平和主義者の脱皮
2024年7月22日改稿しました。
落雷音が邸に鳴り響く。
尋常ではない様子にバッサは思わず立ち上がった。
「まさか!」
確認の為皆が外に出ると、庭の地面に雷が落ちた跡の穴が焼けて空き電気が流れシューシューと音を立てていた。
それを見たモーメはまさかと言う顔をした。
恐怖でだらだらと汗をかいている。
「そんな、この子が雷を落としたと言うの?」
とてつもない者、例えば神や悪魔を初めて目にするようにぶるぶる震えている。
そこへ畳みかけティルは強めに言った。
「はい、彼が神だと言うのは信じがたかったようですが、これではっきりしたでしょ? トリックなんかじゃなく。今度彼を怒らせたら貴方達の身に落ちますよ」
終わりの方程語気が強くなる。
「ひいいっ!」
怯えるモーサにロミイが続いた。
語気強めで太く。
「スカーズさんは普段はとっても温厚だけど、怒ったら本当に怖いですよ」
バッサもがっくり膝を落とした。
本当に俺が神だと信じたみたい。
モーメとバッサの二人は意気消沈しうなだれ肩を落とした。
俺は言った。
「じゃあ、ハーレルさんとエクリ君を連れて行きますよ」
その時バッサの表情が変わった。
「ふふ、なーんて言うと思ったか?」
「え?」
人から悪魔に変わるかの様に。
「くっくっく」
「何?」
「皆さん出てきてください!」
すると既に待ち伏せしていた軍人達が入り口に現れた。
バッサは高笑いした。
「はっはっは、私達貴族は常に軍と密接な関係を持っていたんだ。それに君たちの事はアーシェラから聞いてたよ」
「え?」
「貴族が人間でない神を信頼し守ると思ったか?」
また、裏切られた気持ちになった。
「では軍人の皆さんこいつらをやっつけてください」
軍人魔法使いが言った。
「命令するな、貴様らも一緒に戦え」
と言いバッサとモーメに魔法をかけた。
二人の顔が崩れまがまがしい姿に変形する。
何と二人は翼を広げ悪魔の姿になった。
「え? な、何で?」
バッサは言う。
「我々は国に忠誠を誓った悪魔になったのだ。最初はエクリをよこせと言われ、拒否すると大金をあげるから渡せと言われた。だがそれは間違いだった。我々は良い様に軍のワーグ派に使われる悪魔の姿になった。もう少しでお前達神族の一派が来るから殺せとの命令だったのだ」
「スカーズさん、ここは!」
「本当は殺したくない。エクリ君の父親とおばあさんだし」
ケビンはパチンコを出し言った。
「ぼ、僕もやります!」
「あ、君はいい。エクリ君を安全な所に逃がしてくれ。それが君の役目だ。よし、行こう。三人でかかろう」
「殺す」
こいつ、元々嫌な奴らだったけどこんな奴らをも利用する連中がいるのか。
エクリが言った。
「おばあちゃんどうなったの?」
ロミイはなだめた。
「大丈夫、元に戻してあげるわ」
ティルは言う。
「確かにエクリ君の親だから命を奪うのはなんだけど今はやる。どんな力があるか分からないから遠距離攻撃中心で行きましょう!」
俺はエアショット、ティルは光魔法で攻撃した。
命中しモーメは痛がる。
「あ、あああ」
でも情けはかけられない。
ハーレルさんには他人だしいじめてきたんだ。
人権を奪うような接し方をしてきたんだ!
俺は一段階鬼になるぜ。
本当は逃げたかったけど。
平和主義者を通してきたけど。
脱皮の一歩。
モーサの翼が攻撃で焼ける。
「あぐあああ!」
火が出てて痛々しい。
それは悪魔と言うより人間が弱弱しく懇願する様だった。
「おのれい!」
怒りでバッサが火の玉を放ったが、ロミイは収束爆破で迎え撃った。
「私も怒ってるわ。同じ女としてハーレルさんを傷つけた罪は重い」
そしてロミイが収束爆破をバッサに放つと羽根が燃えた。
「許してくれ! こんなはずじゃ!」
懇願を知りつつ俺は二人に一発ずつ強化型空気弾を放った。
腹にめり込み苦しむ二人。
仕方ないから俺達はモーメとバッサ親子にトドメは刺さない事にした。
二人はすっかり観念し反省したのか人間の姿に戻り土下座した。
そしてなだれ込んだ五人の軍人達はティルの広範囲の光の矢を中心にして倒した。
で俺はこうした。
「ハーレルさんどうしますか?」
「え?」
「貴方が決めて下さい」
と俺は判断を促した。
彼女にその権利があると思ったからだ。
許すかは彼女が一番大きい。
ハーレルさんは二人にいじめられた辛い事を思い出したのか怒りと悔しさで体を震わせながら絞り出す様に言った。
「私は……自由になりさえすればそれでいいです」
モーメとバッサは神が降臨したかのようにはっと顔を上げた。
「俺達を許してくれるのか」
しかしいきなりロミイは二人に水をかけた。
でた必殺水ぶっかけ。
「甘えないで感謝しなさい」
「は、はい!」
二人の反省がさらに増した。
しかしティルは二人に言った。
「でも貴方達は軍に魂を売って悪魔になったんでしょ? いずれ軍の人が裏切者として追っかけて来るわ」
二人は一瞬で青ざめた。
「そ、そんな! 助けて下さい!」
ティルはさめた顔で言った。
「そこまで知りません」
俺も結構同意。
そして俺達はハーレルさんとエクリの二人を連れ町を出た。
でもこの二人連れて行くべきではあるけれど戦闘力がない。
ハーレルさんは言った。
「私達が行くと足手まといになりますよね。どこかに身を隠しています」
「すみません」
俺達はやむにやまれなかった。
そして俺達は二人と別れ次の町を目指した。




