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真紅の果実と玉虫  作者: 神咲凛月
2/10

myth.1 再会

どうも、作者です。

今回から物語が動きます。myth.0はあくまで前日譚です。


ということでサブタイの再会ですがそれは見てからのお楽しみって事で。

myth.1再会


ある一人の青年が沢山の龍を連れて空から降り立った。

その少年の腰からは一翼の翼が生えており、瞳はワインレッドのような深みのある紅い色をしていた。髪は黒く左の前髪に赤いメッシュが入っている、体つきは華奢で肌は透き通るほど白い。


「久しぶりだな、ここは。」


赤い龍が呟く。

それに呼応するように灰色の龍が「そうだな。」と返した。

青年の周りには赤い龍、灰色の龍の他に青い龍や黄色い龍など合計6体いる。


「さぁ、行くよ!」


青年がそう言うと龍達も青年と同じように地上に降り立ったーー。



「たしかここら辺のはず……」


青年はある村を訪れた。

その村は住居がポツポツと建っていて、他は全て畑という静かな村だった。

村民は基本的に高齢者だ。


「あれまぁ、綺麗な子だねぇ。」


農作業をしていたご婦人が青年に話しかける。

すると遠くで同じく作業をしていたご老人が大声で叫んだ。


「ばあさんや!それは片翼の忌み子じゃ!関わらない方がええぞ!」


心無い言葉。

他人の心を踏みにじるような言葉。

その言葉を聞いた青年の表情は心無しか暗くなっているように見える。


「そんなものは関係ないと思うんだけどねぇ、ごめんねぇ。」


ご婦人は申し訳なさそうに頭を下げた。


「大丈夫ですよ、僕も気にしてませんから。」


青年はご婦人に笑いかけるとそのまま会話を続けた。


「この先に高い塔が建ってると思うんですけど、行き方が分からなくて。」


するとご婦人はすぐに口を開いた。


「行かない方がいいよ、あそこはなんていうか悪い気がするんだよねぇ。」


ご婦人なりの思いやりなのだろう。

だが青年の表情は暗いままだ。


「そうなんだ……、ありがとう。」


青年はご婦人にお礼を言うと村を後にした。



それから程なくして青年はある開けた場所に出た。

そこには8階はあろう巨大な塔が一基、周りにはとても大きい御屋敷が建っていた。

青年は塔を見上げ一言「ただいま」と漏らした。

するとその塔から一人の女性が出てきた。


「あ!イヴ様!」


青年がイヴと呼ぶそれは白く長い髪に赤い瞳、白い肌に白いワンピースが眩しい。

彼女もそれに気づいたらしく、青年の方に手を振っている。


「どうしたのよソール!久しぶり!」


彼女は青年の名前を口にし青年を抱きしめ、頬にキスをした。

青年の名前はソールというらしい。


「え、知り合い?」


青い龍がキョトンとした顔で言う。

他の龍も同様龍とは思えないほどの顔で二人の方を見つめている。

目をまん丸くさせて、頭の上には疑問符が三つほど出ているだろうか、それが数分続いた。


「えっと、どちら様?」


イヴが龍達を指さしてソールに聞く。

指を指すのは失礼だ!と言いたげな表情の龍をソールはアイコンタクトのみで黙らせる。

その瞳は赤く輝いていて、全てを見透かされているような眼差し、少なくとも彼らはそう感じた。

なんというか服従しそうな、そんな瞳だ。


「俺はドライグ」


赤い龍が低く響きのある声で自己紹介をはじめる、彼の名はドライグと言うらしい。彼の赤い、まるで燃え盛る炎のような鱗が太陽の光に当てられてキラキラと光る。

彼の体のあちこちに見られる鎧のような外部骨格の様なものは鱗とはまた違った赤色で深い赤色をしていて、関節部分からは白い肌が見える。

身長は彼に限らず大体の龍が70m程だ。

彼の瞳は黄色くギラギラとイヴを見据えている。


「おい、何やってんだ」


突如上の方から声が聞こえた、すると空から一人の男が降りてきた。


「あ、お父さん!みて!ソールが帰ってきたんだよ!」


イヴにお父さんと呼ばれたそれはまるで工芸品かのような整った顔立ちをしていて、長身宝石のような二つの瞳は左右で色が異なる、右目はエメラルドグリーン、左目は藍色、まさに完璧という名が相応しい、そんな男だ。

