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二周目の彼女と三周目の彼。  作者: kawa.kei


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第31話 何故か行く流れになった

 「わ、分かりました。 その条件を全て呑めば一緒に来てくれるという事ですね」

 「あぁ、取り敢えず一回はな」


 ファ!? 三上の言葉に私は思わず目を見開いた。 

 おいおい、こいつ等正気かよ。 レベル一桁でダンジョンに潜る気? 

 命、要らねーのかよ。 いや、まだだ。 隣の前川も目を見開いていたのでこの話は三上だけの判断だ。

 

 蓑鋤の出した条件は二人がダンジョンに入る事。 つまり片方が断ると成立しない。

 流石ダーリン。 三上が腹を括っても前川が断ると保険をかけての提案か。 流石だゼ☆

 

 「み、三上さん。 わ、私、む、無理です……」

 「前川君。 我々が生き残るにはリスクを負う必要がある。 分かってくれないか?」


 ちょっと? なんやねんこいつ。 さらっと部下に命かけろとか頭おかしいのか??

 前川は泣きそうな顔をしている。 うん、正しい判断ね。 

 このレベルでダンジョン潜るとかもうギャンブル通り越して自殺と変わらないわ。


 三上は前川の肩を掴み、じっと見つめる。


 「前川君。 いや、明世。 僕を信じてくれないか? ――波食さん。 我々の身を安全を保障してくれますか?」

 「可能な限り努力はするが、保証はしない」


 即答。 それを聞いて前川は更に絶望的な表情をしているが、三上の言葉に滅茶苦茶揺れていた。

 それはもうシーソーのようにぎっこんばったんと。

 ははーん。 こいつ、三上にほの字だな? それはいいんだけど、こいつ慕ってくれる娘に対して命かけろとか平然と言える辺りクソの臭いがぷんぷんするぜ。


 前川、騙されるな! そいつはお前を搾取しようとしてるだけで都合が悪くなったら切り捨てるぞ。

 断れ。 そして安全な所――具体的には私達とは全く無関係な場所で知らない男をサキュバスのように引っ掛けて生きていけ。 魅了があったら取り入るぐらい訳ないでしょ。


 断れ、断れと念じていると前川は頬を染めて小さく頷いた。


 「わ、分かりました。 三上さんがそこまで言うなら」


 まえかわああああああああああ!!! お前、マジでそれでいいのか!?

 比喩でもなんでもなく、死ぬんだぞマジで!! 

 蓑鋤はそうかと頷いた。 え? マジで? これ行く流れ?? 行っちゃう流れなの??


 「そう言う訳だ。 悪いが少しの間、家を空ける。 母さんが心配しないようにバイトに行ったとでも言い訳しておいてくれ」

 「ちょ、ちょーっと待って!? え? 行くの? マジで?」

 「あぁ、こいつ等が土壇場で怖気づかなければな」


 一応、私が難色示しているから自分だけで行くって感じになってるけど、蓑鋤一人で行かせられる訳ないでしょ。 こうなったら私も行くしかないじゃない。



 ――あれぇ? おっかしいなぁー??


 場所は万博記念公園、太陽の塔前――ぶっちゃけダンジョンの入口ね。

 天気は快晴! 良い探索日和ね! まぁ、潜るから天気意味ねーけど。


 私はこの二周目が始まった時にいくつか決めていた事がある。 

 蓑鋤を死なせない。 ダンジョンには一切近づかない。 自分達の幸福と利益を最優先する。

 暴食スキルという爆弾がある以上、バランス調整を行いながら安全なレベリング、レベルの頭打ちを抑える為に服部緑地公園や万博記念公園でそこそこのモンスターとの戦闘を心がける。 


 そして最後に自分達を脅かす者は何であろうと排除する覚悟。

 この先、以前のように絡んで来たゴミクズみたい連中がそれこそ無限に湧いて来る。

 そんな連中に搾取されないように最低限の力は必要だった。 だから、私の方針は決して間違っていないと思ってたんだけど、蓑鋤的にはそうじゃなかったのかなぁ……。


 私、蓑鋤君の事が分かんない! 

 ――とまぁ、色々と思う所がない訳ではないけど、行くって決めた以上は腹を括るしかない。

 蓑鋤が行くと決めた以上、話はとんとん拍子に纏まった。 三上が人員を集めるまで二日欲しいとの事。

 要は決まって三日後にダンジョンに潜る事になったのだ。 


 来なくていいと言われたけど、そんな事できる訳ないじゃん。 

 何度もダンジョンはヤバいと言い聞かせて来たつもりではあったけど、知っている私と違って蓑鋤は聞いただけ。 温度差が生まれるのは当然なのだ。


 だから、今回はいい機会なのかもしれない。 

 危険性を認識するという意味でもなんとか生き残って次回以降は控えるといった流れを作るのだ。

 頑張れ私! さてと現実逃避気味の思考から目の前の事に意識を移す。


 参加メンバーは20名。 集めたわねー。

 まだ、碌な検証も済んでいない上、先日の騒動があったのに参加する事に同意する奴がこれだけいるのも驚きだわ。 どいつもこいつも命要らねーのかよ。 馬鹿じゃねーの。


 私、蓑鋤、三上、前川の四人は最初からの取り決め通りとして残りの16人に関してだ。

 10人は戦士や武闘家などの直接戦闘に長けたメンバーで、残りの6人は支援要員兼荷物持ちって感じね。 ある程度、戦える奴を多めに集めたのは三上なりに安全を取った結果なのかね?


 その後は簡単な自己紹介を済ませた後、蓑鋤の「行くぞ」という一言でダンジョンへと足を踏み入れた。 

 


 ダンジョンに関しては前回に関しても中には入らなかったけど、ストリーマーのお陰でどんな感じなのかはある程度の情報は出回っていた。 私の持っている情報も出所はそこね。

 まず第一に普通の空間ではない事。 そうでもなければ入ってすぐに太陽の塔に収まる訳がない洞窟みたいな空間が広がっている事なんてありえない。 


 万博記念公園ダンジョン第一層は幅、高さ4、50mはありそうな広大な洞窟。

 壁や地面は岩のような感じだけど、簡単には崩れないようになっている。

 検証にストリーマーが魔法やらをしこたま撃ち込んだけど碌に崩せなかった。


 その為、逃げる際に天井や壁を崩して突破という真似は難しい。

 同じ理由で地下を掘り進めて下層を目指すというのも無理。 最初は一本道だけど途中から蟻の巣みたいに無数の部屋に枝分かれしているっていう割とシンプルな構造。 


 次にモンスターについてだけど、地上に近いこの辺りだと蟻とかカブトムシみたいな正面からゴリ押してくるタイプが多い。 あのサソリみたいなのはもうちょっと潜らないと湧いてこないわ。

 まぁ、引き連れて出る事は可能だから居ないとは言い切れないけど。


 「――なら道は分かるのか?」

 「大雑把にはね。 でも詳細までは分からない」


 蓑鋤の質問に即答。 期待してくれるのは嬉しいけど、そうもいかないのよねー。

 

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