アローザ ーとウォレン
2024年7月28日改稿しました。
アローザーも仲間に加わり俺達は数キロ離れたユルビタンの町に来た。
この町は多くの人種が仲良く住むことで有名だ。
そんな中神族はどうしているのか。
もしかして正体を言って仲良くしている?
それとも迫害されているのか。
ウォレンと言う若い男性らしい。
ティルは近くの女性に聞いた。
「ウォレンさんって知りませんか」
まるで有名人の名前を聞かれた反応を女性はした。
「にこやかな顔の人?」
「にこやか?」
何か有名人みたいだな。
「さわやかにこやかマンって呼ばれてる人よ」
良いイメージを持たれてそうだ。
女性は答えた。
「あれそうじゃない? そうよ!」
その女性が指さす方を見ると一人の青年が盗賊と戦っていた。
ティルは言った。
「助けなきゃ」
しかしその青年は一人一人と華麗なる剣筋で切っていく。負ける感じが全然しない。
盗賊の力任せの粗い攻撃をかわし当て身で体勢を崩し切る。
流れるような動きだ。
スマートな体躯と合わせて華麗な身のこなしだった。
確かに女性にもてそうだね。
「凄い!」
またたく間に悪者を蹴散らした。
この人がウォレンさん?
見るとウォレンさんらしきすらりとした清潔感のあるナイーブそうな顔をした青年は戦いを終え足の不自由なおばあさんを助けていた。
「ありがとね。それに素敵な笑顔ね」
ティルとロミイは言った。
「甘いマスクね。それに優しそう。ああいう笑顔に女性は弱いと思う」
「私も思う。人を信じてる人でないとああいう無垢な顔出来ないと思う」
俺は怪しまれないようタイミングを伺いながら明るく腰を低く駆け寄って話しかけた。声のトーン抑え気味に。
「こんにちわです。ウォレンさんですか?」
「君は?」
「貴方と同じ神族です」
「何と」
割とすぐ受け入れてくれた。
素直な人だと思った。
「お邪魔でなければ向こうで話しませんか」
直ぐに信じてくれたため早速一緒に移動した。
近くの食堂に皆で座った。
ティルもロミイもウキウキしたがアローザーは何か機嫌が悪い。気のせいじゃない。
話すか迷ってるみたいだ。
ウォレンは切り出した。
「僕はこの町の人にとっても感謝してる。本当に恵まれた運のいい人間だ。神族の僕ら親子を何の差別もなく受け入れ仲良くしてくれるんだから」
アローザーはうつむいた。
俺は聞いた。
「周りの人皆ウォレンさんが神族だって知ってるんですか」
「いや、助けてくれて差別もなかったんだ」
俺とロミイは聞いた。
「へえ」
「何か理由があるんですか」
ウォレンは答えた。
「実は家に泥棒が入った時に僕の父は『これを使って下さい』とお金をあげたんだ」
「え!」
「その泥棒の人が『神様の様な人だ! このご恩は一生忘れません!』と言って改心し町の人に触れて回ったんだ。それからは父は皆に尊敬された」
「へー!」
「その後父は町の人に思い切って神族だと言う事を告げた。そしたら皆信じてくれた。僕も差別されたりしなかった」
「すごいお父さん」
「さすが神族」
ロミイが言った。
「笑顔が育った環境を物語っています」
「だから僕は人間と仲良くしたい。これからも」
俺は言った。
「素晴らしい」
「じゃあ一緒に」
ウォレンは言った。
「ただ皆にお別れしてこないとね」
俺は誘った。
「じゃあちょっと一緒に訓練してみませんか」
俺が召喚した幻獣相手に特訓が始まった。
敵が現れた。
「あーティルリーダーを頼む」
「分かったわ。アローザーとウォレンさんは協力して右の敵を」
ところが何だか様子がおかしい。
アローザーが嫌そうな顔をしている。
連携がおかしくなった。
「あ、あれ」
そして合わせる事が出来ず距離を測りかねガンと二人はぶつかった。
俺達は駆け寄った。
「どうしたの?」
「ドンマイ」
「何か悩みがあるの?」
アローザーはためらいながら言った。
「いや、これからやっていけるか分からない。あんたと合うかって」
「え?」
アローザーは申し訳なさそうに言った。
「あんたとは考えが違いそうだから」
空気が重くなった。
アローザーはなるべく悪びれず説明した。
「あんたは皆に親しくされかつ裏切られてもいないんだろ? 俺と環境が真逆なんだ。あんたが嫌いなわけじゃないが嫌いになりそうなんだ」
ウォレンは下を向いた。
「分かった僕が抜けよう」
怒りは感じられなかった。
「え?」
アローザーは言った。
「待ってくれ、なら俺が抜ける」
それは皮肉っぽい口調ではなかった。
そこに使用人らしき人が探す様に来てウォレンに話しかけた。手紙を渡しに来たようだ。
「ああ、ここにいた。マッコリーさんからです」
ウォレンは手紙を読んだ。
「君を失いたくない。ゼッカと結婚してくれないか。すぐに答えを求めんが急になるが今日屋敷に来てくれ」
ウォレンは説明した。
「貴族のマッコリーさんはいつも娘さんをもらってくれと言っていた。でも断る。君達と一緒に旅に出る」
俺達は断りの話をするためマッコリーさん邸に一緒に行き友人として通してもらえた。
広間で高級料理が一杯用意されていた。
俺達は舌を鳴らした。
「美味しそう」
「じゃあお酒」
ウォレンは丁寧に言った。
「僕は未成年です」
給士は言った。
「おっとではこのドリンクを」
皆未成年なのでそれを飲んだ。
ところが
あれ、皆眠くなってしまった。
給士はにやりとした。
「睡眠薬だ」
ウォレンは当惑している。
「な、なんで」
俺は視点も定まらない薄れゆく意識の中で聞いた。
するとマッコリーさんの表情が変わった。
「教皇に命令されたに決まってるだろ」
ウォレンは叫んだ。
「そ、そんな!」
マッコリーはいやらしく聞いた。
「どうだね、信頼してる相手に騙された気分は。この世間知らずが」
「殺せ!」
ところが物音がして誰か入って来た。
それはアローザーだった。
「だったら俺があんたに教えてやるよ」
「誰だ!」
「人を信じる、って事をな!」




