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93/135

93:空気を読めないと地獄を見ますよ?

誤字脱字報告ありがとうございます。

 クラス内に広がった噂は、二人の御蔭でだいたい把握する事が出来ました。


 問題は、すでに若干の尾鰭がついていた事ですが、幸いにしてクラスにいる生徒会の東君、鳳凰会の橋本君の御蔭で無事に払拭・・・・・・出来てるといいなあ。


「それで? また昼の休憩中か放課後に鳳凰会の先輩の強襲を受けるのでしょうか?」


 そもそも噂が発生したのは鳳凰会の人がクラスで有る事無い事を言い放ったからなので、その責任は橋本君にあると思うのです。ただ、本人は思いっきり否定していますが、橋本君の鳳凰会での立ち位置というか、カーストというか、そこら辺が判らないので今一つ責任追及が出来ないのですよね。


「う~ん、一応は鳳凰会の先輩に根回しのメールをしておいたけど、僕だと何とも言い切れないかな」


 まあ先輩の行動を完全に把握できる訳ではないでしょう。


「さっさと帰宅するのが吉でしょうか? でも、昼に来られたら迷惑ですね」


 貴重なお昼時間を余計な事で浪費したくないのですが。


「伊藤さんは会長に気にいられたっぽいから、会長に頼むという手段もありそうだけど余計に拗れそうだしね」


 東君が私と橋本君の話に入って来ますが、確かに雲雀さんが来ると纏まるものも纏まらなくなりそうです。


「むぅ、そもそも何がどうなっているのか判らないのに不条理です。というか、救急車で運ばれた人に聞けば良いのではないでしょうか?」


 まあ自分で言ってて嘘くさい話です。あの感じでは一日二日で学校に出て来れるとは思えないですね。


「という事で、逃げてきました」


 私はお隣のクラスである梨花ちゃんの所へ避難してきました。

 ついでに、梨花ちゃんのお友達にもご挨拶しておきます。


「二組の伊藤ひよりです。梨花ちゃんとは小学校からの付き合いです。自分のクラスではハブられてるのでこっちへ逃げて来ちゃいました。仲良くしてね?」


「寒! うあ、ひよりちゃん、鳥肌立ったよ!」


「失礼な!」


 私と梨花ちゃんの遣り取りで、幸いにして打ち解ける事が出来ました。

 ちなみに、梨花ちゃんとお友達になったのは太田さんと長野さん、どちらも外部生ですね。


「二組の伊藤さんって言うと、今噂の伊藤さん?」


「どんな噂が流れてるか判りませんが、多分その噂の伊藤です」


「おおお~~~」


 何か太田さんの反応が大袈裟です。

 で、長野さんは首を傾げていて、梨花ちゃんは額を抑えているのはどっちの意味ででしょう?


「ひよりちゃん、私もその噂を聞いてるけど、鳳凰会の先輩を殴り飛ばしたって?」


「おおお!」


 梨花ちゃんの言葉に、長野さんが思いっきり驚いているけど、誰? そんな噂流してるの。


「梨花ちゃん、冷静に考えてね、この華奢な私が先輩を殴り飛ばせると思う?」


「うん、ひよりちゃんなら殺れる!」


「何か語感が違った!」


 などと馬鹿な話をしながら食事をしていると、何やら隣の教室が賑やかです。


「隣の教室が煩いね。まったく、困ったものですね」


「えっと、隣は二組で伊藤さんの教室なような?」


「まあ、ひよりが避難して正解だったという事ね」


「うん、こっち来ておいて正解だった」


 梨花ちゃんは流石に判ってらっしゃる。


 そんな私と梨花ちゃんを、苦笑を浮かべながら見る太田さんと長野さんも中々の人と見ました。まあ梨花ちゃんは結構人を見る目が鋭いですからね。


「で、余計な事をする者がこのクラスにもいるんだよね」


「あ、あの子は鳳凰会だったと思う」


 此方をチラチラ見ていた男子が、教室を出ていくのが見えました。


「むぅ、急いでお弁当食べるね」


 邪魔が入るまでにお弁当を食べきらないと食べれなくなりそう。

 それこそ、食べてる最中に邪魔されて、無視してるとお弁当を叩き落とされるとか定番だよね。現実にあるかはともかくとして。


「あ、やっぱり来たよって、あ、そのまま食べてて」


「モグモグモグ」


 口を動かしながらも、視線で梨花ちゃんに返事をする。

 そのまま視線を入口へと向けると、3年生が数人こっちへと向かって来るのが見えた。ついでに、さっき出て行った男子と、うちのクラスの橋本君も一緒に来るけど橋本君は何かお疲れっぽい?


「・・・・・・急いで食べてるにしては咀嚼が長いね」


「まあひよりちゃんだから。いつもマイペースだよ?」


「でも、鳳凰会の人でしょ? 大丈夫なの?」


 梨花ちゃんは兎も角として、太田さんと長野さんはちょっと不安そうに近づいて来る3年生達をみています。


 まあ普通は怖いですよね。何せこの鳳凰学院の権力者集団と言っても吝かじゃないですからね。


「おい、お前が伊藤ひよりか! 生徒会に何を頼まれた、正直に言え!」


 何か近づいてきて早々に怒鳴りつけるなんて礼儀が成っていませんね。そもそも、自己紹介すらしていませんよ。という事で、後ろにいる橋本君に視線を投げます。何せまだ食事中です。


「ムグモグモグ」


「おい、人が話しているのに何だその態度は! 我々に対して無礼だろうが!」


 まあ無礼かそうで無いかと言えば無礼なんだろうけど、そもそも今はお昼の時間なのです。ついでに、私はこの人達を知りませんし、話をする必要を感じませんよ?


