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謎の使者と労働場

2024年7月28日改稿しました。

 もう少しで理想郷のある場所。

 その前にこのアンブの町で休憩だ。


 ここは神族はいない。

 しかし町を歩いていると後ろから俺に声がかかった。

「もしもし?」


「はい?」

 何だか怪しい。

 いや明らかに。


 アローザーは身構え怒った。

「誰だ!」


 四〇代の詐欺師の様な雰囲気漂う男。

 不信感が服を着て歩いてる外見。


 ずるそうな口元と顎をしたしわの多い細身の男はいささかの悪びれもなく言った。

「神族パーティーの皆さま、私はエグスド軍の諜報係アシュランです」


 俺達は一斉に構えた。

 そうさせるに十分な名乗りだ。


 でも何故か俺は皆より少し警戒心が薄かった。

 何か、根拠はないんだけど、あまり邪心を感じない。

 神の勘てやつ?


 で俺は聞いた。

「何のつもり?」

「良い情報を提供しようと思いましてね」

 

 アローザーとウォレンは呆れた。

「どうやったらそこまで怪しいセリフが言えるんだ」

「それで騙せるとでも思ってるのか、随分と舐められているんだな」


 アシュランは全く動じない。

「信じる信じないは勝手です。でも貴方達に見せたい物がありましてね」

 アシュランには妙な自信と感じただけだが邪心のなさがある。


 俺も呆れ気味に聞いた。

「見せたい物って怪しすぎる」


 アシュランは続ける。

「この町の労働作業所の実態をお見せしようかと思いましてね。貴方達は迫害と戦ってるんでしょう? 色々知っておいた方が良いと思いましてね」


 何たる上から目線。

 アローザーは言った。

「お前スカーズがすごくお人よしだと言う情報を得て騙そうとしてるんだろ」


 しかしアシュランは何の戸惑いも無かった。

「皆さん一緒でいいですよ」


 俺は答えた。

「俺一人でいいよ」

「スカーズ!」 


「俺とアローザーとウォレンの三人で行こう。万一の事がある」

「信じるんですか⁉」

「わざと騙されてみようかとか思ってね」


 ロミイとテイルは猛反対してちょっと議論になった。

 でもアローザーとウォレンは意外と素直に来てくれた。


 で俺達三人はアシュランに連れられて作業所の裏口に来た。

「すごく綺麗でもないけどすごく怪しいわけでもない様な造りだな」

「でしょ? それが一種のカモフラージュなんですよ」


 そして窓から中を見ると、重い物を細い人に運ばせたり、管理人が複数いて大声で指示している。


「クロード人はこの町では差別されてあんな労働をさせられてるんですよ。この町の雰囲気が良くて住みやすそうなのはひどい扱いを受けてる人達がここに収容されてるからなんです。外で楽しそうにしてる人達には周知の事実です。一部の権力者が隠れてやってるのでも、皆が見て見ぬふりをしているわけでもないんです」


「こんな露骨な差別があるなんて、神族以上かも」

「そうです。貴方達神族は辛い目に合ったかも知れませんが、人間の中にも差別は厳然としてあるんです。貴方達は同神族を助けて回ってるそうですが、クロード人達も助けたいと思いませんか。私に付いてくれば変装して差別されてるクロード人のふりをして中に入る事が出来ます」


 俺とアローザーは答えた。

「助けたいと思う」

「俺だって思うよ。だがそれ以前にお前が怪しすぎる」

「信じる信じないは自由です」


 俺は答えた。

「分かった。俺行くよ」

「えっ⁉」


 そして俺は日雇い労働の手続きを済ませた。

「来い」


 すさまじく不愛想に案内する若手社員。

「まずはこの荷物の積み下ろしをやれ」


 重い。

 しかも二百個ある。

 でも皆そうなんだ。


 その時、近くの人が倒れた。

 俺は抱き起し助けた。

「大丈夫です」


「あんた、優しいね」

 悪気のない顔で男は答えた。


 ところが仕事に戻ろうとした時ふいに別の人が呼び止めてきた。

「兄ちゃん、財布盗まれてないか?」

「え?」


 何とポケットの中の財布がなくなってる。

 いつ落としたんだ?

