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二周目の彼女と三周目の彼。  作者: kawa.kei


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第11話 彼について②

 各種ステータス、ダメージ上昇はゴブリンから(小)を複数奪うと合算されたのか(大)になった。

 暗視もゴブリン。 狂圧はホブゴブリンから威圧を複数奪うと変化。 経験値分配はコボルト。

 サイレントフィールド、水中適性は道頓堀で襲ってきたサハギンが持っていた。

 

 同じスキルは物によっては重ねると強化されるらしい。 

 婀唯の言う事は正しい。 

 ゴブリン、ホブゴブリンにも個体差が存在し、持っているスキルも微妙に違う。 

 

 攻撃力強化しかもっていない個体も居れば防御力強化しか持っていない個体もいる。

 ホブゴブリンは上位種だけあって、レアなスキルを持っている可能性が高い。

 期待を込めて呼び出したのだが、目当てのスキルを持っている個体が居たのは彼にとって僥倖だった。 


 さて、蓑鋤が欲していたスキルは何か? 

 ステータスウインドウには殺害した大型のコボルトが持っていたスキルを奪うかの選択肢が記されていた。


 欺瞞:MP消費/0(パッシブ)

 鑑定に対して偽のステータスを表示する事が可能となる。


 欲しかったのはこれだった。 将来的に婀唯は鑑定士へとジョブチェンジするだろう。

 その時、これを見られると困るので、早い段階でごまかす為のスキルは手に入れておきたい。

 バアル・ゼブルは今回(・・)新たに選択肢に上がったジョブだった。 


 その為、特性を掴むまでは手探りで行こうかとも思っていたが、詳細を知って方針を変えたのだ。

 婀唯はタイムリープした。 前回の死亡理由は口にしなかったが、蓑鋤には分かっていたのだ。

 彼女は一点、大きな見落としをしていた。 暴食は殺害対象からスキルを奪う事が可能となる。

 

 つまり前回蓑鋤が殺した婀唯が持っていたスキルは化け物へと成り果てた蓑鋤の下へと移っていたのだ。 そう、記憶遡行が。

 つまり、蓑鋤も前回の記憶を持っている。 それも二回分・・・の、だ。

 

 前々回――つまり最初のループ時に記憶遡行を持っていたのは蓑鋤だった。

 そして暴食を持っていたのは近くにいた知らない誰かだった。 婀唯は居ない。

 何故なら当時、彼女と蓑鋤の仲は良好ではなかったからだ。 


 つまり出かけるというイベント自体が発生しなかった。 それに関して仕方のない話ではある。

 最初の蓑鋤は卑屈で陰湿、体力もなければ意志も薄弱。 あまり褒められた人間ではなかった。 


 ――今もそうかもしれないが。

 

 ただ、それ故に生き汚かった。 当時、選択できた特殊職業は「鑑定士」。

 前回の婀唯と同様に鑑定を多用して経験値を稼ぎ、レベルを上げて行った。

 特に鑑定はMP消費が0と言う事もあってとにかく使い続ければ微量ながらも経験値は貰えるのだ。

 

 それによってその辺の石やがらくたを片端から鑑定してレベルを上げ、稀にガラクタの中に混ざっている使えそうな物を拾って売却して糊口を凌ぐ毎日。 

 当時の気持ちを詳細には思い出せなかったが、惨めだった事だけは覚えている。


 ――だからだろうか?


 かなり後になってから可能となるスキル強化を実行し、記憶遡行をアップグレードしたのは。

 これは婀唯も知らない事だが、スキルは強化する事が可能で記憶遡行の場合は遡行のタイミングを変える事ができる。 初期状態だとゲーム開始時点――つまりこの状況になった瞬間だが、強化するとそれ以前にタイムリープが可能となるのだ。


 未来知識を利用して最強を目指す。 ラノベでは割とある話だ。

 果たしてそんなに上手くいくのか? 今はそんな疑問が出る程度には客観的にみられている。

 ただ、当時の蓑鋤からすれば人生を変える事ができる希望に等しかった。


 知識は力だ。 先の事を知っていれば利益を独占する事も夢ではない。

 だから蓑鋤はとにかく情報を集めた。 集め続け、来たる二周目の人生に備えたのだ。

 そしてその過程で婀唯の死を知った。 繰り返しになるが、彼女は幼馴染ではあるが関係値としては皆無に等しいほどに希薄な関係だけあって当時は特に何も感じなかった。

 

 精々、そうだったんだと他人事のようにそう思っただけだ。

 ただ、知らない相手でもなかったので喉の奥に引っかかった小骨のように頭には残ったが。

 最初の蓑鋤の最後は呆気ない物だった。 


 配信者のアシストと言う形でダンジョンに入り、そこのモンスターに喰われて終了だ。

 そして満を持して訪れた二周目。 成功はしたのだが誤算が一つ。

 遡行時間を限界まで強化した結果、三歳まで戻ってしまったのだ。


 バブバブと歳相応の振る舞いをするのは中々に羞恥心が試される場面ではあったがどうにか乗り切り、蓑鋤はこの先に訪れる新世界に備えて体を鍛えた。 

 単純な筋トレに加え、近くの格闘技の教室を覗いてこっそりと技術を学んだ。

 

 蓑鋤は粘着質な男ではあったが、ストイックでもあった。

 先の事が分かっているが故に高いモチベーションを維持できた事もあったが、ステータスが幅を利かせる世界で体を鍛える意味はあるか? そう問われれば蓑鋤は多いにあると答える。


 理由は単純に体を効率よく動かすコツを掴める事。 ゲームで例えるならプレイヤースキルの強化だ。

 同じステータスならスキルが上の方が勝つ。 加えて、暴力行為への躊躇を消す事。

 一週目で何度も死の危険を潜り抜け最終的には死すら乗り越えた蓑鋤だが、他者を傷つけるという行為に対してはまだ心理的なブレーキが存在した。 


 それを意図的に取り払う事は更に重要だ。 

 プレイヤー間の殺し合いも日常茶飯事である以上、自らの尊厳を守る為に戦わなければならない。

 強く在りたいなら猶更だ。 だから、小学生に上がるタイミングから意図して不良のように振舞った。

 

 気に入らない奴が居れば人気のない所に誘い込んでボコボコにし、負けた場合は翌日にはお礼参り。

 相手が複数で来た場合は一人一人丁寧に闇討ちした。 

 両親からの心証は大きく悪くなったが、他人に対して暴力を振るう練習としては最適だった。


 特に気に入らない相手なら精神的なハードルが下がるというのも選択としては悪くない。 

 気が付けば周りからほとんど人は消えたが、婀唯だけは残った。

 蓑鋤からすれば中々に不思議な話で、最初の人生では真っ先に離れて行った彼女が最後まで傍に居たのだから。 


 ただ、理由はあった。 

 婀唯が死んだ事を知った蓑鋤は何となく、彼女に対する接し方を変えた事が大きな要因だろう。

 

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