友情パワー!!
「なるほど、気と魔力の融合か。」
「あっ、やっぱり分かる?これやると衣装も変わるんだよ。」
少女の衣装は赤を基調としたシンプルドレスだったのが、今は紫を基調としたメイド服風ドレスになっていた。
「全く、お主には驚かされるな。その歳で気を扱うだけではなく、魔力と気の融合の高等技術まで使えるとはな。」
「まぁ、俺は天才らしいからな。…アイツがいるから。一切実感ないけどね。」
力は友を見てそう言った。
「ほぉ、それはいい事だ。競う相手がないというのは人生を損にする。」
「歳はとっているだけはあるね。言葉の重みが違うね。お話はこれくらいにして、そろそろやるね。」
こっちには時間がないんでねと少し焦り気味に少女は言った。
「そうか、それは残念だなぁ!」
「そう言ってそっちから仕掛けてきてるじゃん。」
初老の攻撃を躱しながら返事する少女。
「まぁ、驚くのはまだ早かったかな、お爺ちゃん。」
「っ!!」
少女はそう言うと指先から気と魔力では作られた弾丸を撃ち出した。
その弾丸は初老の肩を撃ち抜いた。
「どう?天才でしょ?」
「あぁ、天才じゃな。まさか、身体能力特化の気を混ぜた弾を撃ち出すとはな。」
気は身体能力、自然治癒力を上げる事は魔力より優れてはいるが、魔力程応用が効かない上遠隔攻撃が出来ない。達人級になれば出来るがそのレベルでも直接攻撃した方が圧倒的に効率、威力、効果共に高い為、使う事はない。
だが、少女の気弾は魔力を混ぜる事により弾の威力を底上げしたのである。
「まさか、魔力にこんな効果あるなんてな。」
「あっ、気づいた。そうだよ。魔力と気を混ぜると相手に毒に似た効果を与える事が出来るんだよね。しかも、気と魔力の比率によって毒の効果は変化するんだよな。」
「おやおや、そんな事まで教えてくれるなんて優しいじゃないか。」
「まぁ、別にバレても問題ないしね。俺以上にこの力を扱えるのやつはいないからな。」
「確かにな。ここまでの気や魔力を精密に扱う人を見た事はないの。それじゃあ、こっちも面白いものを見せてやろう。」
「は?」
少女は驚いていた。初老はさっき少女が見せた力を扱っているのである。
「なっ?!はぁーー!何よそれ!」
「何とは、おかしなことを聞くなぁ。お主が使っているのと同じじゃよ。」
「だーかーらー!何故それが出来るのかって!聞いてんだよ!!」
気と魔力を混ぜる事は不可能である。だから、初老も驚いていた。
じゃあ、少女はどうして可能なのか?それは唯一無二の特異体質があってこそであり、この体質は自分以外いない事を確信している。正確に言うと、この体質と気と魔力を高度に操る技術を持つのは自分しかいないという事実を知っているからである。
「そうか!そう言うことか。」
「おっ、気づいたようだな。だが、気づいたところでお主には対処出来ないだろ?」
「そうだな!」
「方法が分かった上での対処不可能と分かると早期決着のための猛攻、いい判断じゃな。わしとの戦闘では特にな。」
少女は冷静であった。
この力は最近使えるようになったとはいえ、そこは才能のゴリ押しでどうにかしてきた為、魔法少女になってから初戦以外での苦戦はなかった。
でも、それは魔法少女になってからの話である。魔法少女になる前は苦戦が当たり前、少しでも油断すれば即敗北そんな戦闘ばかりであった。
だから、この程度の苦戦は圧倒的に誰よりも慣れていた。しかし……
「っ!」
「おっと危ないな。一対一に割り込むとは無粋でないか?魔法騎士よ。」
「いつ、誰が、一対一で戦う事を了承したよ!大丈夫か!力!」
「この姿で本名を大声で言うな、馬鹿……」
「やっぱり、相当疲労しているな。まだなりたてで、魔法少女の身体の負荷が他の人より重いって学園長も言っていただろ。その上、禁止にしている形態変化までしやがって、お前がそれだけしないといけない相手なんだろ。」
友の言う通りであった。力は結構無理をしていたが、それを敵に悟られないように得意なポーカーフェイスで誤魔化していたのに大声バラしやがったのである。
「ほっほっほ、そうだったのか。それは良い事を聞いた。」
「はっ!しまった。」
「はっ、しまった。じゃねぇよったく…それより、避難は済んだのか?」
「あぁ、バッチリだ。途中で綾香達に会ったから。頼んできた。お前がピンチなのが何となく分かったからな。」
これこそ友情パワーと言っている友である。それで本当に分かっているのだから、凄い。
「はぁ、またアイツらの嫉妬されると思うとうざいな。凄く。」
「うん?なんか言ったか?」
「ぁ?!何も言ってねぇよ!」
典型的な難聴主人公みたいな事を言うから。怒り気味に返事した。
「それじゃあ、いつも通り、倒すぞ。」
「あぁ、やるか。」
「おお、これはまた怖い、怖い。」