魔獣マグーバ出現
2024年8月18日改稿しました。
俺達はマットさん達と話した。
「私達は貴方たちに同行して理想郷まで行けば良いんですか」
「実はその事なのですが、そうしたいのはやまやまなんですが、泊まる所や食べ物がないんです」
ティルは補足した。
「それに危険な旅になるのでお守り出来るか保証がないんです」
「そ、そうですよね。皆さんの負担になってしまう」
ティルは案を話した。
「それで、一旦はしばらくここで暮らしていただき、理想郷が見つかったらそこへ招待します」
「なるほど」
「ではお気を付けて。これは少ないですが」
エレカーンさんは銀貨の袋をくれた。
「そんな」
「貴方が来なければトーボも殺されるかさらわれていました」
トーボは言った。
「ケビンお兄ちゃんもね。僕の手を引いて逃げようとしてくれたんだ」
「え? こいつが?」
「べ、別に、俺が逃げようとしてついでに手を引いただけだ」
「ふふ」
「何ですかロミイさん」
ケビンは照れで汗をかいた。
「じゃあ出発します。ケビンも来るんだろ」
俺が言うとティルは言った。
「単独行動取らないでね」
ロミイも言う。
「宜しく、人間嫌い君」
「……ロミイさんもそういう事言うんですか」
皆笑った。
ケビンの先導で平原を行く事になった。
「こっち、こっちです」
すると本当に魔物との接触がなかった。
「お前の言ってる事正しいんだな」
「まあ地図作る夢ありますから」
ロミイが言う。
「へえ、意外と外向的な夢ね」
「外向的って……」
ティルは言った。
「意外と冒険家とか向いてるんじゃない?」
「ぼ、冒険、ちょっと憧れ、いや僕は机の上で地図書くのが好きなだけですよ」
「あれ?」
「どうした?」
「あっちの道は狂暴な魔物がいます。回り道しましょう」
「そうか、ん?」
俺は戦いでレベルが上がり精神集中で僅かに遠くの音を聴く能力を身に着けていた。
「あっちで人が襲われてる声がする」
ケビンはぎょっとした。
「あっちは危険ですよ!」
俺は言った。
「でも、襲われてる人がいるなら助けたい」
ケビンが反論した。
「で、でもここは一番効率よく安全な道を行くべきです!」
「……俺、危険な方に行くよ」
「私も」
「私も」
反対の道に行った俺にロミイとティルは付いてきてくれた。
ケビンはもどかしい顔でどうすべきか苦しんだ後、俺達の五メートル後ろを付いてきた。
「僕も行きます!」
俺達はあえてケビンが言った道と逆の道を行った。
本来どんな敵がいるか分からないから慎重に行くべきなのだが、助けを求める声がどんどん大きくなる為急がずにはいられない。
ロミイとティルも急ぎ足で付いてきてくれた。
ケビンも後ろを付いてくる。
森の中を行くとどんどん魔の気配が大きくなる。
ティルは気づいた。
「悪い気配が満ちている。かなり強敵がいそうよ」
「でかい魔物かな」
「それもあるんだけど、これは悪魔の気が大きい。野生の魔物ではない何かがいる」
「え?」
「こわい!」
腰を抜かした子供がいた。
何故か子供を助けるシチュエーションが多い。
俺は泣きじゃくる子供をなだめた。
「狼が、白い狼が」
「狼? ただの狼か?」
俺は少し不安感が払しょくされた。
しかしティルは水を差した。
「うーん、ただの狼の気配じゃないわね」
グルルル……と狼に似てはいるのだが何かまがまがしさを感じる異様な声が響いた。
ふり向くとそこには確かに狼、白い狼がいた。
いや狼ではあるのだが、ライオンの様にいやそれより大きい体と犬の様に今にも噛みついて来そうな品のなさがある。
ロミイは言った。
「あれ? 狼ですか?」
ティルは説明する。
「あれは、地上の魔物じゃない、魔界から来た魔獣マグーバよ」
「え?」
「恐らく私達を狙う宰相達が呼び寄せたのよ。こないだ説明した魔王が残した魔方陣から呼んだのよ」
「私達がここに来るのも読んで?」
「スカーズが困った人の声を聞ける事も計算に入れてたのかも知れない。いずれにしても接近戦は危険そうね」
「よし! まずは遠距離攻撃だ」
俺はエアカッターを魔獣マグーバに放った。
しかし少しだけ効いた感じはしたものの、一見柔らかそうな毛の多い皮膚は傷ついていない。
「私も魔法で」
ティルも光の魔法を放った。
しかしこれもダメージを与えるに至らない。
「決め手がない」
マグーバは息を吸った。
「い、いけない!」
ティルはマグーバの挙動を見て警戒した。
そしてティルは突如マグーバが吐いた火を光の魔法で受け止めている。
「ぐ、ぐう!」
「これ火炎じゃないのか?」
「ただの火ではない、魔界の魔獣だからこそ吐ける、瘴気が多く含まれた火よ」
「俺が代わりに食い止める!」
俺は突風を起こしティルを逃がした。
しかしこの突風をもマグーバは瘴気火炎で防ぎ受け、届かないようにしている。
俺は突風を起こし続けたが埒が明かなかった。
「遠距離でも駄目なら接近戦に持ち込むんだ」
「でも危険よ!」
「俺の逃げ足を活かす」
俺はかなり決死の覚悟でマグーバに走って近づき、ぎりぎりで逃げるおとり作戦を立てた。
「ロミイ、爆弾は使わなくていい、相当負担がかかるんだろ?」
俺は挑発とかく乱を兼ね近づき逃げるを二度やった。
しかし予想もしたがマグーバは瘴気火炎だけでなく近くに来るなり凄まじい凶暴さで噛みつきかかる。
これを攻撃をくらいぎりぎりで二度かわし、ティルに遠くから光魔法を撃ってもらった。
やはり逃げは一日の長がある。
しかし、優勢は長くは続かなかった。
三回目の接近で遂に俺は足を噛まれた。
ティルは叫んだ。
「エグイゼルから受けた傷が癒えていないのに!」
マグーバは突進してきた。
俺は無我夢中で大地の力にかけた。
動けない以上この攻撃方法しかない。
「地熱伝導だ!」
俺は地面を叩き地熱を電気の様にマグーバの立っている地面に送った。
初めてマグーバが怯んだ。
これを繰り返した。
「特大地熱伝導!」
特大の地熱で遂にマグーバは倒れた。
「やった!」
親父の力で勝った気がした。




