俊足少女パニイ
2024年6月13日改稿しました。
俺達は新しい町サリディングに来た。
ここに神族は一人いる。
子供らしい。
すると歩道を全速力で逃げる様に一二歳程の少女が大きなバッグを頭上に抱え走って行った。
すごいスピードだ。
それを見たロミイが心配そうに言う。
「何か走り方が不自然ね。誰かに荷物を持たされるいじめを受けているのかも」
「うーん」
俺も気になった。
その為俺達は小走りで少女の後を恐る恐る追った。
少女は走りながらつぶやく。
「スピードアップ!」
するとさらにペースが速くなった。
何か楽しそうである。
いじめられてるんではないのかも知れない。
では何で?
俺もペースを上げた。
しかし相変わらず少女の全力疾走は続く。
「何て速さとスタミナなの」
「俺が追おう」
俺も一気にペースを上げた。
しかし彼女は俺に気付いた。
「ひっ!」
明らかに怪しんでる。
そりゃそうだよね。
さらにペースを上げる少女に俺は言う。
「怪しいものじゃないよ、君がちょっと心配になって!」
「誘拐⁉」
まるで駆けっこだ。
「いやー!」
勘違いされて叫ばれると困るから俺はスピードダウンした。
「きゃあ!」
突如少女はこけた。
俺は駆け寄った。
「大丈夫かい?」
「う、うーん、はっ! お届け物! 良かった無事だ!」
物がないと慌てた少女は大事そうにバッグを拾い安心した。
「土をふかなきゃ!」
すごく気を使っている。
俺は話しかけた。
「君大丈夫?」
「きゃー誘拐犯!」
ロミイはフォローした。
「違うのよ、私達貴方がいじめられて荷物運びさせられてるんじゃないかと思ったの」
「え、あははは! 違うよ! これは商品でお届け物です」
「え?」
「私パニイ! 速い足を活かして『運び人』をやってるの。お金をもらって人の荷物を運んでるの」
「君みたいに小さい子が?」
「うん、お母さんとお姉ちゃん病気だから」
「君は神族の子だね」
「え?」
「ほら」
俺が羽根を見せた。
「私と同じ!」
俺達は少女パニイの家に行く事になった。
「母は病気です」
同じく病気の姉は答えた。
パニイは言った。
「私いなくなればお姉ちゃん食べる分増えるよ」
姉、ウェンディは答えた。
「いいえ。私達は一緒、神族でも人間でも」
「私は大地の神だから足の速さを何かの仕事に生かせないかと思ってたの。で『おんぶと御使い屋』をやる事にしたの。凄い脚力を活かして他人の御使いとおんぶをする事にしたんです。さて次の仕事!」
「お兄ちゃんも手伝うよ」
俺は付き添った。
そして一時休憩して座って話した。
「仕事きつい?」
「ううん。楽しいよ」
「どの辺が?」
「『人の思いを乗せて届けてる』って言われるから」
「へえ」
「お姉ちゃんの為だけじゃなく仕事続けるよ」
こんな小さな子でも働かなきゃいけないんだ……
「お兄ちゃんは何で旅してるの」
「敵討ち、かな、悪い奴らとね」
「大変?」
「うん」
「パニイも手伝おうか?」
「えーそりゃ無理だよ」
「私も技使えるもんほら」
「うわ」
パニイは団扇を扇ぐようにてであおぐと微弱な風が起きた。
「へえ、そんなの出来るんだ? でもそれくらいじゃ無理だよ」
「今考えてる新技あるよ」
「新技?」
「見てて」
「やあ君?」
「え? 誰」
それは軍の奴らだった。
俺はすぐさま立ち上がった。
「何だ! この子は関係ない!」
「我々は用があるんだよ。一つは神族として殺される事、もう一つは貴様を殺す為人質になってもらう事だ!」
「何だと!」
「お姉ちゃんと長く暮らせるお金をあげよう」
「いい」
「こい」
「いや!」
「やめろ」
と言い俺は殴りかかったが殴り返された。
俺がもんどりうって倒れるとすぐさま他の兵達はのしかかろうとしてきた。
「そいつは接近戦に弱い! 徹底的にやれ!」
顔を思い切り殴られ、腹を三発、脇も二発殴られた。
最初の顔が一番効いた。
エアカッターを構える暇もなかった。
そして俺はなぶられた。
しかしここで倒れるわけに行かない。
「や、やめろ……その子に手を出すな」
血を流しながら俺は声を絞り出した。
「止めだ。貴様は風を操るらしいが俺も得意でね」
手から竜巻の様な物を出しそれに巻き込まれて空中高く飛ばされた。
それっきり意識はなかった。
「はっ!」
「気が付いた?」
「早く助けに行かないと!」
「でも!」
「私も行きます!」
「え? 貴方が?」
「これでも魔法は使えます」
そして俺は時間がないから簡易手当だけで行った。
パニイが捕まった倉庫には先程のやつらが楽しみそうに待っていた。
ウェンディさんは勇敢にも先頭で言った。
ウェンディさんは毅然とした態度で前に出て言った。
「私が代わりに人質になります」
「手を縛ってから来い」
俺達は理不尽な要求に従った。
「よし、これで手は出せないな。じゃあお前が人質に」
その時ウェンディさんの目が光った。
「石化!」
「あっ!」
兵が石化した。
「あの娘は手を使わずとも睨みだけで石化が使えるのか!」
ウェンディは強く言った。
「返さなければこの人を破壊するわよ!」
「ぐうう!」
「良し、今だ!」
俺達が暴れる番だ。
「私に出来る限りやらせて下さい」
「分かった俺はボスを」
「俺は戦士ギラッシーだ!」
「あいつ剣術が凄く強そうよ」
「そうだな、懐に入られない様に遠距離で倒そう。エアショット!」
しかしかわされた。
「もう一発!」
これもかわされてしまった。
「まだ後四発は撃てるぜ」
と思ったら腰が砕けた。
傷が深い。
そこにティルが来て支えてくれた。
「私が支えるから最後の力を振り絞って」
ロミイが何故か顔を膨らせて怒っている。
強いのはあと一発が限界かも。
「行くぞ!」
「ぐ、ぐううう、確かに強力だな。だが一発では俺は倒れんぞ」
くそ!
パニイは敵に体当たりした。
「ぐあ!」
「今だ!」
俺は強化エアショットで敵を倒した。
ところが倉庫の袋からもう一人現れた。
「俺は双子の弟ゴバッシーだ」
もう体力がない。
その時パニイが乱入しゴバッシーを蹴った。
「よせパニイ! 逃げるんだ!」
「さっき言った私の新技よ!」
パニイは凄いスピードでゴバッシーを中心に円を描き走り始めた。
「何だ?」
パニイは次第にスピードを速める。
姿が見えなくなる程に」
「韋駄天の竜巻起こし!」
ゴバッシーを中心に上方向けのハリケーンが起きゴバッシーを吹き飛ばした。
ティルはそれを受け止め投げ技を食らわせた。
そして俺はエアショットを放った。




