第9話 駅でお泊り!
ホブゴブリンの繰り出した拳に合わせる形で蓑鋤も殴りかかる。
カウンターだ。 基本的な話になるんだけどこの世界には格闘技の経験などは優位に働くのか?
答えはイエスだ。 ダメージ計算は割と複雑になっているのか様々な要因が絡む。
例えば急所などの脆い部分にダメージが入ればHPが普通よりも大きく減る。
所謂、クリティカルね。 そんな説明していないんだけど蓑鋤は拳をホブゴブリンの顎に叩きこむ。
効いたのかホブゴブリンは顎を抑えながら一歩下がると次の瞬間には蓑鋤は足で真っすぐに股間を蹴り上げ、激痛に前のめりになったホブゴブリンの顔面が殴ってくださいと言わんばかりに目の前に。
後はやりたい放題だったわ。 蓑鋤は何の躊躇もなく右に左にとホブゴブリンの顔面を滅多打ち。
ひぇぇ。 一撃毎にホブゴブリンの頭部が右に左にと振り子のように跳ね返り、そうなる度に血が飛び、歯が欠け、目玉が吹き飛んだ。
そして最後に下からのアッパーカット。 ホブゴブリンは大きく仰け反って仰向けに倒れる。
蓑鋤は勝利を誇示するかのように拳を振り上げていた。 ちょーかっこいい。
絵画にして飾りたいぐらいだわ。 しゅき、結婚しよ。
そんな事を考えながら「回復」を使用した。
いや、蓑鋤強すぎぃ。
あの後、蓑鋤は私に来るように手招きするとそのまま駅の構内に入り、目についたゴブリンを殴り殺し始めた。 あまりの情け容赦のなさにちょっと引いたけど、好きな気持ちに変わりはないぜ!
ゴブリンもそんな蓑鋤に覚えているのか明らかに腰が引けていた。 そんな逃げ腰の相手だったから仕留めるのはかなり楽そうな感じだったわ!
――しばらくの間、暴れた後に駅の改札近くのベンチで休憩していた。
一息ついた所でお互いの現状を確認するという事になったんだけど――
三ノ婀 婀唯
レベル12 生命力:1110 魔力:1120
ジョブ:僧侶(12)
力:16 物理攻撃:16
防御:16 物理防御:16 魔法防御:54
知能:54 魔法攻撃:54
物理抵抗:10% 魔法抵抗:50%
素早さ:6 運:40
スキル
・記憶遡行:MP消費/0(パッシブ)
死亡時、ゲーム開始時点の自分に記憶を移植する。
・回復:MP消費/20(アクティブ)
射程0~20m。 対象は視界に捉えられる物のみ。
知能、魔法攻撃の乗算値のHP及び疲労回復。
・解毒:MP消費/5(アクティブ)
射程0~20m。 対象は視界に捉えられる物のみ。
状態異常(毒)の解除。
・回復量増加(小):MP消費/0(パッシブ)
スキルによる回復、時間経過による自己回復が10%増加。
回復を使いまくってたらめっちゃ上がったわー。 ってか上がり過ぎじゃない?? 何でだろ?
正直、10行けばいい方だと思ってたからこれは嬉しい誤算よ!
ほい次!
波食 蓑鋤
レベル18 生命力:2180 魔力:560
ジョブ:戦士(18)
力:56 物理攻撃:56
防御:38 物理防御:38 魔法防御:19
知能:19 魔法攻撃:19
物理抵抗:50% 魔法抵抗:10%
素早さ:18 運:10
スキル
・暴食:MP消費/0(アクティブ) 浸食度:36%
対象の殺害成功時、任意でスキルを一つ奪う事ができる。
・攻撃力上昇(小):MP消費/0(パッシブ)
物理攻撃値に10%の加算。
・防御力上昇(小):MP消費/0(パッシブ)
物理防御値に10%の加算。
・ダメージ上昇(小):MP消費/0(パッシブ)
ダメージの最終値に10%の加算。
・威圧:MP消費/0(アクティブ)
視界内の任意の対象の状態異常(畏縮)と全ステータスに対して最大1~50%の低下効果を与える。
対象とのステータス差によって効果は変動。
・暗視:MP消費/0(アクティブ)
光量の低い場所での視界が明瞭になる。
「あのー、蓑鋤さん? なんかスキルが二つほど生えてるんですけどどうしたの?」
「奪った」
しれっと言った!? 別にいいけど試すんなら一言欲しかったんですけどー!?
快調にぶっ殺してると思ったらこれのお陰かぁ。
畏縮っていうのはかかると相手に対して恐怖心が湧き起こって動きにくくなったり逃げ出したくなるみたい。 恐怖の下位互換ね。
15行けばいい方だと思ったけど18まで上がったのは嬉しい誤算だ。
私自身も12と思った以上に上がっている。
初日でここまで上げられたなら大抵の相手には負けないと思うから大丈夫のはず。
ここまでスムーズに行ったのは初手でジョブチェンジからのレベリングが出来たからだ。
それも前回の記憶を持ち越せたからね! いやぁ、喰われた甲斐があったわー。
外を見るともう日が暮れかけている。
夜間の移動は割と危ないから駅で一晩過ごすのが良いかもしれないわ。
「分かった。 ベンチで寝るのか?」
「うん。 探せば快適に寝られる場所はいくらでもあると思うんだけど、そろそろ人も戻って来るからあんまり好き勝手やると面倒くさい事になると思うのよ」
何が言いたいのかというと時間が経ったのでステータスシステムを理解して活用する奴が出て来るはずなのでそんなのと鉢合わせると相手によっては人がいないからって勝手に使っても良いのかーとか無事なのはどうしてからの何でそんな事を知ってるんだーとか言い出すのが出てきかねないから可能な限りお行儀よくしておくに越した事はないのよ。
そう、実力はひけらかさずにほどほどに好き勝手やれるぐらいの匙加減がベストって事ね!
だから確実に人がいない初手ならともかく、家具とか寝具を売っている店やホテルは止めておいた方がいい。
――そう言う場所って人がいっぱい集まってるからね。
「そうなのか?」
「うん。 初期って結構もめごと多かったみたい。 前の時は隠れながらだったけど、割とヤバい人多かったし」
「……そうか」
ぶっちゃけ、モラルが欠如した人が早々に現れたので前の時は怖い目にも何度も遭った。
人間ってこういった状況になると即座に好き勝手するのが一定数いるから他人は必要以上に信用しない方がいい。 で!も!蓑鋤の事は信頼してるゼ☆
蓑鋤はちらりと暗くなっていく空を見てもう一度そうかと呟いた。
「時間はありそうだな。 なら、お前が経験した前回の世界の話とやらを聞かせてくれ」
「お、蓑鋤ぇ。 私の過去に興味津々かね? 何が聞きたい?」
「そうだな。 ダンジョンがあるんだ。 配信とかマジでやってる奴は居たのか?」
あっはっは、ラノベじゃあるまいしそんなの居る訳ないでしょー。
「――と言いたいんだけど居たんだよなぁこれが」
「そうなのか?」
「そうなのよ」
返しながら私は前回の記憶を思い起こしていた




