表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

84/135

84:50番以内ですか? そんなの無理です!

誤字脱字報告ありがとうございます。

 4月、新しい学校生活の始まり・・・・・・を思いっきりぶちった私ですが、入学式欠席は中々のインパクトだったみたいで今絶賛ボッチ中です。


「う~ん、予定と大幅に違います。もっとも、内部進学生が多いのでこんな物でしょうか?」


 受験組は受験組で早々にグループを組んでいるようですが、私は何故かそのグループに誘われない罠!

 原因としては私の登校初日に3年生や2年生の先輩数名が私の品定めに来た事が大きいと思うのです。


「お姉ちゃんの影響が思いの外残ってます」


 中等部ではお姉ちゃんは成績優秀者、ついでに生徒会の人達と良く騒ぎを起こしていたみたいです。入学してから知りましたが、そのせいでお姉ちゃん派と反お姉ちゃん派が今も中等部には残っている状況?


「色んな意味で私に期待されても仕方が無いのですが」


 どちらかと言えば大人しく周囲に埋没して過ごそうとした私の計画は、まあ入学式を欠席した段階でとん挫したんでしょう。自業自得と言われてしまえば致し方ありません。


 そんな私ですが、中等部という所が想像以上に悪意で満ち溢れている事に驚きを禁じえません。

 昨年までお姉ちゃん達がいたというのにこの状況です。

 今の子供達はどれ程の闇を抱えているのか恐ろしくなりますね。


「あ、ひより見つけた!」


 私が教室で黄昏ていると、教室の入口から梨花ちゃんがトコトコとやって来ました。

 よく一緒に勉強していたからなのか、梨花ちゃんも私に感化され同じ鳳凰学院を受験したんです。


「梨花ちゃんどうしたの?」


 私が登校した初日では梨花ちゃんは放課後毎にちょこちょこ遊びに来ていたけれど、それも数日で一気に頻度は減っていきました。まあクラスで新しく仲良くなった友達を放っておいてくるのもどうかだしね。


「試験の順位表が張り出されてたから見て来た」


「なるほど、私には縁のない話だね」


 外部からの受験生が受けた試験を、内部進学の子達も同様に受けさせられているのはお姉ちゃんから聞いていました。確かお姉ちゃんの時は堂々の12位だったかな? ただ、私は得意不得意の教科に偏りが有るので貼り出される50名の中に入るのは難しいと思う。


「ふふふ、なんと! 私が48位にいた!」


「おおおおお~~~、おめでとう! すごいね、50位以内に入ったんだ」


 順位を見て、恐らく嬉しくて誰かに自慢したい、でも自慢出来るほどに気心が知れた友人がいない梨花ちゃんは、迷わず私の所へとやって来たんだろう。


「ぎりぎりだけど、嬉しい!」


「うん、素直に喜びたまえ」


 そんな事を私は言いながら梨花ちゃんを褒め倒す。梨花ちゃんは授業開始ギリギリまで私の教室に居て、駆け足で帰って行った。


「しかし50位以内に入れなかったのかぁ、入れないのは判ってたけど梨花ちゃんが48位ってことは、私って受験で結構ギリギリ合格だった?」


 この中学受験の試験での順位は受験組が高位を独占するんだけど、私より優秀な梨花ちゃんならもっと順位は上かと思ってました。お姉ちゃんはどんなけ優秀だったのでしょう?


「普段のお姉ちゃんを見ていると、そんなに優秀には見えないんだよね」


 お姉ちゃんって割と天然が強いし、結構勘違いやドジを繰り返す。実態を知れば知るほどに何だかなあって気にさせられるけど、努力や頑張りが凄いのはしってるから。


「決して天才とか秀才では無いんだよね。まさに努力の人だもんね」


 それだからこそ私はお姉ちゃんを尊敬しています。

 私では無理だもんね。


 授業も無事に終わり、リュックを持ってさっさと帰宅しようとしていると教室のドアから先日の先輩達がぞろぞろと入って来る。


 う~ん、またぞろ厄介な気配がするねというか、思いっきり悪意で真っ黒だよこの人達。


 先頭に立って此方へとやって来る人を筆頭に、その後ろについてくる二人も共に真っ黒。その悪意の向け先は思いっきり私です。


「さて、汚れたものは浄化しましょうか、浄化!」


 うん、もう最近は何かどうでも良くなって来ていたりするんだよね。

 悪意で黒い人達って結局は黒くなるだけの事をしているんだし、原因がどうこうとか関係ないもんね。


 という事で、指向性の浄化魔法を思いっきり叩き付けました。


「うわぁぁぁぁぁぁぁ」

「ぎゃああああ」

「あぅ」


 三者三葉ではあるんですが、急激な浄化は体に思いっきり負担がかかるので危険です。

 もし試される方は専門家の指導の下、十分に安全に考慮してお使いください。


 なんて事を思いながら、周りの生徒が大騒ぎを始める中で私は後ろの出入り口からさっさと退散させていただきました。


「それにしても、浄化に気が付く人が3人もいるなんて驚きです。関係者でしょうか?」


 先程、私が浄化魔法を発動した際に条件反射なのか、本能的な何かなのか、教室に居る生徒の内の3人が一瞬身を竦めました。

 慌てて誤魔化してはいまいたが、私の目は誤魔化せません。


「さて、梨花ちゃんに声を掛けて見ましょうか」


 二つ隣の教室へと向かい、後ろの入口から教室を覗き込む。

 すると、梨花ちゃんの机の所に二人の生徒が集まっているのが見えたけど、梨花ちゃんは何か困り顔?