「モグモグ、はぁ、人が食事中に何なのですか? 今はお昼の時間です。邪魔をしないで欲しいのですが」


「何だと! まだ入学して間もないと此方が配慮しておれば、何だその態度は!」


「・・・・・・配慮?」


 私が思わず周囲の人達に、何処に配慮があったのか問いかける為に視線を動かせば、何故か梨花ちゃん以外の人達が一斉に視線を逸らしました。梨花ちゃんは思いっきりナイナイと手を振ってますよ。


「そんな事はどうでもいい、さっさと生徒会から頼まれたことを教えれば良いんだ。どんな不正を働いた!」


 相変わらずの大きな声で、思わず顔を顰めてしまいます。

 ただ、後ろの面々も何やら此方を睨んでいますが、一応は前にいるこの男が問題の様ですね。


「何を言っているのか判りません。そもそも貴方は誰ですか? 私の数少ない知り合いの中に貴方は姿も形も無いですね」


「うんうん、ひよりちゃんは友達も少ないもんね」


「梨花ちゃん、出来れば黙ってて欲しいかも」


「判った!」


 そう言って、口の前に人差し指でバッテンを作る梨花ちゃんは可愛らしいですが、ただ性格に難があるんですよね。


 梨花ちゃんはこれで良しとして、まずは目の前にいる邪魔な人をどうするか考えますか。


「あ、ごめんなさい、聞いてませんでした。えっと、3年生の何某さん」


「き、貴様! 鳳凰会をここまで虚仮にして唯で済むと思うなよ! 生徒会が背後に居ようが関係ないからな!」


 思いっきり生徒会を気にしてるような気もしますが、まあ私には関係の無い事です。そこまで仲が良い訳でもないですし、今後も出来れば関わりたくないです。

 という事で、一生関わり合いになる事間違いなしの御威光を試してみましょう。


「生徒会と特に関係があるように言われて非常に迷惑なのですが。その噂が勝手に独り歩きしてしまってますよ。そもそも、私は癒しの女神? 巫女? なんだっけ? ともかく別系統なのです!」


 そう言って、先日佳奈お姉ちゃんにお願いして手に入れた、お姉ちゃんの御威光満点の超レアなコスプレ変身シーン、ちょっと際どい太腿プロマイドを某ご老公のおつきの人のように掲げました。


「控えおろう。ここにおわすわ現代に蘇りし聖女にして女神、伊藤小春が姉妹、伊藤ひより様であるぞ、頭が高い、控えおろう!」


 うん、決まったよって思ったんだけどね、平伏するどころか思いっきり凝視していますよ。

 硬直して何か限界まで目を開いて凝視しているんですが、思いっきりキモイです。


 す~い、す~いと左右にプロマイドを移動させると、男子達の視線がプロマイドに追従してきます。

 ちなみに、唯一橋本君だけが目元を覆っていますが、貴方もさっき凝視していた事に気がついていますからね。誤魔化しても遅いですからね。


「これで私の立場をご理解いただけましたでしょうか?」


 すっとプロマイドをブレザーの内ポケットへと仕舞うと、目の前の男子達から残念そうな溜息が零れます。ただ、貴方達、周囲の女子の視線を気にした方が良いですよ? 結構温度が低いですから。


「く、まさか、あの小春先輩の関係者か」


「まずいぞ、小春先輩を敵に回したら」


「馬鹿野郎、お前達もっと早く言え」


 3年生達は、後ろに居た橋本君とこのクラスの男子に何か言ってますが、どうやらこれで一段落になりそうです。


「では、私はまだ食事中ですのでお帰り下さいね」


 そう言って私は食事を再開するのですが、3年生はまだ何か用事が有るのか一向に立ち去ろうとしません。


「まだ何かあるのですか?」


「あ、あ~~~、その・・・・・・今のプロマイドは非売品?」


 後ろに居た3年生の一人が恐る恐るといった様子で尋ねてきます。

 まあ中々にこの状況で尋ねるのは勇気が要りますよね、そういう意味では勇者ですね。無謀と同義語ですが。


「たしか、文芸部での5枚入りパッケージにレアで入っているって言ってた。どれくらいの確率化は知らないけど」


 私の言葉に、思いっきり笑顔になる3年男子達だけど、女子の情報網であっという間に広がるんだろうね。貴方達のこの残り1年? それとも4年? の幸運を祈るね。


 多分だけど、彼女は無理だと思うよ?


「あの3年生の名前を教えてくれるかな? そこの男子」


 危険を察知したのか橋本君はさっさと撤退したけど、クラスが此処の為に撤退できない男子がここに一人。うん、あなたが余計な事を言いに行ったから面倒事に巻き込まれたんだからね、ちゃんと責任は取ろうね。


 結局の所、鳳凰会の3年男子3名と一年男子2名の名前付きで、私の噂を上書きする恐るべき速さで今回の出来事が、それこそ尾鰭背鰭付きで出回ったのでした。

女子の噂は一日千里を走りますよ!

怖いですね~~~w

ただ、この御蔭で文芸部はまたもや大儲けをしたとかしなかったとか。


久しぶりにローファンタジー日間100位以内に入ってました!

すっごく嬉しい、ブックマークも900人超えです><

ブックマーク、ポイントありがとうございます。

すっごく励みになりますm(_ _)m

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