アローザー登場
2024年7月16日改稿しました。
「おお! 貴方は」
「助かって良かった」
青年は答えた。
「あんた達が助けてくれたのか、ありがとう」
「僕はスカーズです」
「俺はアローザー、宜しく」
「御一人で旅してるんですか」
「あ、ああ」
「せっかく出会ったんだし良ければお話でも」
俺達はアローザーと一緒に食事をする事になった。
俺は言った。
「強そうですね」
アローザーは謙遜した。
「いやいや、さっきもまぐれだよ。ただ目標と目的はあるから修行はしてるけど」
「目標?」
「大きな声では言えないけど、軍のワーグ派を倒そうと思っている。俺は実は人間じゃない炎の神なんだ」
「僕達と同じじゃないですか!」
「え」
「俺も神族で親を殺されたんです」
「そうなんだ……俺もだ」
「……すみません、慰めの言葉も分からなくて」
「良いんだ。君は俺の気持ちが分かる人だと分かるよ」
「……僕達と一緒に行きませんか?」
しかしアローザーはほんの少し曇った。
気づかずティルは言った。
「貴方なら頼りになりそう。それに聞きたい事があったの、その剣はどこで」
「これは家に代々」
ティルは説明した。
「貴方は神だけでなく勇者の仲間の戦士の末裔よ」
意外な話にアローザーの曇りは消え呆気に取られていた。
「そうだったのか? 今はじめてしった。そういえば爺さんが『いつか言わなきゃいけない事がある』って言ってた」
俺は再度聞いた。
「じゃあ、行きませんか一緒に」
「うん」
しかし、何か元気がない。
俺は不安を込めて聞いた。
「あれ、何かまずい事言いました?」
アローザーは沈黙後絞り出した。
思い出したくないように。
「俺はあんた達と同じ身分を隠した神なんだけど同じ町の奴らに秘密をばらされたんだ。最近人間不信でな」
アローザーは続けた。
「俺達親子や仲間は最初身分を隠していた。でもごく親しい人や信じられると思った人には言った。でもある時軍は『神族を知っている人には金をあげる』とお触書を出したんだ。そしたら急に裏切られた。しかも俺が親友だった奴を問い詰めた時そいつは『俺は確かに知り合いに言った、でも軍には言ってない。その知り合いが言ったんだよ』と言われた」
ティルは言った。
「誰が一番悪いか良く分からない話ね」
「軍、親友の人、そのばらした知り合いの人」
アローザーは悔いていた。
「俺や親が軽はずみに口外したのが愚かだったのさ」
「そんな」
俺達は何とかなだめようとした。
アローザーは説明を続ける。
「さらに神族とばらされただけでなく通っていた学校で俺が金を盗んだ疑いをかけられた。これも誰の陰謀かわからない。でも、生徒じゃなく軍が神族のイメージを悪くするためやったみたいなんだ。でも軍、友人、その知り合い、いやそれ以外の人間も。俺はむしろワーグ派より『ばらした人間』が誰なのか突き止めたい。迫害する軍もひどいが問題なのは軽はずみに言った人間のせいで仲間が殺された事に怒ってるんだ。そんな気分なのさ。で軍も許せない。勘違いで殺された人もいるしね」
「……ひどい」
アローザーは再度悔い自己嫌悪になった。
「俺の親子だけの秘密にしとけばこんな事にならなかったのかも知れない。俺達が愚かなのさ」
「そんな事ないよ。人を信じるって大事な立派な事だと思う」
ティルと俺は言った。
「もし貴方が気が乗らないのなら強制は出来ないけど、でも貴方は神族勇者の仲間の子孫よ」
「俺達の事信じてくれてるじゃん」
アローザーは言った。
「あんた達が神だからさ。分かった。行こう。優柔不断だと迷惑がかかるしね。それに『誰も信じない』ってのは弱く傲慢な考えだ。だから俺は裏切られても信じられる人は信じるよ」
「かっこいいですね」
「俺に信じられる人を否定する権利はないしな。そんな大物じゃないし」




