祈りとむなしさと
俺は膝と手を地面に突いた。
「?」
さすがにハーゲンダッシュは疑念の目を向けた。
「何のつもりだ。まさか土下座して謝るのか?」
「違う」
「では何だ」
「俺の体から出る技ではあんたを倒せない。残る方法は天から稲妻を呼ぶのに祈るだけなんだ」
「ふっ、ふはははは! まるで神頼みだな! 自分の技では倒せないから神が落雷を落とすのを待ち祈るとは」
アローザーは言った。
「スカーズを甘く見るな。その気になれば雷を呼べるんだ」
「ほう、神頼みでなく自力で呼び出すと言う事か。なら俺に当てて見ろ」
「だから今祈ってるんだ」
「自分の意思で繰り出せないのか? そんなの技でも何でもない。それに俺はお前の祈りに付き合う程ひまでもお人よしでもない」
そう言ってハーゲンダッシュは俺の顎を蹴り上げた。
「ぐあ!」
「止めろ! スカーズが精神集中をしてる間は俺が相手だ」
アローザーは割って入ったが殴られた。
「祈りの次は信頼がどうとか、理解できんな」
「君も神なんだろ? 何で分からない」
「俺は生まれつきそんなものない。欲しかったのは強大な人を殺す力だよ」
アローザーとウォレンを一方的に殴ったハーゲンダッシュは俺の所へ来てまた蹴った。
「スカーズさん!」
ロミイとティルが今度はかばいに出た。
「はっはっは! 今度は女にかばってもらうのか!」
ハーゲンダッシュはロミイに聞いた。
「お前らの『信頼』ってなんだ?」
「スカーズさんなら必ず願いをかなえてくれるからよ」
ハーゲンダッシュは今度は俺に聞いた。
「……お前、母親の願いで神族を助けてるんだって」
「今はそれだけじゃない自分の意思だ。ところで」
「なんだ?」
「あんたの行動理由ってなに? まさか命令に従ってるだけ? それともやる事が分からないから暴れてるとか?」
「……!」
これが彼の導火線に火をつけた。
どうやら禁句か図星だった様だ。
「黙れ! 俺に偉そうな口をききやがって!」
ハーゲンダッシュは俺を抱き上げ何発も殴りつけた。
これじゃ精神集中出来ない。
「やめて!」
ロミイとティルは止めに入ったがハーゲンダッシュは二人を思い切り殴った。
「女にまで拳をふるうのか」
俺は初めてロベイアンに怒った時の様な気持ちになりついに暗雲が立ち込めた。
これにはハーゲンダッシュは初めて興味を示した。
「ほう! お前は感情変化で雷雲を呼べるのか。面白い、もっと怒って見せろ」
しかし俺の感情と共に黒雲は沈んだ。
「何故だ?」
俺は言った。
「君を見てると憎いと言うよりむなしい。それに俺は神族を殺すわけに行かないんだ」
「まさか俺を改心させるなんて言うんじゃないんだろうな」
「……」
その瞬間、小型の剣の様な稲妻がハーゲンダッシュの手から発せられ俺の体を貫いた。
「俺は魔法でなく雷を作り出す事が出来る。それにしてもお前は嫌な事をぐちぐち言うやつだな」




