表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二周目の彼女と三周目の彼。  作者: kawa.kei


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/41

第26話 サソリが出た

 「武器とかも使うし、レベルも高いわ」


 モンスターもジョブに就けるから高レベルの個体は普通に魔法とか使って来るからマジでヤバいのよ。

 一匹ぐらいなら勝てなくはないと思うけど、虫だからいっぱいいるのよね。

 そんな話をしている間に近寄って様子を見る。 知ってはいるけど迫力が凄いわ。


 空気の流れがあるのか中からは風が吹いていた。 


 「おい! 何があった!? 大丈夫か!? おい!」


 何やら騒いでおり、ちらりと視線をやるとスマホに向けて何やら叫んでいる人達が居たわ。

 多分だけど電子系のジョブに就いてスマホが使えるようになっていたんでしょうね。

 通信はスキルで行っているから電波状況は関係ないので、地下でもばっちりお喋りできるらしいわ。


 察するに中に入ったメンバーと連絡が取れなくなったって感じかしら?

 ある程度レベルを上げずに取り敢えずで中に入ると碌な目に遭わないからやっぱりダンジョンは駄目ね。


 「なぁ!? 誰か、助けに行ってくれないか!? 中には俺の妻も一緒なんだ!? 頼む! ちゃんと礼はするから!」


 20代ぐらいの若い男が周りに集まった人達に助けてくれと喚き散らしていた。

 ここで分かったと頷いてほいほい命を懸けられる人は素直に凄いと思うけど私達には無理かな?

 それはここで野次馬している人達も同じみたいで誰も彼もが微妙な顔をしてお前行けよといった表情。


 流石に余裕ない人を眺めていても気持ちの良い物でもないし、さっさと行きましょうか。

 少し奥に行けばゴブリンやらのモンスターが湧くはずだからそこでレベリングね。

 

 「可哀そうだけどさっさと行こ――」


 言いかけて不意に耳を音が拾う。 無数の足音だ。

 良かったじゃん。 奥さん無事かもとどうでもいい感想を抱くより前にやる事があった。

 逃げる事よ。 明らかに足音の感じから滅茶苦茶に走ってる。 ダンジョン内であんな走り方する奴は大抵、何かに追いかけられてるって決まってるのよ。


 対処できる雑魚なら何の問題もないけど、そうでもないならさっさと逃げた方がいいわ。

 

 「いや、これは間に合わないな」


 蓑鋤がそう呟いたと同時に恐怖と焦燥に彩られた表情の人達が飛び出し――その内の一人が何かに貫かれて宙づりになっていた。 何かが連なったようなデザインのそれには見覚えがある。


 「サソリかぁ。 ヤバいかも」


 呟くとそれがぬっとダンジョンの入口から出て来た。 

 名称は知らないけどなんか強いサソリね。 15mはある巨体だから見ただけでヤバさが分かるわ。 

 あちこちで悲鳴が上がり蜘蛛の子を散らすように皆が逃げ出す。 


 「あぁ、良子! 良子ぉぉぉ!」


 さっき助けを求めていた人はサソリのぶっとい針に貫かれて宙づりにされている女の人を見て悲鳴を上げていた。 あぁ、あの人が奥さんかぁ。

 腹に風穴が開いてるし毒も入ってるだろうからあれはどうにもならないわ。 可哀そうに。


 「あのサソリについてどこまで知っている?」

 「比較的、浅い層で出て来る中ではぶっちぎりでヤバいって話は聞いた事があるわ」


 単純な戦闘能力もそうだけど、大きな虫型モンスターって特殊なスキルを持ってる場合が多いの。

 中でも特にヤバいのは二つ。 一つは「脱皮」文字通り脱皮するんだけど、スキルである事を忘れちゃダメなのよ。 


 使用条件がかなり厳しくて、このスキルは簡単に言うとダメージを経験値に変換できるのよ。 

 で、使えるのはダメージを変換した際にレベルが上がる時。 少なすぎると使えない。

 それだけ厳しい条件だけあって効果は絶大よ。 


 HP、MP全回復に一定時間、全ステータスアップとかいうやけくそみたいな効果だ。

 強化の持続時間は一分もないらしいけど、上がり幅はかなり大きいって聞いたわね。

 実際に出くわしてないから知らんけど。


 「もう一つは何だ?」

 「あぁ、それは分かり易いわね。 『産卵』よ」


 ……どうやら、あのサソリはそっちみたいねぇ。


 カシャカシャと無数の細かな足音。 距離があるのに鳥肌が立ちそうな嫌な音だ。

 徐々に近づき、ダンジョンの入口から噴き出すように小さな――それでも1mぐらいはあるけど無数の子供サソリが現れた。 『産卵』こっちも中々に条件の厳しいスキルで、自身の余剰経験値――要はレベルアップ途中のそれを消費して卵を精製するスキルみたい。


 どれぐらい消費するのかは知らない。 ただ、レベルを下げる事は出来ないのでそこが上限らしいわ。

 生まれた子供は親のステータスとスキルの一部を引き継いでいるから親が強ければ強いほどに強力な個体が生まれる。 後、大抵は数十単位で生み出すから数が多い。


 一匹、二匹ならステータス差で圧倒できるけど、数が来るとヤバいわ。

 特にサソリは毒があるからしつこく打ち込まれるとレベル差あってもすぐ死ぬ。

 この世界の状態異常って累積するから、何回も喰らうとスリップダメージがえらい事になるわ。


 「お前らぁ! よくもぉ!」


 奥さんを殺されたであろう男が拳を固めてサソリに突っ込んで行ったけど、尻尾の一薙ぎで吹き飛ばされる。 漫画みたいな吹っ飛び方で地面を三回ぐらいバウンドして止まった。


 ダメージが大きいのか死んではいないけど動かないわね。

 倒れて動けない所を子供サソリたちが群がり、針をぶすぶすと突き刺してとどめを刺す。

 うへ。 これは酷い。 経験値を得てレベルアップしたのか一部のサソリが一回り大きくなった。


 あちこちで悲鳴が上がるけど一部は魔法を撃ち込んだりと攻撃を仕掛ける者もいたわ。

 半端に攻撃手段を持ってると使っちゃうわよねぇ。


 「おい! 鑑定を使える奴はいないのか!? あいつのレベルなり弱点なりは分からないのかよ!?」

 「今見てるわ! ――れ、レベル50!? つ、強すぎる!?」


 あー、50もあるのか。 じゃあ今の私達だとしんどいわね。

 うん。 逃げよう。 幸いにも叫んで気を引いてくれる人達がいるから何とかなるでしょ。

 

 「蓑――」

 「解毒は使えたな」


 うん。 まぁ、僧侶だし使えるけど、あの蓑鋤さん? もしかして戦る気ですか??


 「解毒と回復を頼む」

 「いや、レベル差考えようよ。 まだ早いって――」


 ぎゃー!? 突っ込んで行っちゃった!? なんでー!? 蓑鋤なんでー!?

 蓑鋤はおもむろにポケットから拳銃を抜くと発砲。 

 パンと乾いた音がするとサソリが何かにぶん殴られたかのように後退した。 

 

 ……おぉ、効いてる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