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二周目の彼女と三周目の彼。  作者: kawa.kei


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第21話 スキル探しに山へ②

 箕面山。 箕面大滝やニホンザルの群生地で有名な場所だ。

 昭和の中頃に生態調査の名目でニホンザルの餌付けに成功した結果、色々と分かった事のは結構な話だが、人に慣れ過ぎた猿は少し図々しくなり人家に忍び込んだり人を襲ったりとやりたい放題になったようだ。


 最終的には山中深くに追いやり、餌をやってはいけないと市の条例で定める事となった。

 人間と自然にはある程度の距離感は必要なんだろうなと蓑鋤はぼんやりと思う。

 山中に足を踏み入れただけで危険である事がはっきりと分かった。 


 木々は折れるどころか一部は焼けたり、消し飛んだりと戦闘の痕跡がはっきりと分かる状態だ。

 恐らくはモンスターと一戦やらかしたであろう猿の仕業とみて間違いない。

 現在地は箕面大滝へと向かう所謂、滝道だ。 ここは家からも比較的、近い事もあって偶にではあるが気分を変えたい時にジョギングに来ていたので見慣れた場所でもあった。


 夏でも涼しい良い場所で、帰りに喫茶店で冬はホットコーヒー、夏はコーヒーゼリーを楽しんでいた。

 滝道は上りさえしなければ滝まで迷う事はないので迷わずに進める。

 暗視スキルの効果もあって視界は明瞭だ。 戦闘痕は滝まで続いており、近づくにつれて激しくなっていく。 静かなだけあって滝の音がよく聞こえる。 


 そして近づくにつれてゴブリンやコボルト、川にはサハギンやマーマンの死骸が浮いていた。

 消滅していないという事は死んでからそう経っていないのだろう。

 厄介な所はこれをやったであろう連中の死骸が一切転がっていない事だ。


 ――少し早まったか?


 そんな考えもあったが、あまり悠長にしていられない蓑鋤は危険であっても行くしかなかった。

 破壊された店舗が立ち並ぶ横を通ると戦闘の物と思われる音と衝撃。

 そっと滝を見上げる事ができる広場、この道に終点に辿り着くとそこでは死闘と呼ぶには一方的なそれが広がっていた。


 片方はゴブリンとコボルト、川にはサハギンやマーマン。

 ゴブリンは一部武装している個体もいる点からそこそこのレベルに達している事が窺える。

 対する相手は――予想通り猿だったのだが、何だあれは?


 ナイフ、弓矢などの取り回しの良いサイズの小さな武器を装備した猿の群れが、ゴブリン達を次々と屠っていた。 そして何よりも目を引くのが3メートルはあるであろう大型の猿だ。

 自然に大きくなった物ではなく、スキルかアイテムで巨大化したのだろう。


 それだけでなく、腕には円形の盾とロングソード。 

 長い腕を活かした斬撃は剣のそれから逸脱しており、まるで鞭のようだった。

 武装ゴブリンは頑張ってはいたが、レベルに差があるのか大猿の一撃に一歩、また一歩と後退させられている。 強い。 それに動きが組織立っている点も凄まじい。


 こいつ等は本当に二日前までただの野生動物だったのかと疑いたくなるレベルの連携と統率だ。

 大猿を中心に近接武器を持った猿が前衛を務め、弓矢を持った猿が後方から援護。 

 その更に後ろには杖を持った猿が魔法のような物まで使っている。


 蓑鋤は見つからないように物陰に隠れて猿に対して片端から「鑑定」をかける。

 視たいのはステータスではなく所有しているスキルだ。 

 

 ――これは凄いな。


 レベルはバラバラだが、最低でも10はあって先頭の大猿に至っては30近くあった。

 対するモンスターは10~15レベルなのでこの様子だと猿に返り討ちに遭うだろう。

 鑑定を行うと確かに使えそうなスキルは持っているが、今欲しい物ではない。


 黒魔法、火炎魔法、水魔法、身体能力強化、弓術、巨大化。

 経験値アップ、防御力アップ、剣術、盾術、杖術、体術。

 違う、違う、これでもない。 調べている間に次々とモンスターは数を減らしていく。

 

 このままだとそうかからずに全滅する。 

 諦めて離れようかとも思ったがふと冷静に考えているとある事に気が付いた。

 戦っている連中は戦闘向けのスキルを持っている以上、蓑鋤の欲している物は持っていない。

 

 ――狙うべきは非戦闘員だ。 


 ならやるべき事はここで様子を見る事ではなく、戦えない猿の居場所を割る事だ。

 時間は余りかけられないが、今なら行けるとその場を離れる。

 脳裏でこの周辺の地図を広げる。 目指すべきは箕面山の奥だ。


 本来なら道を遡ればいいが今の身体能力なら力技で行ける。

 木々を縫うように進んで奥へと奥へと夜の山中を進む。

 しばらく進む――頂上付近でそれを見つけた。 猿の群れだ。


 50以上の猿が固まっている姿が見える。

 蓑鋤は猿の生態にはあまり詳しくないが、こんな規模の群れをつくるのは少し不自然だなと思いながら片端から鑑定をかける。 


 ウォーターボール、ファイヤーウォール、サンダーボルト。

 攻撃魔法を単独で所持している物が多い。 最初に配られるスキルにはかなりピンキリがある。

 操作等が付く物は応用範囲が広く使い勝手も良い。 その為、当たりの部類に入るスキルだ。


 反面、こういった効果が限定されたスキルは余り応用が利かない事もあって先述の操作や創造系のスキルに比べると評価はかなり落ちる。 後は経験値アップ、攻撃、防御などのステータスアップ系。

 経験値アップやレベルアップ時にステータス上昇に補正がかかる物は貴重ではあるが、逆に最終値に補正がかかるタイプのスキルはジョブに就けば手に入る事も多く外れの部類に当たる。


 蓑鋤が欲しいのはもっと用途の限定されている更に外れのスキルなのだが――


 「近いが違うな」


 一匹、それっぽいスキルを持っている個体が居た。 

 スキル名は防御変換(物理)。 

 ステータスを防御力に変換するスキルなのだが、変換対象がランダムらしい。

 鑑定で確認するとなるほど、尖った代物といえる。


 レベル8 生命力:210 魔力:120

 ジョブ:戦士(8)

 力:1 物理攻撃:1  

 防御:16 物理防御:550 魔法防御:4 

 知能:15 魔法攻撃:20 


 戦士なのに攻撃力関係のステータスが1なのはまずいだろうと思いながらもこの偏り方を見ると本当にどれが落ちるか分からなさそうだ。 

 ただ、満遍なく減っている点から異形度を削れる可能性はありそうだった。

 念の為に他の猿のステータスを確認。 類似のスキルはなかった事もあってこの猿からスキルを奪おうと決めた。 


 物理防御が突出して高いが、魔法防御が終わっているので処理は難しくなさそうだった。

 すっと忍び寄った後、アースパイクで一撃。 

 腹を貫かれた猿は自分に何が起こったのか理解できずに即死した。


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