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69:佳奈お姉ちゃんの決断!

誤字脱字報告ありがとうございます。

 時間はいつの間にか0時を回っています。

 夕飯の御握りを食べてから既に結構な時間が過ぎているのですから当たり前です。という事で、ここで一旦解散となるのですが、私はお姉ちゃん、佳奈お姉ちゃんと一緒の部屋で寝ることにしました。


 そんな私はお姉ちゃんと同じベットで寝ていますが、少々窮屈でお姉ちゃんにぴったりと引っ付いています。そんな私にお姉ちゃんが声を掛けてきました。


「ひより、今日はありがとうね」


「お爺ちゃんが終わらせちゃいましたから、私は何もしてませんよ?」


「それでも、ひよりが来てくれなかったらと思うと」


 そう言って体を固くするお姉ちゃんに、私は抱きつきます。


「大丈夫ですよ。明日は早いのですよね、もう寝ましょうね」


「うん、おやすみなさい」


 そう言ってお姉ちゃんは私をぬいぐるみの様に抱きしめます。


「あ~~~、あのね、わたしもいるの忘れないでね? 何か此処にいていいのか悩むから」


 お隣のベッドで佳奈お姉ちゃんがこっちを見て声を掛けます。


「そもそも、なぜ佳奈お姉ちゃんが此処にいるのでしょうか?」


「酷! 私だって怖かったんだからね! あと、何か訳の分からない話してるし、私このまま話を聞いてていいのか、今でもあの話を聞いて良かったのかも含めてメッチャ怖いんだよ!」


 そういえば佳奈お姉ちゃんはなぜあの場に普通に居たのでしょうか? 関係者かと言われれば、もろ一般人ですよね?


「佳奈お姉ちゃんは何であの場にいたの?」


「え? 今更なの!」


「そういえばそうね。何かぜんぜん気にしてなかったけど」


 うん、まあ昔からお守りとか色々と我が家のというかお姉ちゃんのグレーゾーンを知っているので今更と言う気はするんだよね。でも関係者かと言われれば、思いっきり一般人だと思う。


「佳奈お姉ちゃんって実は不思議な力を持ってたりする?」


「し・ま・せ・ん!」


「だよね~」


「思考は普通じゃないと思うけどね」


 お姉ちゃんが結構辛辣です。ただ、そこら辺を普通は気にするお爺ちゃんがスルーしたしどうなんだろう?


「佳奈お姉ちゃん、もし魔女になれるとしたら成りたい?」


 魔女じゃなくて魔女っ娘かもしれないけどと心の中で思いながらも佳奈お姉ちゃんに聞いてみる。

 ここまで巻き込まれちゃったら自衛手段とか後ろ盾とか有る方が良いよね? 


「え? 魔女ってどんな? もしかして魔法とか使えるようになるの?」


 隣のベットで佳奈お姉ちゃんが身を起こす気配がします。でも私はお姉ちゃんに引っ付いているので見えません。


「どうなのかな? ひよりが言うには相性とか適性とかあるらしいから、でも佳奈が知ってるように私も浄化とか出来るから、何かは出来るようになるのかも?」


 そもそも魔女さん達がどうやって能力を身に着けているのか知らないのではっきりとは言えません。でも可能性は0ではないと思います。


「そっか、魔法かぁ、憧れないと言えば嘘になるけど・・・・・・」


 何か真剣に悩んでいる佳奈お姉ちゃん。確かに魔女になれたとして安全とは限らないですもんね。


「今日は寝ましょう。明日は6時半には起きないとだよ」


「う、判った。おやすみなさい」


「おやすみなさい」


「おやすみ~」


 そう言って私は目を閉じて、あっさりと眠りの世界へと旅立ちました。


 翌朝、顔を洗って1階のレストランでバイキング! 何と言っても昨日の夜は御握りです。ここは食べないとと意気込んで向かったんですが。


「あぅ・・・何か想像してたのと違うのです」


 確かにバイキングなんですが、おかずがソーセージとスクランブルエッグ、ゆで卵と納豆。


「納豆はおかずなのでしょうか?」


「ひよりは何を馬鹿な事を言ってるの? そもそもビジネスホテルで何を期待しているの?」


「だね、駄目だよ、変な期待しちゃ」


 お姉ちゃん達は前にも泊っているから知ってたみたいです。でも、バイキングって聞くともっといっぱいのおかずから選ぶみたいな気がしませんか?


