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防がれた太陽光 起死回生エアカッター返し

2024年7月18日改稿しました。

「運命的だな小僧。今日は死だが」

「言って信じてもらえるか知らないけど、俺はあんたに少し感謝してるよ」


「何?」

「あんたに手も足も出ずに敗戦したから初めて人に負けて悔しい気持ちが強く生まれたんだ。その事を心に止めて今日まで来たんだ。親元で育った温室育ちの俺は負けん気が弱かったんだ」


「感謝されるとは意外だな」

「俺は最初にあんたに言った様に命を奪いたくないけどね」


「……そういう部分は温室育ちだな」

「今日は違うぞ! 変わった所をあんたに見せてやる。あんたがどうしても行く手を邪魔するのなら」

「面白い、見せて見ろ」


 静寂が流れ、ロミイは心配そうに見つめる。

 俺は相手の強さが分からないんだけど、あいつも前から変わってる感じがする。


 俺はにらみ合いの間に考えた。

 色々特訓したけど、俺は肉体の強さはそんなに変わっていない。

 神術と聖霊を操る力は上がってるけど。


 アローザーが聞いた。

「スカーズはあいつと互角に戦えるのか?」


 ティルが答えた。

「接近戦では全く勝ち目はないわ。どういうつもりか知らないけど」


「そんな!」

「危なくなったら助けに入りましょう」


 ティルの言う通りなんだ。

 だから俺は遠距離戦で勝負する。

「エアショット!」


 俺の手からゼッツリオンと初めて会った時の数倍の威力のエアショットが飛んだ。

「ぬおうっ!」


 渾身の力を込めて受けの体勢に入るゼッツリオン。

 筋肉が盛り上がる。

 効くだろうか?


 直径六十センチのエアショットを太い両腕で掴み押しのけようとするゼッツリオン。

「ぬ、ぐ、あああ!」


 はじき返した!

「だが、もう一発だ」


 返された時まで想定してもう一発用意してたんだ。

 今度は大きさは同じくらいだがスピードがもう少し速い。


 あいつがまだ体勢が整っていない。

 無防備な体勢のゼッツリオンに当たった。

 

 大爆発と煙が舞う。

「ぐ、ぐあああ」


 獣の様な唸り声を出しゼッツリオンは現れた。

 体は焦げているのだが顔は笑っている。


「小僧、大分力をつけたな。俺を倒すまでは至らないが。接近戦でケリをつけてやる!」

 ゼッツリオンは突進しようと構え力を溜めた。


 もう一発エアショットを撃って迎え撃つべきだろうか。

 いや、あいつも多分承知済だ。

 なら見せた事のない手で。


 俺は精霊と天使をさっきの様にバリアを張る様に配置した。

「まさか迎え撃つ気か俺の突進を」


「結構賭けだ」

 そして両者が駆け出した。


 中央での激突。

 火花が散りそうな力と力。


「うおおお」

「おおお」


 ガンと言う音と共に俺は後方に弾かれた。

 ゼッツリオンははあはあ言っている。


「驚くほど成長したな小僧。次でとどめを刺してやる」

 ゼッツリオンがうつぶせダウンした俺に突進してきた。


 ところがその重い一撃をロミイは背中でかばい受けた。

「なっ!」


「機械人形の体を甘く見ないで。私達は絶対スカーズさんを理想郷へ行かせるわ」

「……」

 ロミイの立ち姿には凄い覚悟から迫力があった。


 ゼッツリオンは手でロミイを弾いた。

 俺は何とか立ち上がる。

 

 よし、そろそろあれを出すか。

「はああ」

「ぬっ!」


「あんたの苦手な太陽の力だよ」

「……」


 俺の額に太陽の紋章が浮かび上がる。

「受けろ! 太陽光投げ!」


 掴んだ光が猛スピードでゼッツリオンに向かう。

 微動だにせず待つゼッツリオン。


 ゼッツリオンはガードせず何発か受けた。

「ぬおうっ!」


 何て頑丈な肉体だ。

 でもここで下がるわけには行かない!


 ドシュドシュと現世で言うマシンガンのように俺は太陽光を連射した。力の限り。

 はっきりいって太陽光が一番消耗するんだ。


 なおもガードせず受けるゼッツリオン。

 にやりとすると光を受け止めた。


「何⁉️」

「はっはっは! 俺は貴様の光投げを見切れるようにしてきたのよ」

「くそ!」


 俺はさらに乱射したが全て撃ち落とされた。

 もう手がない。

 しかも体力も。


「止めを刺そうと思ったがもう一つだけ面白い物を見せてやる」

「?」

「自分の技を真似されて死ね」

 

 ゼッツリオンは何と構えからエアカッターを出した。

「え?」


「ははは! お前は神の力で出しているようだが、俺は体術で出してるのよ」

 数発のエアカッターが俺の体を切り裂く。


「それ!」

 さらに大量のエアカッターを出し、軌道まで操作してきた。

「コントロールは脳波でやってるんだがな」


 そうか、最後まで自分の力を誇示して俺に力の差を見せようとしてるんだ。でも!


 俺はエアカッターを止めた。

「え?」


 そして数発のエアカッターを投げ返した。

「エアカッター返し!」

「ぐああ!」


「そんなバカな」

「俺は自分の技を真似された時の対処をずっとやってたのさ。本当にその時が来るとは思わなかったけど。俺の分とあんたの分二人分エアカッターだ! しかもあんたは返されると思ってなかったからまともに受けたな。さらに太陽光をエアカッターに乗せる!」

「ぐあ!」


 ゼッツリオンは追い込まれてきた。

「はあはあ……ならばさっきの様に肉弾戦で倒してやる。ぐあ!」

 ティルの光魔法の矢が炸裂した。


 さらにアローザーとウォレンが切った。

「ぐああ!」


 俺は言った。

「騎士道精神には反するけど、俺はあんたより弱い。だから皆の力を借りても先に進もうと思ったんだ。俺がもっと強ければ正々堂々と戦えたけど」


「なら俺が皆を殺す」

「もう無理だよ。あんたはさっきのエアカッターで全身を切られてたんだ」


 その時ミッキードが突如口を開いた。

「何をしているゼッツリオン、さっさと動け」

「申し訳ありません!」


「え! ミッキードってゼッツリオンの後輩じゃないの?」

「ははは! だましていて悪かったな。いかにも俺は最年少騎士隊長よ。前に一度演技を間違えてこいつに敬語を使わなかっただろ?」


「……」

「おっと貴様はもう役に立たん。よって死ね」


 ミッキードの剣がゼッツリオンを貫いた。

「え⁉」

「俺は非情なんでね。さあ、俺が相手をしようか」 

 






  


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