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7:ビー玉の代わりが出来ました

誤字報告ありがとうございます。

すっごい助かっています><

ただ、誤字多すぎですね・・・・・・注意しないと。

 お姉ちゃんに魔導回路がある事が発覚して早くも3年が過ぎた。

 今年からお姉ちゃんは6年生、私は3年生になる。お姉ちゃんの魔導回路は順調にとは言えないまでも、ゆっくりと成長している。そのおかげで先日遂にビー玉への浄化付与が成功した。ちなみに、昨年浄化自体は出来るようになっている。


「お姉ちゃんは今日も遅いの?」


 当初は地元の中学校へ行く予定をしていたお姉ちゃん。ただ5年生の時に小学校のクラス崩壊が発生した。一部の生徒が騒いで授業にならない、授業が進まないトラブルでPTAでも度々問題になった。そして、学校の勉強の遅れを懸念したお母さんはお姉ちゃんに塾通いを指示。またクラス崩壊の中心となっている子達と同じ中学へ進学する事を心配した両親は、私立の中学へと進路を変更しちゃいました。


「そうね、今年から塾は8時までだから戻ってくるのは8時半くらいかしら」


 今日から学年が上がったので、塾の時間帯も変わったみたい。その為、帰りが今までより更に遅くなる。お姉ちゃんも大変だ。


「帰ってから学校の宿題もするんでしょ? 大変だね」


 学校は授業の遅れを宿題を出す事で補おうとしているみたい。その為、お姉ちゃんは毎日のように宿題がある。もっとも、成績の良いお姉ちゃんは一時間くらいで終わらせちゃうけど。


「受験まであと一年だから、あの子も結構乗り気みたいだし頑張って欲しいわ」


 お母さんはそう言って笑っている。もっとも、お姉ちゃんの第一志望である鳳凰学院はお金持ちの人が行く学校で特待生にでもならないと駄目って言われてお姉ちゃんは奮起している。あのお姉ちゃんだから特待生で合格しちゃいそうなんだけどなあ。


「鳳凰学院にお姉ちゃんが受かったらお父さんもお母さんも大変そう」


「あら、そうね、お金持ちの人ばっかりの学校でしょ? 父兄会なんかあってもお母さん絶対に行かないわ、お父さんに行ってもらう」


 握りこぶしを握ってそう主張するお母さん。うん、何となく判らないでもないけど結構残念臭がするね。


「そう言えば小春もビー玉作れるようになったのよね?」


「うん、最近は一緒に作ってるよ」


「羨ましいわ、何で子供二人が魔法を使えて、肝心のお母さんには魔法の素養が無いのかしら」


 この3年、何度も聞いたお母さんのぼやきです。あれ以降も何度か調べているんですけど、やっぱり大人だからかお父さんにもお母さんにも魔導回路は発生しませんでした。


「学校の周りにもビー玉埋めてるんだけど、あんまり効果が無いんだよね。広いのもあるんだけど、それ以外にも何か原因がありそうなんだよね」


 私も小学校に行くようになって、悪意の濃さに思わず驚いてしまいました。家の周辺や幼稚園と比べると倍くらいの濃度です。特に高学年のクラスや職員室何かはちょっと行きたくないなって思うくらいで更に吃驚。慌ててお姉ちゃんのクラスを中心に浄化しましたよ。あんな中にいればクラス崩壊だって起きても全然可笑しくないです。お姉ちゃんが自分でビー玉を作れるようになっていたから環境が悪化していた事に逆に気が付かなかったです。


「ひよりの話を聞いてお母さんも驚いたわ。PTAで何度も学校に呼ばれたけど全然分かんなかったわ」


「でも、今は一応収まってるみたいだし、濃度も緩和されたから一安心だよ。お姉ちゃんも定期的に教室で浄化の魔法を使ってるみたいだし」


 お母さんは未だに小学校のクラス崩壊がショックみたい。お姉ちゃんは仲の良い友達にビー玉のお守りを配っていた。そのおかげでお姉ちゃん達はクラス崩壊に関与していなかったんだけど、そのせいで逆にターゲットにされかけたみたい。主犯の子の親が結構やっかいだったみたいで、お母さんを含め結構振り回されたって言ってた。


「ひよりはそう言うけど、女の子だからどうしてもね」


「うん、お姉ちゃんってどこか心配だもんね」


 お母さんの言いたいことも判らないではない。私はともかくとして、お姉ちゃんはどこか無防備な所がある。あんまり悪意に晒された事がないからかな?