  

 別の男が助けた男を捕まえ尋問した。

「お前がやったんだろ」

「え?」


 戸惑う気弱な男。

「こいつだ! こいつがやったんだ!」

「やってない!」


 男の服の中を調べる。

「あった財布だ!」

「あっ俺の!」


「何だ」

 上長が来た。

「こいつがすりをやりました」

「どうかお許しを!」


「処刑室に連れて行け!」

 あれで処刑?

 

 でもあの男も嘘つきだな。

 人間不信になりそうな世界だ。


 そしてしばらくして、鞭で叩かれながら仕事をさせられてる人を俺はかばった。

「やめて下さい!」

「何だ貴様、処刑するぞ」


 やるしかないのか。

「良しやってやる」


 ところが虐げられている男が俺の袖をつかんだ。

「いいんです! 暴れないで下さい! ここがなくなったら私は働くところがないんです。今は嫌でも頭を下げて下さい」


「しかし!」

「どうなんだ? え?」


 ぐっ。

 俺はこの人を助ける為土下座した。

「はーっはっはっ!」

 上長は得意げに俺の頭を蹴った。


「お前もやれ」

 と上長は近くの男に言った。

「いやです!」


「じゃあ貴様も死ぬか」

「死ぬのはあんたの方だよ」

「何⁉」


 男は何と顔の皮をぬいだ。

「アローザー!」

「変装して潜入してたが遅くなったな」 


 アローザーは臨戦態勢になった。

「行くぞ!」 


 ところが虐げられていた男がかばった。

「待って下さい! 暴れないで! 私たちの仕事がなくなってしまう」

「そんな」


 俺は叫んだ。

「貴方達にはこんな場所でない場所があるはずです。俺達が解放します。あきらめないで!」


 しかし男は応えてくれなかった。

「いいんです。私達にまともな居場所なんてなかった。泥水をすすっても生きるしかないんです」


「人間としての誇りを捨てちゃだめです!」

 上長は嘲笑った。

「バカなりに自分の立場をわかっているようだな!」


「お願いです!」

「わ、分かった」


 おじさんのたのみ方は迫力すらあった。

 状況を理解したアローザーは自ら土下座した。

 アローザーも謝る事になってしまった。


 上長がアローザーのあごを掴んだ。

「おい色男、せっかく格好よく恰好付けて出てきたが土下座して謝る羽目になったな。お前が格好つけるから悪いんだよ」

 アローザーは言い返さず耐えた。


 しかし上長は言いがかりを付けた。

「睨んだな」


 いきなり上長はアローザーを殴った。

「睨んでんじゃねえよゴミが」


 さらに顔と腹にもパンチを入れる。

 俺は叫んだ。

「やめろ! やるんなら俺をやれ! それにアローザーは格好何か付けてない! 心から助けに来てくれたんだ!」

「嬉しいぜ、スカーズ」


 今度は俺が殴られた。

「命令してんじゃねえよ」


 さらに顔を蹴った。

 腹も何発も殴った。 

「もっといたぶれ」


 部下達に指示した。

「こいつらは処刑だ」


 いきなり棒が部下目掛け投げつけられた。

「誰だ?」


 そこへ何とアシュランが現れた。

「その辺にしたらどうっすか。俺も暴れますよ」

 今までのにやにやした胡散臭い顔じゃない。


 その時おじさんが叫んだ。

「アシュランさん!」


「えっ、知り合い?」

 おじさんは言った。

「私が信じてアシュランさんに助けを求めたんです」

「金で引き受けただけさ。この前見回りに来たときこっそりとな」


「貴様裏切ったな」

「お前らはそれ以上の事やってんだろうが」


 上長が殴りかかったがアシュランはかわして殴った。

 上長はダウンした。

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