73:今更の家族対策会議です?
誤字脱字報告ありがとうございます。
お爺ちゃん達に連れていかれた聖女教3人のその後は判りません。あまり関わり合いになりたくないですし、一応の決着がついたという事で我が家へと帰宅しました。
「なんか隠れ家でも何人か捕まってたみたいだな。結局10人近い人が今回逮捕されたみたいだ」
リビングで流れるテレビを見ながら、速報で流される今日の事件報道を家族みんなで見ている。
「完全にテロリスト扱いされているわね。宗教的な過激派組織だって」
「間違ってはいないと思うわよ?」
何故かお母さんの膝の上でテレビを見ている私は、番組内容より今の状況を何とかしたいと思います。
「お母さん、そろそろ膝が重くない? 暑いし私下りたいんだけど」
「え~~~、これ以上成長しちゃったらお膝に抱っこなんて出来ないんだから、もう少しね?」
確かにもう来年は中学生だ。若干体の成長が平均に届いてはいないとはいえ、中学生で親の膝は辛いと思う。ただね、そしたら小学校6年生なら良いのかと言えば、それはそれで辛いものがある。
「お母さんもひよりを解放してあげなよ。別にひよりに何か意図があったわけじゃないんだし、突然泣き出したから何かと思ったわ」
お姉ちゃんが呆れた様子でお母さんにそう告げてくれるのだけど、今日に限って言えば逆効果なんだよね。
「ふふん、小春の天下も今日までよ、ひよりは姉離れしたんだから!」
胸を張って告げるお母さんだけど、姉離れの前に既に親離れしている気がしなくもない。
「ところで、これからの事を考えないとならないが、はっきり言ってお父さんでは判断できない。そこら辺はみんなはどう考えているのかな?」
「そうねぇ、お母さんも頑張るわとしか言えないわね」
そして何故か私に向けられる視線。
「もしかしてまだ小学生の私に期待してるの?」
私の言葉に頷く大人二人、いや駄目でしょうと言いたくなるけどお父さん達は色々と頑張ってくれているのはしってる。時々斜め下に暴走しているきはするんだけどね。
「ひよりが案を出して、私達で無難な感じに修正するのが早いかな?」
「う、お姉ちゃんまで裏切った」
「人聞きの悪い事言わないでよ! でも今後も今回みたいな事が起きえるんでしょ?」
確かにそれは否定できないんだよね。
「う~~~ん、お姉ちゃんがお医者さんになるとかは? そしたら治癒が陰に隠れたりしない?」
そもそも、今回問題になっているのは治癒魔法なんだと思うんだよね。現代の医療で解決できない病気は未だにすっごく多いし、原因不明の病気だって次々と出ているみたい。それを治せるという事は、お金も名誉も色んなものが手に入るって考える人は多いのだと思う。
「うん、無理! 医学部へ進学なんて偏差値どんだけいるのよ。ましてや私は思いっきり文系だからね!」
「うん、何となくそんな気はしてる」
「そうだな、小春は文系だな」
「お母さんに似たのよねぇ」
お姉ちゃんの言葉に家族みんなが同意するけど、お姉ちゃんの成績は決して悪くないんだよ? ただ物事を直観で判断することが多いのと、数学とかコツコツとやるより暗記系の方が好きだっていうだけです。
「お姉ちゃんは将来何になりたいの?」
そもそも、今の状況下で選べる職自体が結構制約されちゃわないかな? そう考えるとお姉ちゃんだけでなく私も結構ヤバいのかな? 思わず自分の未来まで直視させられる事態になったのですが、お姉ちゃんから出て来た言葉に思わず口が開いちゃいました。
「え? 将来? う~~~んと、お嫁さんとか?」
「うわ! 今どきあり得ない言葉が出た!」
「な、なんでよ!」
顔を真っ赤にしたお姉ちゃんが抗議をしてきますが、照れながら言ったあたり思いっきりマジですよこれ。
「もうじき高校生になろうという女子から将来の夢がお嫁さんなんて、国宝級です? もしかしたら天然記念物あつかいですよ? お母さんそうだよね?」
「あら? いいんじゃない? 小春は気立ても良いし、美人になりそうだから」
「え!」
思わずお母さんとお姉ちゃんを交互に二度見しちゃいました。
もしかしたら遺伝ですか? え? 私にもこの血が流れてるから、何かしら影響は出ていなくもないのでしょうか?
「あ~~、なんだ、ひよりが気にしているのはそういう事じゃないんだと思うぞ? 小春は大学は鳳凰学園でいいんだとして、進みたい学部はあるのか?」
「あ、そういう事? それならそう言ってよ! 変な恥掻いちゃったじゃない。学部かぁ、そうだなあ、文学部とか楽しそう?」
「あぅ、お父さん、夢見る少女爆誕ですよ? 鳳凰行ってて文学部なんて、お姉ちゃんせめて英文科とかにしない?」
首を傾げるお姉ちゃんだけど、お姉ちゃんの中の文学部ってきっと一日好きな本を読めるとか考えていそうで怖い。そんな訳ないからね!
