緑の塗り絵師
目にした景色を踏み固めて
緑色に塗りつぶしていく
一歩一歩確実に
踏みしめて、地を固めて
ほんの少しの気怠さと
ほんの少しの痛みを伴って
ここも、あそこも塗りつぶしていく
ここはもう見知った景色
ここから先は見知らぬ景色
目の前にある見えない境界
踏み越えた先は見知らぬ世界
けれど踏みしめたその瞬間から
知らなかった景色は過去に
塗りつぶされた景色は現在に
びゅんびゅんと通り過ぎていく人と影
いつもの場所をいつものように
当たり前として歩いてる
彼らの目前に広がる景色は
一体どんな色をしてるんだろう
緑色に塗りつぶしていく
僕が景色を踏み固めてく
目にした記憶は記録になって
過去へ過去へと蓄えられてく
朝も昼も夜もその先も
固めて固めて碧の色に
明日目にするその先も景色も
全部全部塗りつぶしていく
いつかいつか緑に還して
全部全部を青と碧に
あるべき姿とはなんだろうか
それは誰にとっての
あるべき姿なんだろうか