「梨花ちゃん、どうしたの?」


 梨花ちゃんの座っている席へと近寄り、後ろから声を掛ける。

 すると、梨花ちゃんの前にいた二人が此方へと視線を向けて来た。


「布田さんのお友達? ごめんね、ちょっと布田さんはこの後用事が有るから」


 う? 何か思いっきり上から目線で来たと思ったら、タイの色が2年生の先輩でした。


「梨花ちゃん如何したの? 帰るよ?」


「ひよりちゃん、えっと、どうしよう?」


 私と目の前の上級生とを交互に見る梨花ちゃんだけど、知り合いなのかな?


「梨花ちゃんの知り合い? 用事があるなら私帰るけど」


 ただ、梨花ちゃんの様子を見る限りでは楽しそうでもないし、困っている感じがするんだけどな。


「ごめんなさいね、布田さん、良ければ加入して欲しいのだけど」


「加入? 入部とかじゃなくて?」


 この先輩達からは悪意は出て無いので梨花ちゃんを騙そうとか、虐めようとかそう言った事は無いと断言はできる。ただ、だからと言ってそれが梨花ちゃんにとって良い結果になるとは限らないのが世の中の難しさ。


 そもそも、加入って何よ? 普通の中学生には出てこない言葉だよね。


「ん~~、さっきから君は煩いよ? ちょっと黙ってるか、帰るかしてくれる?」


 如何にもお坊ちゃんと言った様子の先輩が私を見てそう言います。口調は物優しい感じを装っていますし悪意は相変わらず感じないんですが、ハッキリ言って悪意は無くとも良い感じはしません。


「ん~~~、先輩とはいえ所詮は1歳年上なだけで思いっきり上から目線って、何様?」


 うん、自覚は無いのかもしれませんが、そちらから売って来た喧嘩です。思いっきり高値で買いますよ?


「ちょっと響! ごめんなさい。別に悪気があった訳じゃ無いの。ただ布田さんに鳳凰会への入会を勧めに来ただけなの。あなたは鳳凰会って判るかな? とっても名誉な事なのよ」


 私に言っているようで後半は梨花ちゃんに話しかけています。

 ただ、鳳凰会ですか、やだ~~、生徒会と同じく、お姉ちゃんとドタバタを繰り返している学院2大迷惑グループの一つじゃないですか。 


「う~ん、梨花ちゃんはどうするの?」


「え? うん、うちはそこまで名門とかじゃないし、誘われるとも思わなかったから吃驚してるの」


「なるほど、それね、多分学年順位に入ったからだよ。お姉ちゃんが何かそんなこと言ってた」


 生徒会、鳳凰会、お姉ちゃん&佳奈お姉ちゃんの混沌グループ? この三つ巴の争いでしばしば成績順位でのマウント取りがあったみたい。特別進学クラスの人達は基本的に勉強第一でこの争いに不参加だから、意外に良い争いになるらしいのだけど、お姉ちゃんが卒業した後もその名残があるのかな?


「ん? お姉さんが鳳凰にいるの? 宜しければお姉さんのお名前と貴方のお名前をお聞きしてもいい?」


 比較的丁寧な対応のお姉さん。ついでにもう1名はさっきから一気に仏頂面で私を睨んでる。


「1年3組伊藤ひよりです。お姉ちゃんは今は高等部に進学した伊藤小春です。先輩のお名前は?」


「え!? 伊藤先輩の妹!」


「げ! 妹かよ! そう言えば誰かそんな事言ってたよな」


 何か思いっきり腰が引けてる先輩二人ですが、失礼な先輩の方は言葉遣いすら崩壊しています。クラスが別なので梨花ちゃんに迷惑を掛けたくはないんだけど、これは困った事にならないと良いのだけど。


「そ、そう。布田さんは伊藤さんと仲が良いのね。伊藤先輩も面識があるの?」


「あ、はい。ひよりの家に何度か遊びに行ってますので」


「そうなのね。えっと、そう、そうね。入会の事は急がなくて良いわ。また来るから考えておいてね」


 先輩二人はお姉ちゃんの名前を聞いた途端、態度を思いっきり豹変させて逃げる様に教室から出て行っちゃいました。


「あちゃあ、梨花ちゃんごめんね。何か迷惑かけちゃうかもしれない。お姉ちゃんが此処まで有名だとは思わなかった。というか名前名乗って行きなよ!」


 結局の所、あの二人は名乗らずに帰って行っちゃったんですよね。

 ただ、梨花ちゃんは名前を聞いていました。まあどうでも良いので覚えませんが。


「大丈夫、ひよりの御蔭で助かっちゃった。鳳凰会に入っても私は下っ端だろうし、苦労するだけの未来が見えているもの」


「うん、それは判る気がする」


 私達は顔を見合わせて苦笑を浮かべるのですが、やっぱり鳳凰学院への進学は早まったかな?

小 春:「失礼な! 騒動の原因はだいたい佳奈なんだから!」

佳 奈:「ふふふ、でも私より小春の方が有名なんだよね?」

小 春:「それは貴方が私に押し付けるからでしょ?」

佳 奈:「そんな事無いわよ? やっぱり小春は目立つからなんでしょうね」

小 春:「ごめん、ぜんっぜん嬉しくないわ」

ひより:「う~~んと、類友? 同じ穴のムジナ?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