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二周目の彼女と三周目の彼。  作者: kawa.kei


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第18話 家に帰れた

 塞いで聞こえ辛くなった後、パンと乾いた銃声が響き。 

 一瞬、後れて地面が縦に揺れた。 ズンって感じで。

 え? 何の音?? 思わず目を開けそうになったけど蓑鋤を信じてそのままにした。


 蓑鋤は拳銃を撃ったのかしら? 

 よく分からないけど一発撃った後、すぐに移動して建物から建物へと飛び移り、充分に距離を稼いだところで着地。 もういいと耳元で囁かれたので目を開いて手を放した。


 「何をしたの?」

 「あぁ、ちょっと気の毒だったからな。 一発だけ撃って気を逸らしてやった」

 「えぇ!? 何か私、睨まれてたんだけど追いかけてこない?」

 

 蓑鋤は小さく振り返る。 

 それに合わせて私も後ろを見ると犬の居た場所は離れて見えなくなっていた。

 

 「いい所に入ったからな。 それどころじゃないだろ」

 

 やだ、意味深。 キリって感じの表情が格好いい。 しゅき♡

 

 「ダラダラやるのももう充分だろ。 さっさと帰るぞ」

 

 え? このまま行く感じ? 

 だったら肩に担ぐ感じじゃなくて負担の少ないお姫様抱っこがいいなぁ。

 この体勢って腹がぎゅっとなってちょっと苦しいんですけど。 


 特に着地の度に圧迫されちゃうからこう、何とかならない?

 蓑鋤はそんな私を見るとしょうがないなと溜息を吐くとお姫様抱っこに変えてくれた!

 おほー、思った以上に気分がいいわー。 このままお持ち帰りとか結婚式の前準備かな???


 

 江坂町。 吹田市の南部に位置していてお隣の豊中市のすぐ傍ね。

 服部緑地から少し離れた位置が我が家よ。 そして蓑鋤のお家はお・と・な・り。

 私の両親は居ないけど、蓑鋤のお母さんはちょっと離れた所にある公民館に避難しているはずだった。


 「どうする?」

 「一応、先に家を見とこう。 もしかしたら待ってるかもしれない」


 蓑鋤のお母さんはあんまり素行の良くない息子に対して思う所はあるけど、優しい人だから心配して待っている可能性が高いわ。 

 流石に一週間は待てなかったみたいだから前の時は公民館に避難してたけど。 

 家もかなり荒らされてたし判断としては正しかったわ。 


 蓑鋤が大きく跳躍し、僅かな滞空時間を経て着地。 ほい、到着!

 家の様子は――うん、大丈夫そう。 何処も壊されてないからもしかしたら居るかも。

 私を下ろした蓑鋤がさっさと門を開けると家の中へ――入ろうとしたけど鍵がかかってる。


 ポケットから鍵を取り出すと解錠。 ドアを引くとチェーンに引っかかった。

 これは居るわね。 


 「かあさん。 俺だ。 開けてくれないか?」

 「……蓑鋤?」

 

 声をかけると恐る恐るといった様子でおばさんが顔を覗かせる。

 表情は不安一色だったが、蓑鋤と私の姿を見ると慌てた様子でチェーンを外して招き入れてくれた。

 そのまま私達をぎゅっと抱きしめる。


 「大丈夫だった? あぁ、良かった。 心配したのよ。 本当に……良かった……」

 

 おばさんは言いながら涙ぐんでいる。 その様子を見ると私までちょっと涙が出そうになった。

 付き合いはあるけど他人の子をここまで心配してくれるおばさんの気持ちは素直に嬉しい。

 

 「はい、大丈夫でした。 蓑鋤が守ってくれたので」


 そう言いながらおばさんの背中をさする。 蓑鋤も同じように背中を撫でていた。

 


 お互いに落ち着いた所で、お互いどうしていたのかの擦り合わせの時間になった。

 おばさんは早い段階で外の異変に気付いた事もあって施錠して立て籠もったらしい。

 良い判断だった。 モンスターは人の多い方に流れる傾向にあっていちいち、探したりはしない。

 

 戸建てという事も幸いした。 マンションとかだったら人の気配が多いから狙われやすいみたい。

 実際、大きなマンションはかなり大きな被害を出したらしいし、犠牲者も多かった。

 近所が避難していたのも大きいわね。 お陰で人の気配がほとんどない。


 ただ、いつまでもその幸運は続かない。 少なくとも一週間経ったら無事では済まなくなっている。

 前の時は帰ってきたらかなり荒らされてたからね。 

 苦労して帰った家が廃墟みたいになっていた時の絶望感といったら本当に辛かった。


 荒らした連中の足跡からゴブリンとかのモンスターだけじゃなく、靴跡もあったから物取りも入ったんでしょうね。 クソが、人の家を荒らしやがって誰か突き止めたら地獄へ送ってやるからな――蓑鋤が。

 

 「危ないからおばさんは避難所に行った方がいいと思うんです」

 

 少なくとも私の記憶にある限り、避難所――公民館が襲われたという話は聞かなかった。

 バイトやらで江坂に留まっていなかった事もあってあんまり細かい事件とかは知らないけど、おばさんが死んだという話はなかったはず。 


 「婀唯ちゃんはどうするの?」

 

 おばさんはこんな状況でも自分よりも私を気遣うような様子を見せてくれる。

 優しい。 好き。 蓑鋤と結婚したら絶対お義母さんって呼ぶわ。

 

 「えっとですね。 多分なんですけどこの状況ってそう簡単に収束しないと思うんですよ」


 少なくとも前の時は私が死ぬまでそのままだったしね。 

 

 「だから、色々と調べようと思ってます」


 事前にステータスシステムの事は簡単に説明しておいた。

 ゲームに疎いおばさんは首を傾げていたが、何となくは理解してくれたと思う。

  

 「あんまり危ない事はしちゃだめよ?」

 

 一通り聞いたおばさんの第一声がこれだった。 良い顔は出来ないけど反対もしない。

 蓑鋤のやらかしに関してもあんまり強くは言わない傾向にあるから説得はそこまで難しくないと思っていた。 


 「はい、危ない目に遭わない為にやる事なので、大丈夫ですよ!」


 おばさんは心配そうにしていたけどこれだけは譲れなかった。


 

 「――という訳でやってきました服部緑地!」


 おばさんを避難所まで送り届けた私達はここ服部緑地公園へと足を踏み入れたわ。

 服部緑地公園、甲子園球場33個分の面積があるっていう超広い緑地よ!

 入園は無料だけど一部施設と駐車場は有料! さて、ここに来て何をするのか?


 「レベリングだろ」

 「その通り!」


 実はここって将来中々にホットなレベリングスポットになるのよ!


 「何で?」

 「私も正確には分かんない!」


 でも想像は出来るわ。 モンスターのリポップって基本的に開けた場所で行われるみたいなの。

 だからこういった開けた場所はモンスターが湧きやすいって訳。

 そしてモンスターは数が増えると勝手に殺し合ってレベルも上がるし、ポップする中には経験値が多いレアな個体も含まれるから美味しい場所って訳なのよ!

 

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