上級神術限定使用スキルの謎
「スキル研究の結果が出たわ」
「え?」
ティルはレポートを持って来た。
「貴方が何故稲妻を落としたり出来るかよ。これまでのデータを天界の上司と先輩に送って分析してもらったわ」
「は、早いね」
「元々研究は進んでたんだけどね。でその結果だけど、貴方にはつまり『上級神術限定使用スキル』があるのよ!」
「『上級神術限定使用スキル』?」
「そう、つまり貴方がこれまで雷や地震が呼べたのは近い未来のレベルで覚える高威力の『上級神術』をまだそのレベルに達してなくても特定条件下で使える様になってるのよ。これは混血神にしかないスキルよ。例えばレベル三十五で覚える落雷をレベル八で一回だけ使えるとかね。嵐、突風、地震とか」
「そうだったんだ! 生まれつきそんなスキルがあったんだ」
「でその条件だけど『肉体、メンタルのいずれかが限界に近い状態になった際百パーセントではないけど使えるようになる』、でそれ以外の発動条件としては『通常の数倍の神力を込める、寿命を縮める、無心の祈りの力が頂点に達する』、等よ」
「寿命を縮める、何か怖いね。あと『無心の祈りの力』って?」
「この前稲妻を落とせたのはあの子供の為に無心に祈ったからよ。自分の利益とかじゃなくて」
「じゃあ俺は大ピンチになると強大な力が出るって事?」
「でもそこにポイントがあるの。このスキルは『俺には強力なスキルがあるから逆転できるだろう』と言うような油断や甘く見る気持ちがあるとそれが邪心となって邪魔をしてスキルが発動しなくなるの」
「なるほど」
「だから基本は奇跡を当てにせず戦わなければいけないしそれだけの力を身につけなければいけないわ。でも矛盾するようだけどまだ弱い貴方が強敵や大群と戦うにはこの力がキーになるわ」
「そうか、当てにせず、だけどって感じだね」
「貴方の今の力、それに旅しながらの限られた時間の修行じゃ限界があるわ。だからこのスキルが鍵になる」
「怒りが限界を超えたり、体力も死にかけたりした時とかか。使いこなすのは難しそうだね」
「そうね。神だけど神頼みみたいな。それと貴方がこのスキルに対し無意識になればなるほど発動確率は上がるわ」