「小春もだけど、ひよりもねえ」


「え? わたしはしっかりしてるよ? お姉ちゃんと違うよ?」


 心外な評価に思わず私は否定するけど、お母さんは私を見ながら溜息を吐いた。


「あなたは何かしでかしそうで」


「ふえ? 何もしないよ! ひよりは良い子だよ!」


 何か有り得ない評価が落ちて来たよ! そんな私にお母さんは更に溜息を吐いたよ、すっごく失礼だと思う。



 その後、お姉ちゃんは順調に成績を伸ばしている。でも、受験のせいで魔法の練習が出来ないのが本人的には辛いみたい。それでも鳳凰学院へは行きたいしと結構ジレンマに苛まれているっぽい。


「おおお、そっか、こんな感じかな? うんうん」


 そんなお姉ちゃんを余所に、私はこの世界で得た知識を何かに生かせないかと試行錯誤の日々を送ってる。で、今回作成したのはビー玉に代わる素材の生成!


「でも、まさかダイヤモンドが炭素の塊なんて思わなかったなぁ」


 元素記号ってすっごく為になる。酸素の濃度を変化させるだけで生き物が気絶したり、死んだりするなんて考えた事がなかったし、そもそも空気の成分なんて考えた事もなかったよ。何と言っても重視されたのはマナ濃度だったし、あとは魔石かな? ガラスや宝石に付与するくらいなら魔石に付与するからね。


「という事で、ダイヤモンド作っちゃいました。でもちっさいね、初めて作った時よりは大きいけど、もう少し大きくしたいからまだまだ研究しないと。炭はあんなに大きかったのにダイヤモンドにする為に加工するとこんなに小さくなっちゃうんだよね」


 そう言って直径3ミリくらいの真ん丸なダイヤモンドをお母さんに見せようと顔を上げると、お母さんは口をぽか~んと開けてダイヤモンドを見てますね。


「お母さんどうしたの?」


 お母さんに炭が欲しいとおねだりして、以前キャンプで使用した時に購入した炭をくれたんだけど火遊びするんじゃないかと私をずっと監視していたお母さん。そんなお母さんは私が炭をダイヤモンドにするのを目の前で見ていたんだよね。でも、さっきからずっと無言だったの。


「えっとね、炭とダイヤモンドは組成自体は一緒? なんだって。あと人造ダイヤっていうのもあって、高温で圧力掛けたり、気化させて蒸着っていうのするとダイヤになるってあったから」


 人造ダイヤの作り方を見ても実際は良く判らなかった。ただ、組成が一緒と言うのならとにかく魔力でなんとかしてみましょうと始めたのが人造ダイヤ作り。前に買って貰った知恵の輪みたいで、前世の知識や経験も踏まえてここ数か月は炭を捏ね捏ねしていた。そして先日なんとかダイヤモンドが出来たのだけど、サイズがほんとに小さくって、今はそれをどうやったら大きく出来るか挑戦中だったりする。


「ひより、これって本当にダイヤモンドなの?」


「うん、でもテレビで見たみたいな形には出来ないから真ん丸だけどね」


 そうなんだよね、あのブリリアンカット? とか凄い綺麗だとは思うのだけど、再現しろと言われても私には難しい。前世も含めて私はそこまで器用じゃない。


「真ん丸のダイヤモンド・・・・・・?」


 お母さんは手のひらに乗せてダイヤモンドを見ているけど、どうもダイヤモンドには見えないみたい。うん、わたしもビー玉の小さな奴にしか見えないです。やっぱり宝石って形が大事なんだと痛感しました。


「ビー玉よりすっごく魔力が込められるから使い道は多いよ。緊急時の治癒や防御とかにも使えるし、ビー玉だと流石に厳しかったからこれで一安心だね」


 お姉ちゃんが浄化を使える様になっても決して安心は出来ないよね。お父さんやお母さんもだけど、どこで怪我をするか判んないし、この世界には魔物が居ないとはいえ交通事故、天災、人災などは普通に存在する。テレビで見るニュースなんかでも、無差別での殺人何かもある。備えておくに越したことは無いよね。