「そうだなあ、ただ学校によっては文学部に英文学科があったりするが、小春は文学部で何を学びたい?」
お父さんの質問に、お姉ちゃんはまた首を傾げます。ただ、私も驚いていたりします。
「英文学科とかは文学部なの?」
「国際関係の学部を持つ所はそっちの場合もありそうだが、そもそも文を学ぶ学部だからな。英語も入るんだろう」
成程な説明でした。そっか、英文学科は文学部だったんだ。ただ、今の反応からすると、お姉ちゃんも私と同様の知識ぐらいしかもっていなさそうです。
「地理とか歴史とかあんまり興味ないんだよね。だからと言って古典とかは論外だし」
「高校に入ったら進路希望を提出するみたいよ? 前にPTAでそんな話をしていたわ」
「自営業をしている訳ではないから好きに進んでいいんだが、小春は特にのんびりしているからな。少し真剣に将来の事を考えて見なさい」
「は~い、せっかく夏期講習とかまでやってるし、もしかすると外部受験する事もあるかもだから考えてみる」
ちなみにこの後の会話で、なぜか私は英会話教室へ行くことが決まっちゃいました。
私も同学年と比較するのも何なんですが、成績は学年上位なのです。ただ、新たな言語を覚えるとなると少々面倒というか、そこだけ成績が今一つなんですよね。
「ところでお父さん、娘は嫁にやらんとか無かったのです?」
何となくのお約束だと思っていたのですが、所々で結構具体的なアドバイスはあったのですがお姉ちゃんの爆弾発言には特に反応が無かったです。
「ああいう事を言うという事は、今の所は誰か具体的な対象は居なさそうだったからなあ」
「成程、ところでお父さんは武術とか何か習ってます?」
「いや、特にはやってないぞ?」
そう言って笑うお父さんの腕の太さを見るのですが、数年前から比べると倍近く太くなっているのは気のせいでしょうか? まあ体を鍛えるのは悪い事ではないですよね。
「ひより、脱線してて何にも解決策とか対策を話してない気がするんだけど、気のせいかな?」
お姉ちゃんからのまさかの指摘ですが、言われてみると確かに何にも決まっていません。
「良く考えてもこれと言った策が有るわけじゃないのです。そもそも、我が家だけで考えれば結構しっかりした防御は出来ているのです」
お姉ちゃんの結界だってそうですし、お父さん達も同じ物を持っています。
「お姉ちゃんは自己治癒も出来るので、防御さえしっかり発動出来れば結構無敵だったりしますよ?」
最初で多少ドジっても、自分で治せちゃいますから。問題があるとすれば防御結界が発動する前に意識を失ったりしないかくらいです。
「そっか、治癒あるとそうなるよね」
「お姉ちゃんが武術を学んで強くなるイメージが湧かないので、魔法系統で何か反撃手段を模索する方が良いのです」
「いいわねぇ、お母さんも魔法が使いたかったわ」
「お父さんもそうだな」
お父さんもお母さんも結局の所魔法を身に着けることが出来なかったんですよね。恐らくですけど体の成長が止まってしまったら厳しいのかもしれないです。
「文明の利器に頼りましょう」
この世界にあるスタンガンとか催涙スプレーとかは結構優秀だと思います。もっとも、相手に奪われなければですが。父さん達も結界はあるので、あとはどうやって時間稼ぎをするかなんですよね。
「無関係な人が巻き込まれることを覚悟しないといけないのが厳しいけど、そこは割り切るしかないからな」
お父さんがお姉ちゃんを見て言います。
私が一番お姉ちゃんに言い辛い事なので、それを判っていて言ってくれたんだと思います。
「うん、一応は頭ではわかってる。でも咄嗟にどうするかまでは判んない」
「お姉ちゃんだもんね」
私の言葉に無言で頷くけど、こういう所は本当に聖女向きなんだろうな。
「でもね、お姉ちゃんに何かあったらたぶん世界が大変になるからね。そこの所もきちんと理解してね?」
「え? なんで世界が出てくるの?」
不思議そうな顔で私を見るけど、やっぱり理解してなかったね。
「たぶんね、私が暴走するから」
「えええ! 何それ!」
「お姉ちゃんに怪我をさせたり、被害を負わせた組織を皆殺しにしかねないから。あと、私たぶんその際に誰かが巻き込まれても気にしないと思う。だから絶対に自分を優先してね?」
思いっきり目のハイライトを消したような表情で、薄らと口元に笑みを浮かべながらお姉ちゃんに告げると、引き攣った顔でコクコクと頷いてくれました。
これくらい脅しておけば大丈夫と言い切れない所がお姉ちゃんなんだけどねぇ
暖かい感想ありがとうございます><
まずは更新優先で頑張っていきます。
何とか土日以外の連続更新を! フラグじゃないよ?たぶん(ぇ