領地には魅力がないという転移陣を増やせば耕作出来る面積も増えるし出来る事も増える。いずれはやるべき事だと思うが何故今だ。アレンは、
「今やる事ではありません。状況が出て動いています。もう少し様子を見て下さい。」
男爵は少し考えて、
「ならば、十分距離を置いた場所に転移陣をおけば良いであろう。若者達をこれ以上失うわけにはいかない。」
男爵は転移陣に拘った。それにより大きな被害がこの領地にもたらすにも拘らずに。かくして転移陣の増設が決まった。アレンやマリエールもこれ以上男爵の決定に否を唱える事は出来なかった。
問題は水源探しである。アレンとマリエールは水源を探した。水質にも拘る必要がある。せっかく見付けた水源にマリエールは首を振る。
「駄目だわ。ここの水は炭化カルシウムが多すぎるもの。アレン水中や周りを見てご覧。何もいないし何も生えていないでしょう。炭化カルシウムだけでは生物は育たないの。」
アレンはその異様さに気付いた。透明だが何も育まない水、不思議な光景だ。アレンは、
「毒か。」
と呟いた。それを聞いたマリエールは、
「毒じゃないわ。炭化カルシウムも必要な物質の一つよ。でも生物を育くむには様々な物質が必要なの。炭化カルシウムしかないここの水は生物を育くむには適さないわ。多分炭化カルシウムの大きな塊が付近に有って溶け出しているのでしょうね。それはそれで興味があるわ。取り敢えず他を当たりましょう。」
アレンは思った。マリエールには不思議な知識がある。小さな時から一緒に育ったアレンにはそれがマリエールの賢さだと思っていたがそれだけでは説明出てない事がある。例えば今の事だ。生物のいない異様な光景なのは判る。でもそれが炭化カルシウムとやらのせいだとどうして判る。アレンは疑問を封印して、
「次を探そう。」
と言った。次に見付けた水源にはマリエールも不服はないらしい。この水源を転移陣の起点にして村から10km離れた窪みを終点にして2つ目の転移陣が完成した。
男爵に2つ目の転移陣が完成した事を伝えた。炭化カルシウムばかりで生物が住まない湖があった事も伝えた。男爵は、
「炭化カルシウム? 何か役に立つのか。」
マリエールは、
「湖の近くで大きな炭化カルシウムの採石可能な場所があれば建材になるでしょう。」
男爵は興味を失ったようだ。
見付けたのは生物のいない湖だった。マリエールは炭化カルシウムが多すぎるので転移陣の起点として使えないと言った。