「ひより、ダイヤモンド何か作っちゃって大丈夫なの? ほら、狙われちゃったりしない?」


「大丈夫だと思う。これを見てダイヤモンドって判る人はいないと思う。う~ん、たぶん?」


 はっきり言って自信は無い。真ん丸な為にそもそもダイヤモンドだとは思わないと思うし、ガラスより強度はあるけどそれでダイヤモンドだって言える人はある意味すごい。それに、浄化もそうだけど、最後は塵になっちゃうしね。


「そうね、お母さんもダイヤモンドと言われてもそう見えないわ。ひよりが言うからそうなんだろうけど」


 ビー玉と比べながら光に透かしてみたりしているけど、お母さんにはダイヤモンドかどうかは判らないみたい。私だって見ただけでは判らないから仕方が無いと思う。


「真ん丸ダイヤモンドに需要は無いと思うのです。欲しがる人が居なければいくらダイヤモンドでも価値は無いのと、ダイヤモンドはやっぱりブリリアンカットだから価値があるのだと思うのです」


 見た目はやっぱり大事だと思うのですよね。見た目が悪ければ欲しがる人は激減、世の中やっぱり見た目なのでしょうか? 悲しい現実をこんな所で再確認をしたのです。前世の私だって弟子はいたけど結婚は・・・・・・やめましょう、何か心が闇に捕らわれてしまいそうです。

 ハイライトの消えた眼差しで真ん丸ダイヤモンドを見てしまいますが、今は見た目より性能なのです。

 新しく出来たダイヤモンドに治癒魔法を付与します。浄化と違い起動するのに魔法が必要ですが、今のお姉ちゃんなら問題はありません。


「ビー玉の代わりが出来たのでこれから色々出来るのがうれしい」


 少しずつではあるけど体の成長と共に私の魔導回路も成長している。世界が違うせいなのか、前世より成長は遅いのが気になる所ではあるけど扱える魔法の数も増えてきている。流石に人前で使用できない為、練習すら儘ならないけど経験自体は前世で嫌という程積んでいる為心配はしていない。


「お母さん、このダイヤモンドって接着剤でつく? 穴は空けれないから何かに張り付けるのが良いと思う」


「ガラスとか金属用の接着剤で付くんじゃないかしら? 確か小さなダイヤモンド何かは接着剤で付けてるって聞いたから。今度ホームセンターで見て来るわ」


「うん、あと取り付ける物も欲しい! お父さんだとネクタイピン? お母さんだと何だろ? お姉ちゃんはキーホルダーとかで良さそうだし」


 この後、お母さんとネットで真ん丸ダイヤモンドを取り付けるアクセサリーを物色した。結構ワイワイしてたらあっという間に時間が過ぎて、お母さんは慌てて夕飯の買い物に飛んでいきました。

 でも驚いたのは自作アクセサリー用の様々な商品があった事。完成品の写真なんかにはすっごく綺麗な物とか、すっごく可愛いのとかがあって何時まで見ていても飽きないの。


「ダイヤモンドに色を付けたいなぁ、ただの透明なんかより綺麗だし可愛いよね」


 ビー玉なんかと違いアクセサリー用のガラス細工? は色んな色合いがあって想像力を刺激します。その為、ただ透明で真ん丸なダイヤモンドはすっごく味気ない気がしてきて、やっぱり色を付けたくなる。


「どうやって色を付けてるのかな? 同じようにすれば色が付くかな?」


 同じ様に出来るかは判らないけどネットでガラスの着色方法を検索し、調べてみる事にしました。


「ほわぁ、ガラスに色を付ける為の塗料があるんだ。みんなで一緒に好きな色に塗るのも楽しそう」


 ただ、色を付けて遊ぶにはまだダイヤモンドの大きさが小さいですね。もっと大きなダイヤモンドを作れるように練習あるのみですね。

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― 新着の感想 ―
[一言] ピンクダイヤは作れないのかな?
[一言] ダイヤモンド、お守り袋に入れていたら良いのじゃないの?
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