「うう、仕方がないのでソーセージとスクランブルエッグをいっぱいとる」


 ただ飲み物にオレンジジュースがあったので、それは嬉しかったです。


「おはよ~~~」


「あ、先輩おはようございます」


 お姉ちゃんが食堂に先輩が来るたびに立ち上がって挨拶をします。運動部以外でもこうなのかって感慨深くその様子を見ているのですが、皆さん私に気が付くと首を傾げます。


「あれ? その子は誰?」


「あ、うちの妹なんです。たまたま祖父とこっちに来ていて」


 昨日打合せをした内容で説明をしますが、みんな若干不思議そうな顔をします。


「そのお爺ちゃんは? 一緒に帰るの?」


 先輩がそう尋ねるのですが、お爺ちゃんがまさかの裏切り行為を行ったとは言い辛いのかお姉ちゃんが躊躇します。


「あのね、私を見捨ててあそこの朝ご飯を食べに行った!」


 私が指差す先には帝都でも有名なホテルがありました。


「そ、そうなんだ」


 毎回聞かれる度にそう答えているけど、みんな顔を引き攣らせる。お爺ちゃんのイメージダウンダウンなのです。可愛い孫たちを見捨てて自分だけ美味しいご飯を食べる祖父、なんと悪魔の様ですね!


 その後出発の時間になって、お爺ちゃんも合流しましたが周りからは微妙な視線がズバズバです。

 ぬふふ、計画通りなのです。


 で、こっから電車に乗って家に帰るのですが、帝都はすっごい人の波です。


「出勤時間をずらしててこれだからねぇ」


 人混みに揉まれながら帝都駅に到着、こっからスーパートレインに乗って奈古屋へと向かいますが、帝都発の為に自由席です。どやどやと自由席に集団で移動して席を確保します。で、前の席をぐるんと回転させて向かい席にするんですが、進行方向と逆向きは酔うと聞いたことがあります。


 座るのはやめましょう。

 そんな中、またもや裏切り者の存在が発覚したのです。


「むぅぅ」


 裏切り者はほ、ほ、ほ、と私達の場所を確認すると、そのままグリーン車へと移動して行ったのです。


「まあお年寄りだから勘弁してあげようよ」


 お姉ちゃんは寛大なのです。ただ、それだったら車で帰れば良かったのではと思うのです。


「小春ちゃんの妹さんとはあんまり話が出来ていないからお話したいなぁ」


 桜花さんが私の前の席に座って思いっきり私をロックオンしています。


「えっと、伊藤ひよりです。宜しくお願いします?」


「何でそこで疑問形なのかだけど、ルビーの姉弟子の桜花だよ。ひよりちゃんには関係ないかもしれないけど、魔女の花園っていうサークルをしてるの」


 サークル? と首を傾げていたら佳奈お姉ちゃんがすごい勢いで説明してくれました。


「まあ長く続いているサークルだから」


 そう言って笑う桜花さんだけど、ルビーさんとは格が違うね。

 体内の魔力もしっかりしている。


「そういえば魔女さん達の魔法は素質とかに左右されるの?」


 私の突然の質問に、桜花さんもルビーさんも首を傾げる。

 前置きも無いし突然何を言ってるんだろうって所と、周囲を気にしての事かな。


「一応、もう結界を2重に展開しているから安全だと思うよ」


 そうなのです。何が起こるか判らないし、スーパートレインの中では逃げ道も限られるので席ごとに簡易の結界を張ってあります。中央の通路を除外するのが面倒だったけどね。


「あ、言われて判った。ぜんぜん気が付かなかった」


「私も判りませんでした」


 桜花さんとルビーさんが揃って驚いた顔をする。


「すごいね、隣の声も聞こえるし、でも私達の声は聞こえて無いんだよね?」


「聞こえているけど気にならないと言うのが正確です。でも録音とかは気をつけないとなのです」


 そういう意味では最大の敵は電子機器? 