すると男はソールを覗き込む。


「あぁ、あのガキか。」


男はそう一蹴すると、また塔へもどっていった。

イヴが言ったようにここの者達はソールを知っているようだった。それを疑問に思ったのだろう、黒い龍がソールに尋ねる。


「この人達はソールの知り合いなの?」


その問いに対して答えたのはソールではなく、イヴだった。


「10年前の雨の日、この子が倒れてたの。私達がそれを助けて数日間一緒に暮らしてたのよ。」


それに対しソールも頷く。

その瞬間、周囲のオーラが異質なものに包まれた。

それにいち早く気づいたのは灰色の龍、ではなくイヴの方だった。

そのまま流れるような動作でソールをまるでお姫様を抱き抱えるかのごとく持ち上げ、お姫様抱っこの体勢になりそのまま塔の方へ走り出した。

それを見た灰色の龍はほかの五人の龍に「互いの背中を守るように円陣を組め」と命令した。

五人は命令に忠実に動き互いの背中を守るように円陣を組み赤い龍、ドライグは手の甲から炎を発生させそのまま拳を包み込んでは腰を低くし炎を纏った拳を前に突き出し戦闘の構えをとる、その瞳はギラギラと輝いており獲物は俺のものだと言わんばかりの眼差しで周囲を見つめる、青い龍はドライグとは対照的にスっと背筋を伸ばし掌を上にし黄色い球体の月の様なものを生み出すとそれを空に放つ、それと並行してもう片方の掌は下に向けて水を創り出しそれを前方に噴出し異質なオーラに対して威嚇をする。黄色い龍が拳を地面に突き刺すと周囲の地面が隆起したりぬかるんだりと様々に変化する、黒い龍は腕を広げ自身のオーラを徐々に広げてそれを可視化したかの如く影が伸び自身から一定の距離に円形状に影を広げる、白い龍は腕を上にあげて指をパチンと鳴らす、すると空から白い雪の様なものがパラパラと降ってきては地面に落ちる、白い龍の魔力が込められたそれは地面に落ちても形を崩すことはない、灰色の龍は翼を広げて宙に飛び辺りを見渡す、すると瞳を閉じて静かに宙に静止する。数秒が経ち灰色の龍が目を見開くとその動作と同時に腕をあげ3時の方向に指を指して。


「あそこだ。」


と一言発した。

その瞬間、他五体の龍が一斉に指を指した方向に対して前を向きドライグは炎を纏った拳を前に突き出したまま隆起した地を蹴ってそのまま異質なオーラの出処へ自身の翼も使い風を切るスピードで詰め寄り拳を振り下ろす。

空気がチリチリと焼けて辺りが乾いた空気へと変貌した。

そこにはまさに異形としか形容しがたい生物がドライグの拳の炎に焼かれ、苦しみもがいていた。

それは大きな手押し車に鬼のような白い顔がくっついた異形だった。

そこに青い龍がその異形に水をかけて炎を鎮火した。


「おいアーク、なんで消すんだよ。」


青い龍の名前はアークと言うらしい。

そしてドライグは不服そうにアークを見る、その視線だけでなにを言いたいのかが伝わってくるほどだ。

そのまま黒い龍が広げた自身の影を異形に伸ばすとグルグルと影が異形を縛るように異形の体に巻きついた。


「お前ら、よくやった。」


灰色の龍が空から降りてきて、異形を見つめる。

混じり気のない黄金の瞳で、すべてを見透かしたような眼差しで見つめる。

異形の体はわなわなと震え、ぎょろりと出た目からは涙が出てきて、はたから見たらカツアゲだ。

体の大きさが倍以上はある龍、それも6体に囲まれたらあんな反応にもなるだろう。


「み、みんな……、それくらいにしといてあげてもいいんじゃないかな……?」


そんな龍達の前にイヴに抱えられたソールが現れた。


「その子も悪気があった訳じゃないようだし。」


とイヴが続く。

心を読んでいるかのような発言にもとれるが、それは知る由もない。

その言葉を聞いて黒い龍は影を元の大きさに戻して異形の拘束を解く、それに続くようにその他の龍も異形から離れていった。


「ほら、元の場所にお戻り。」


イヴは優しい声音で異形に語りかける。

やはり彼女からはなにか特別なものを感じる。

異形はそのまま大きな車輪を回しながらよろよろと森の中へ消えていった。


最後まで読んでくれてありがとうございます。

今回は三人称視点といいますか、天の視点でしたが次回からはちゃんと一人称視点になりますので。


再会ということでmyth.0で出会ったイヴと再会しましたね。

それと最初のお爺さんとお婆さんの絡みは個人的に入れたかったので入れました。


作者は全てのキャラクターを掘り下げ気はありません、というより掘り下げる時間が無いです。

ですがコメントでこのキャラクターを掘り下げてーなどがありましたらぜひぜひ書いてください、実現するかも!

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