少女の祈り
2024年8月1日改稿しました。
俺達はラルッサの町に到着した。
後助ける神族は三人。
ところが休憩もつかの間。
なにやら騒々しい。
ふと見ると皆が行き交うとても広い道で十四位の少女が少年たちにからまれている。
神を信じ平和を祈りそうな雰囲気、表情、髪型や服装の少女だ。
そして少女が何かを止めるよう少年達に訴えかけている感じだ。かなり必死だ。
見ると柄の悪い少年の間に倒れた少年がいる。
どうも彼女は暴力を止めさせようとしているようだった。
深い事情は分からないが、尋常でない雰囲気。
なんだなんだとガヤガヤしている。
すぐ出ていこうと俺は思った。
「やめて下さい!」
と叫ぶ少女。いたいけな姿だった。
しかし、一見大人しそうなのだが何故か祈り叫ぶ姿に凄い迫力を感じる。
それが不思議だった。
何て言うかただ者でない。
殺意や闘争心ではないのだが、相手を圧倒する感じの怖さも。
しかし男達が一斉に冷たい目で彼女を見た。
さすがに少女はたじろぐ。
一人がこつこつと彼女に近づく。
「何だお前」
と因縁を付けた。
これはまずい。
助けに入る人はいずどよめいている。
しかし彼女はそんな事でひるまない。
大人しそうなんだけど。
女だけどとても度胸が据わっている。
純な目に宿る圧。
それだけじゃない何かが。
彼女こそ神族だ、ただ物ではない、と言う予感がした。でも確かに助けないとまずいけど。
しかし、俺達が駆け寄ろうとした時少年の一人が少女に言った。
「うるせえよお前。助けてほしいんなら俺の靴を舐めろよ」
「……」
「オラ」
少年は靴を舐めさせようと前に出した。
すると少女はプライドと戦いながらそれを流し捨てて行くような動きで顔や腰を下げ始めた。
「え⁉」
彼女はぶるぶると少しの間ためらいと体を震わせる挙動を見せた。
何と本当に土下座した。
そして靴を舐めようとした。
「くっ! もういい!」
と言い男達は去った。
俺達はすかさず彼女に駆け寄った。
「大丈夫かい⁉」
彼女は怖がりながらも言った。
「この位の事」
「この位って」
しかし彼女は言った。
「私はいじめや差別を止める為に犠牲になっても良いんです」
「!」
な、何でこんな事言えるんだ。
「君は神族?」
「何故その事を!」
「俺達も」
俺達は移動した。
適当な場所で話した。
彼女は過去を語った。
「私は地上で産み育てられました。で貴方は人間でない神だからそれらしく振舞う様にと」
「そんな、随分プレッシャーかける親だね」
ロミイは言った。
「私達なんかもっと自然体」
少女は言う。
「だから例えばさっきみたいなあんな事が起きたら私が止めなきゃと言う気持ちになるんです。一種地上に生きる神の義務みたいな」
「そ、そんな身が持たないよ」
ロミイは聞いた。
「子供の頃からそんな生き方してきたの?」
「はい、だから変えられなくなって」
俺達は旅と理想郷の事を話した。
彼女は言う。
「理想郷、行きたいな。でも私には人間を救う義務が」
「そんなの持たなくていい。君が幸せになる事を考えるんだ」
食事を終えた俺達は外に出た。
するとさっきの奴らがいた。
俺達は身構えた。
「おーい。また土下座と靴舐めやれよ」
「お前ら」
俺達はかばうため前に出た。
するとディエシエは頭を押さえて苦しがった。
そして叫んだ。
「離れて!」
「何だ!」
ティルは言った。
「この症状は、視死魔?」
「何それ!」
「皆目を瞑って!」
少女の目から発せられた光が男の目に入った。
「うああ!」
「どうしたんだ」
「頭が、頭が!」
少年は狂いいきなり仲間を殴った。
「ディエシエさん離れましょう!」
ティルは先導した。
「気を失った」
視死魔とは神の僅かな邪心に付け込む悪魔。これにつかれると目から相手を憎しみで支配する光を発するようになるのよ」
「どうすれば止められるんだ」
ティルは言った。
「……使用者が死ぬしか」
「そんな!」
「離れた所へ連れて行くんだ」
「あの女は魔女だ!」
俺達は病院に行った後ディエシエの家に言った。
すると母親らしき女性が出てきた。女は聞いた。
「貴方達は」
俺は説明した。
「実は、娘さんと友達にトラブルがありまして」
「あ、あの子がまた何か?」
「また?」
俺達は居間に案内された。
「あの子の力が」
「あの子は特殊な力を持つのです人間ではないのです。いえ持つようになってしまったのです」
「なった?」
「あの子の心に睨んだ相手を怪物化させる魔力を持った悪魔がとりついたんです」
「悪魔?」
俺は母に説明を頼んだ。
「よく話してもらえませんか」
「でもこんな事言ったら頭がおかしいと思われるかも」
「大丈夫。僕達も神族です」
「え?」
母は説明する。
「あの子はとても強く優しい心を子供の頃から持っていました。他の人から見て浮き上がる程に。それは段々大きくなりましたが、ある時いきなり文句を言って来た大人が娘に睨まれ狂暴化し倒れたのです」
あれ? ディエシエさんの言う事と話が違う。
どっちかが嘘を付いてるのか。
俺達は部屋のディエシエさんに聞いた。
彼女は言った。
「ごめんなさい。嘘を付いてました」
「え?」
「私、困っている人を自分が助けなきゃいけないって言う気持ちが子供の頃から異常にあって、しかもそれをずっと続けないと生きていけない気持ちになりとてつもなく辛くなった。でも何故か止める事も出来なかった。そして私は『厳しい親に認められる為にやっている』と自分に嘘を付くようになったんです。理由付けをするしかなかった。何故こんなに苦しくなったのか分からない」
俺はフォローした。
「優しいからだよ」
「私は嘘つきよ」
ティルは言った。
「実は死視魔は『すごくいい人だけどほんの少しの罪を持っている人』を狙うの。貴方が僅かに嘘を言ったり自分が優しくて立派だと思うのは一種の思い上がりなのよ」
「ティル……」
「どうすればいいんですか」
ティルは説明した。
「方法は、今から教会の牧師さんに来てもらい貴方も一緒に祈ってもらうわ。貴方の僅かな邪心を払ってもらうの。罪を許してもらうのよ」
しばらくして牧師が来て部屋に入った。
外にも儀式でディエシエの苦しみ叫ぶ声が聞こえる。
「俺達は魔術にかかった人達を助けに行く。ロミイはここにいてくれ」