「昨日みたいなことがあったから、早めに結界を張っておきました」


「そうね、油断できないわね」


 もっとも私の探知能力と、お爺ちゃんもいるから平気だとは思うんだけどね。

 昨日もお爺ちゃんがあの衣装に着替える事に拘らなければもっと早く対処できたのは内緒なのです。


「えっと私達魔女になるのに必要な事だっけ?」


「若干違いますけど大体あってます?」


 私の返事を聞いて、何かしらの意味が有るのかを考えていたのか桜花さんはじっと私の顔を見ます。


「ひよりちゃんは魔女になりたいの?」


「え? ひよりそうなの!」


 お姉ちゃんが慌てて私を見ますが、私は首を横に振って佳奈おねえちゃんを指さしました。


「佳奈お姉ちゃんが魔女になれるなら成りたいって」


「え? 佳奈、マジ?」


 うん、お姉ちゃんその聞き方はちょっとあれだと思う。

 ただ、佳奈お姉ちゃんは此処で漸く昨日の夜の遣り取りを思い出したのか、最初は口をぽか~んと開けてたのに、今は顔を真っ赤にしています。


「え? そ、それは雰囲気で言ったというか、成りたくない訳では無くって、えっと」


 思いっきり動揺して何を言ってるか判らなくなっている佳奈お姉ちゃん。でもその向かい側の席には、まるでお肉を眼前に吊るされた肉食獣のような眼差しで見つめるルビーさんがいたりするんだよね。


「姉弟子! ぜひ採用しましょう! ひよりさん達とも仲が良い点もプラスですし、あと私の後継でぜひ!」


 うん、すごい鼻息です。桜花さんの肩を掴んでブンブン揺さぶっていますが、桜花さんは今までとは違った眼差しで佳奈お姉ちゃんを見ています。


「魔女自体はその人に合った方向に延ばすから、基本は私達がこれと見込んだ子をスカウトするんだけどね。佳奈さんは14歳だったよね、う~ん、どうかなあ、私達も弟子が欲しいのは山々なんだけど子供でないと成長値がね」


 成程、我が家でもお姉ちゃんは魔法を身につけていますが、お母さん達は駄目でした。こういう所は前世と大きく違う所ですね。前世は何と言っても魔力量で決まりましたから。


「え、あの、やっぱり無理ですか?」


 当初は魔女になるか悩んでいた佳奈お姉ちゃんだけど、無理かもとなると逆にすっごく魔女になりたくなったみたいだ。成程、さすがは長きにわたって幼女達を勧誘してきたテクニックですね。


「無理かどうかは判らないけど、どう? 頑張ってみる?」


「あ、はい! 頑張ります!」


「チョロイ」


「え?」


「ん? 何でもないよ~、そしたら連絡先教えて、師匠に繋ぎをとるから」


 という事で、佳奈お姉ちゃんは魔女っ娘になるようです。


「ひより、佳奈の事だけど、いいの? 本当に大丈夫?」


 先程の遣り取りを見ていて心配になったお姉ちゃんが私に尋ねてきます。


「どこまで信用出来るかと言うと微妙な所です。でも、まあ大丈夫だと思うのです」


「なんで?」


「桜花さんの事はあまり知らないです。でもルビーさん達の事はある程度把握できていますよ」


「・・・・・・で?」


「お人好しのドジっ子ばかりです。魔女になるのに必要なのはドジっ子属性だったらと心配したくらいです」


 私の言葉にルビーさんが唖然とした表情で此方を見ていますが、桜花さんはその横で爆笑しています。


「何となく判ったけど、ある意味安心できないかも」


 お姉ちゃんが微妙な眼差しをルビーさんへと向けていました。

小 春:「なんかサブタイトルがすっごく重い決断をしたように見えるんだけど」

ひより:「え? でも佳奈お姉ちゃんは思いっきり重い決断をしたのですよ?」

小 春:「そうなの? やっぱり魔女って大変なの?」

ひより:「うん、多分佳奈お姉ちゃんは後で絶叫すると思うよ?」

小 春:「やっぱりそこまで厳しいのか、魔女って大変なんだね」

ひより:「うん、だって高校生になってあのヒラヒラ衣装を着る事が決定したんだもん」

小 春:「・・・・・・」

ひより:「お姉ちゃん? 何かすっごい悪い顔してるよ?」

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