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国境の長いトンネル

「これで、転生の準備は完了しました」


 女神さまが満足げに宣言すると、目の前に突然わたし(ダンプカー)が通れるくらいさの大穴が空いた。

 トンネルのように続くその穴の先は、白く明るく光っていて、よく見えない。


「この先に、あなたが新しい生を過ごす世界があります」

「このトンネルの先は、どんな世界があるんですか?」


 もう後には引き返せないのだけれども、心の準備というのは必要だ。

 長いトンネルを抜けたら雪国くらいなら許せるけど、灼熱の溶岩地帯とかだったら目も当てられない。


「このトンネルの先にある世界は、いわゆるファンタジーの世界ですね」

「ファンタジー?」

「はい。人間もいますが、エルフやドワーフといった種族もいます。種族によっては魔法が使えたりします」

「魔法!」


 なぜか知らないけど、魔法、という言葉に心が躍る。


「特に役割とかもありません。気ままに美しい世界を旅してもらえればと思います」

「ありがとうございます」


 どうやら、平和な世界らしい。

 それはそれで嬉しい。


「それではお別れです、イスズ」

「はい」

「それでは、このトンネルをまっすぐ進んでください」

「はい」

「新しい世界に入るまで、決して振り向いてはいけませんよ」


 お、これは各地の神話に出てくる、振り向く時大変なことになるトンネルなんだ。

 まあ、振り向く首もないんですけど、ダンプカーですし。


 前に進もうとすると、ブルンとエンジンのかかる音がした。

 ゆっくりとトンネルの中に入っていく。

 行く先から、暖かい風が吹いてくるような気がする。

 どんな世界かな。

 お花畑とがあって、小さな川があって、小鳥やリスが住んでいるのかな。

 白い光の強さが、だんだんと増していく。

 視界が真っ白になる。

 そしてその光が、少しずつおさまって、周りが見えるようになってくる。

 そして初めて見た異世界の風景は、大きな口を開けて、まさにブレスを吐かんとしている、巨大なドラゴンだった。


「なんでー?!」

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