第15話 不良に絡まれた②
「っざけてんじゃねぇぞ!」
仲間が半分死んだ所でようやく前の三人――リーダー格っぽいクソガキが反応したわ。
ダボダボのパーカーのポケットに手を突っ込むと拳銃を抜いた。
即座に発砲するが蓑鋤に当たる前に出現した巨大な火球に当たって弾が溶けた。
凄いわー。 なんかジュって感じの音がしたわ!
「な、何で――」
流石に蓑鋤が死んだ仲間のスキルを使ってるって気付いたみたいね。
もう遅いけど。 蓑鋤は火球を射出。
バスケットボールサイズの火の玉がピッチングマシーンの最高速度ぐらいのスピードでクソガキへと飛んでいく。 狙ったのは真ん中の拳銃持ちじゃなくてその左隣だった。
いきなりだった事もあって棒立ちだったクソガキは碌に反応もできずに直撃。
もがき苦しむ間もなかったみたいで即座に上半身が人型の炭の塊になっちゃったわ。
「は!? なんだよこいつ。 やべぇって!?」
右が逃げようとしたけど、蓑鋤は踵で地面を軽く叩くと地面が隆起して杭状になったそれに腹を貫かれた。 蓑鋤が歩きながら腕を一閃すると腹に風穴が開いて悲鳴を上げているクソガキの首がポロリと落ちる。 ゴブリンの時も大概だったけど人間相手でも欠片の容赦もないわー。
蓑鋤さんパネぇっす。 そんな所もしゅき♡
残ったクソガキよく分からない事を喚きながらが拳銃を連射するけど蓑鋤が腕を一振りすると炎の壁が出現して悉くを無効化した。
蓑鋤のレベルを考えるとそこまで強力な炎の壁じゃないはずなんだけどなぁ。
ははーん。 さてはクソガキ、レベルをあんまり上げてないな?
蓑鋤は無言でツカツカとクソガキに歩み寄る。
「ち、畜生!」
クソガキは踵を返して逃げ出そうとしたけど派手にすっ転んだわ。
こけ方から足を何かに引っ張られた感じだけど、よく見ると糸が絡みついている。
蓑鋤が腕を引くとクソガキはそのまま引き寄せられ、その間に足を持ち上げ――
グシャリと頭を踏み潰した。
一分足らずで六人も殺っちまったけど、正当防衛だししょうがないネ☆
放っておくと蓑鋤は殺されてたし私はクソ共に色々された後に殺されるか売られるかするだろうし。
それにしても本当に強いわねぇ。 大阪駅でレベリングしたとは言え、六人相手に圧勝は凄い。
――というかさらっとスキルを奪って使ってたわね。
「前にも言ったけどスキルを奪うのは慎重にね?」
浸食度が一定値を超えると暴走するからそれだけが心配だった。
「あぁ、問題ない。 許容範囲内だ」
「ならいんだけど。 ――ところで何を奪ったの?」
「創糸、火炎、アース・パイク、後は銃使いだな」
創糸は指から出してた奴か。 一瞬で相手を絡め取ってたなー。
あれかな? 首をキュッと絞めて仕事人的な感じの事ができるかも。
火炎は魔法系スキルの上位互換ね。 魔法って個別に習得する形になるのよ。
私の僧侶のスキルを見れば分かると思うけど、回復と解毒は似た系統のスキルだけど単独スキル扱いなの。
だから火の玉を飛ばすファイヤーボールってスキルを覚えたらそれしかできないって訳。
その点、上位互換の火炎は炎を生み出して操るって感じのスキルだから何かと応用が利くのよ。
だからアース・パイクっていう地面を槍状に隆起させるスキルに関しては下位互換にカテゴライズされるから槍状にはできるけどそれ以外の形にはできない。
最後の銃使いは単純に拳銃が使えるようになるスキルね。 ガンスリンガーになると簡単に取れるわ。
蓑鋤は死体の懐を漁っているけど必要ないよ。
何故なら死んだら持ち物は自動的に相手に所有権が移るから蓑鋤のインベントリに入ってるんじゃないかしら。
「……あぁ、確かにあるな。 そう言えばインベントリとやらの説明はされていないな」
「ステータスシステムにデフォでついてる倉庫の事よ!」
アイテムを入れて置けるわ! ただ、無限ではないからそこは気を付けないとだけどね!
レベル上昇で上限が増えるみたい。 後、大きさにも制限があるの。
自分より大きなものは収納できないわ。
「そうなのか? その割にはゴブリンやらのドロップアイテムは結構な種類が入っているが?」
蓑鋤が首を傾げながらウインドウを操作。 私はふふん胸を張って見せる。
ここが知っている人にしか分からないポイントよ! ドヤァ!
はい、ドロップアイテム――殺害した相手からの収奪品もこれに含まれるんだけどそっちは別枠になるのよ。 そっちに関しては収納量は無限! わお! 凄い!
なら実質無限に物を持ち運びできるんじゃないのかって思うじゃん?
でも問題もあるの!
ドロップ品は一度でも実体化、もしくはインベントリに移動させると元に戻せなくなるわ!
だから動かすときは慎重にって事!
ついでにドロップは所持品に含まれないので、その状態で死ぬと消滅するわ。
蓑鋤はなるほどと呟きながらインベントリからアイテムを実体化。
さっきのクソガキが持っていた拳銃と弾を実体化させると弾を確認。
「なるほど。 もう一つ聞きたい。 仮にこれを落としたとして拾った奴に所有権が行くのか?」
「行かないわ。 落とした物を触る事は出来るけど持ち主が許可するか死なないと所有権の移動はないの。 ただ、死んだ場合は殺した方に行くからそうなるとぱっと消えてそっちに行くわね」
こういう所は割とシステマティックなのよね。 ルールが明確化されているというかなんというか。
「安易なズルは出来ないって解釈で問題ないわ!」
ただ、これには例外がある。
ダンジョンなどに落ちている代物――要は所有者が居ないアイテムに関しては拾ったもの勝ちね。
だから将来的に店に並ぶ物は売主に所有権があるから、ディスプレイされている物を盗った所で無意味よ。 まぁ、万引きは出来ませんって話ね。
……まぁ、窃盗系のスキルがあるらしいから絶対じゃないけどね。
橋を渡った後は特に何とも遭遇せず、私達はそのまま十三駅に到着したわ。
阪急十三駅。 神戸、宝塚、京都本線とこの辺だと何処へ行くにも経由する場所ね。
おっきな駅だから遠目でも目立つわ!
――ってか人、多いな。
駅に近づくと人の気配が増え、どうやら避難場所になっているのか人の出入りが多かった。
そう言えば前の時も十三は割と人の出入りが多かったのはこの所為かー。
早い段階で避難所として機能していたからそのまま人が居着いた感じって所かしら?
時間的にはまだ昼間なので一泊する必要はないけどちょっと覗いておきたいわ!




