myth.5.5 嫌い
作者です。
今回は5.5なので短いですが何卒!
myth.5.5 嫌い
「ソール!?」
俺、狐森ユウマは今風呂場にいる。そして後ろには勢いよく後頭部を床にぶつけ、恐らく意識を失っているソールがいる。
恐らく俺が言った前もしてくれない?という言葉にビックリしたんだろう。さすがに出会って数日で踏み込みすぎたな、と自分でも思う。
俺はソールを抱き抱えて風呂場から出る。
脱衣場の床にソールを寝かせて体をタオルで拭いてやる。
顔、首、胸、腕、腹、腰、腿、足、その全てにおいてソールは綺麗だった。白く透き通った肌、右目の涙袋にあるホクロ、フニフニの柔らかい唇、細い首に魅惑的な鎖骨、胸は膨らみこそ無いものの二つの突起は穢れを知らない桃色だ。腰はくびれていて薄い、すぐに折れてしまいそうだ。
「っ………。」
ソールが意識を取り戻したようだ。
「大丈夫か?ソール。」
後頭部を思い切り打ったのだ、もしかしたら頭蓋骨にヒビが入っているかもしてない。
「頭痛い……、って君、離れてよ……。」
どうやら嫌われたかもしれない。
さっきまでは結構いい感じだったのに。
俺は恐らくだがこの子に嫌われていた、出会った日から。
その原因は分からないが俺が握手を求めた時、この子はとても嫌な顔をしたのだ。自分ではしていないつもりだったのだろうが。それから俺はどうにかして仲良くなれないかと工夫をした、この子の傍にわざと行ったり、まぁ色々したさ。
自分でもなぜこんなにこの子に固執するのかは分からない、ただ、この子からは懐かしい匂いがするのだ。
そして、ついさっきまでは背中を流すほどの仲になった。ついさっきまでは。
今は前の仲に元通りだ。
「タオル……返してよ。」
ソールは胸を自分の腕で隠してしゃがみこんで上目遣いでこちらを睨む。
ソールの魔力が荒々しくなっているのがわかる、その証拠にソールの腰からは左側だけ翼が生えている。
「わかったわかった。」
俺はソールにタオルを渡す。ソールはタオルを取ってそれを胸の位置で体に巻く。
「君、ほんっとに嫌い。」
言われた。ストレートに言われた。
ソールはそのままタオル姿で脱衣場を飛び出して俺は一人になった。
さっきの言葉が結構刺さる。
ほんっとに嫌い、か……。マジかぁ……。
「はぁ………。」
大きなため息をついたあと、俺はもう一度風呂に入った。
作者です。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
今回は狐森ユウマ君がなんとなく可哀想な回でしたね。彼ははたしてソールにどんな思いを抱いているのか、まぁ察しのいい方はお分かりだと思いますけどね。
作者は全てのキャラクターを掘り下げ気はありません、というより掘り下げる時間が無いです。
ですがコメントでこのキャラクターを掘り下げてーなどがありましたらぜひぜひ書いてください、実現するかも!