やっぱり弱い。
「はぁ…やはり、この程度か。」
「はあ、はあ、はあ。」
「う、うそ。」
ここは校内にある闘技場。
あの後、パトスに勝負を挑まれた力はここで勝負する事にした。
結果は力の圧勝であった。パトスの攻撃は全ていなされて封殺された。
「女になるまでもなかったな。」
「くっ!」
力は男の姿のままで戦っていた。舐められたと思ったパトスは最初から本気で挑んだが、結果は悲惨であった。
「どうやって……」
「多分、気。」
笹の疑問にダウナー系の女子が答えた。
「金剛さん。気って確か太古に失った技術ですよね。」
「違う、なくなったのは気を操作する技術。気自体は魔力みたいなもの。」
金剛と呼ばれるダウナー系少女は疑問を述べる先生も含めたこの場にいる人全てに対して答えた。
「へぇ、こんなマイナーなもの。その若さで知っている人がいるなんてな。」
「私、貴方と同い年だよ。」
同い年にそんな言われる筋合いがないと、金剛は言っている。
「まだ、まだですわ!」
「おいおい、まだやるのか?そんな実力じゃあいくらやっても俺には勝てない。」
「なら、これならどうですか!」
パトスの右手に持つランスから魔力のビームが発射された。
「この程度、避けるのなんてわけない。」
「そんなのわかっていますわ!」
ビームは幾重にも枝分かれして、力の逃げ道を塞いでいった。
「はぁ、こんなもの避けるから壊すの変わっただけだ。」
力はそういうと、自分に襲いかかってくるビームを拳で壊し始めた。
「気ってあんな事できるの?」
「気は魔力と違って身体能力向上と自然治癒力を強化するのに特化している力。でも、パトスのあの鋭い魔力砲を正面から壊すなんて初めて見たし、聞いたこともない。」
その場にいる全ての人が驚いていた。
「だから!そんな事は分かっていましたわ!」
枝分かれした魔力砲は全てが目眩し、それによって生まれた死角から力を鋭い一撃を食らわした。
「だから、言っただろう。避けれなくなったら壊すだけだと。」
「ぐはっ!」
パトスは力にランスでの鋭い一撃を食らわしたが、それは力の身体にダメージを与える事はなかった。
「気は身体能力を上げる。それは皮膚の硬さも上がるという事だ。お前が魔力で強化した一撃より俺の気で強化した皮膚の方が上だっただけだ。」
パトスの矛は力の盾より柔かった。
「これも言っただろう。何回やろうとお前が俺に勝つことなんてないと、お前がいくら攻めようと、守ろうとする時に使う魔力と体力より俺の体力と気の消費量を上回る。つまり、短期でも長期でも俺がお前に負ける事はない。」
「それでも、負けを認めることにはなりませんわ!」
パトスの目はまだ負けを認めていなかった。
「やはり、弱い。どんだけ高等な気持ちがあろうとも身体は追いついていない。」
力が言った通り、パトスはまだまともに立ち上がることも出来ていなかった。
「終了だ。俺に嬲る趣味はない。」
「待ちなさい!」
「待たない。」
「待ちなさいって言っているでしょう!」
パトスは最後の力を振り絞り突撃した。
「はあ、馬鹿が。」
「っ!がはっ!」
力は後ろ回し蹴りでランスを弾き、溝内に蹴り入れた。