チートを授ける
「さて、そろそろお楽しみのチートスキルですね」
そういうと、女神さまの手元に突然カタログのようなものが現れた。
ぱらぱらとめくりながら、時々折り目を入れていく。
どうもさっきから、この女神さま、所作に庶民感が溢れてる。
そんなことを考えていたら、女神さまはパタンとカタログを閉じると、満足げな感じで微笑んだ。
「決めました、あなたに渡すチートスキルを」
一応こんなんだけれど、一応神様からスキルを渡されるということなので、謹んで頭を下げる。
下げる頭はないんだけどね。
「一つ目は『洗浄』です。前世ではろくに洗われておらず、埃だらけ錆だらけで酷い扱いでした。このスキルは、なんとしても渡したかったです」
初手からなんとも微妙なスキル。
確かに綺麗になれるのは嬉しいけど、危ない魔物とかいたりはしないのかしら。
「二つ目は『無限積載』です。生前身の丈を超えた荷物を載せられて、見るに見かねる状態でした。このスキルがあれば、どれだけ積み込まれようとも亜空間にしまわれるため、負荷はほぼゼロです」
それはなんだかすごい。
ダンプカー冥利につきそうね。
「ちなみに、このスキルを実現するために、このステッカーを貼らしてもらいますね」
というと、勘亭流のフォントで『積載量無限上等世露死苦』と書かれたキラキラステッカーが荷台に貼られた。
何これ、ダサい。
「そして最後のスキルは、燃料吸収』です。身の回りに存在する魔素を無尽蔵に取り込んで、燃料に変換するスキルです。これで、どんなに乱暴運転をされても、ガス欠ともおさらばです」
それはすごい。
これで誰に、汚されようとも、積み込まれようとも、乱暴運転されようとも…… あれ?
「女神さま、大変ありがたいチートをいただいたのですが、そもそも大元となった最低の運転手がいなければ、それほど使われないスキルなんじゃないでしょうか?」
「……勘のいいダンプカーは、嫌いですわよ」
これ、絶対気が付いていなかったやつだ。




