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59:魔女っ娘の待遇改善と本来の敵?

誤字脱字報告ありがとうございます。

 お爺ちゃんを含めた第一回魔女っ娘待遇改善会議は思いっきり紛糾したのです。


 そもそもの話、お爺ちゃんが言うジャンルの違いというのは市場の違いと言っても良いのかもしれないのです。お爺ちゃん達は政府の依頼で悪霊や呪いなどと言った人の生活において直接害をなす物を退治します。この御蔭で被害を受けていた相手や政府から収入を得る事が出来ます。

 これに対して魔女っ娘達は簡単に言えば自分達のテリトリー争いをしているのです。ただ、その過程において魔女さん達が言う瘴気の駆除や、悪意に捕らわれた人を正常に戻したりといった慈善活動がメインとなるそうです。問題はここでの収入が殆ど発生しないのです。


「でも、魔女さん達にも悪霊退治とか、呪いの治療とかして貰えば良いのではないのですか?」


 当たり前の意見だと思うのですが、ここで問題が発生するのです。


「ひよりちゃんがさっき言ったようにじゃ、修行もしていない素人が悪霊退治や呪い返しなど出来る訳がないのう。それこそあっさりと負けて大騒ぎになりそうじゃ」


「ふん、魔女っ娘はそもそも愛を集めたり、周りに幸せを振りまくためにいるのさね。悪霊だなんだと負の存在は管轄外さね」


「魔女っ娘に悪霊退治させるような鬼畜はいないわ。魔女っ娘は愛される存在なんだよ」


 お婆さんもおばさんも思いっきりドヤ顔で言い切りますが、なんかモヤモヤするのです。


「お爺ちゃん、何か愛を集めるとか、愛される存在とかって、魔女というより別の何かな気がするのです?」


「そうじゃのう、魔女と言ってもこの日ノ本では本来の系統から思いっきり変質し本場からは色物呼ばわりされているようじゃからのう」


 成程、まあ冷静に考えれば魔女っ娘という段階ですでに変ですよね。


「うるさいねぇ、そもそも魔女っ娘の時代は修業みたいなものなんだよ。その修行で生き死に何かに関わるような事をさせれるものか」


「そうさね、だいたい魔女ってのは昔から薬草を使って魔法薬を作るのが仕事さね。物語や何やらで間違った認識が広まったがね、魔女が攻撃魔法だって? 笑わせるんじゃないさね」


 うん、何かそもそもの認識に大きな差があるみたいなのです。前世の記憶からすると有り得ない話なのですが、この世界はそもそも魔物がいないのですからそれも有りなのかもですね。


「この子らだって頑張って魔力を上げればいっぱしの魔女になれるわ。魔女の製薬には魔力は欠かせないのよ」


 おばさんが魔女っ娘を見る目には確かに師匠としての愛情があるのです。


「つまり、魔女は貧乏なんですね?」


 端的に言うとそういう事なんだと思います。そもそも、魔女の作る薬って薬事法に思いっきり引っかかりますよね?


 思いっきりお婆さん達に睨まれているんですけど、反論が無いという事は間違いでは無さそうです。


「そもそも、魔女っ娘達を競わせるのも修行さね。ライバルがいるのといないのでは伸びが違うさね」


「そうじゃのう。そもそも儂らとは主とする所が違うからの。もっとも、ひよりちゃんや小春ちゃんはそう言う点では異常じゃがの」


 魔力を鍛える方法というか、認識が遅れているのだと思うのですが、敢えてそれを言う必要は無いので言いませんよ。


「でも、頑張ってるからお小遣いは欲しい」


「そうよね、私だってアルバイトしなくて生活できるならもっと頑張れるわ」


 魔女っ娘さんとグリーンさんが隅っこで二人でコソコソと話をしています。うん、将来的にとか言われても今を生きる為の糧だって必要なんですよね。


「あ~~~、煩いね。判ったよ、ペンダントに集まった魔力を買い取る方向で考えるわよ。それでいいわね!」


「あ、はい! 師匠ありがとう!」


 魔女っ娘さんの所はどうやら師匠さんが妥協したようです。もっとも、金額を今此処で言わない所に何となく思う所はあります。でも、師弟間の愛情はあるっぽいので関知はしませんよ。


じ~~~~~~、じ~~~~~~


 グリーンさんがお婆さんをすっごく真剣に見ています。うん、そりゃあ魔女っ娘さんの所では交渉成立ですもんね。もちろん期待しちゃいますよね。


「まったく、厄介な事さね。判ったよ、お前にはそろそろ調薬を教えても良いと思ってたさね。出来た薬を買い取る方向で構わないね。熟練していけば普通の薬師なんざ目じゃない金額にもなるさね」


「し、師匠! ありがとうございます! 頑張ります!」


 うん、これもまた金額がねぇ、グリーンさんもチョロすぎる気がしますよ? そんなに簡単に魔法薬なんか出来ないと思うのですが、それでも先々を考えれば良いのかな? 良く判らないです。


「ほ、ほ、ほ、これで無事解決じゃな。儂の肩の荷も下りたわい」


「う~んと、お爺ちゃん今回はあまり役に立ってない気がするけど、お爺ちゃんが居たから話が出来たのかもだし、うん、まあいいのかな?」


 私はそう納得しました。これ以上考えても意味が無いですし、良く考えたら私のお勉強はどうなったのでしょう? そもそも、梨花ちゃんの家に辿り着いてすらいませんよ?


「あああ、不味いのです! 梨花ちゃんが待ちくたびれてプンプンしている気がしますよ!」


 携帯を取り出してみると・・・・・・梨花ちゃんからの着信がいっぱいです!


「お爺ちゃん、梨花ちゃんちに急いで送って欲しいのです!」


「ほ、ほ、ほ、なら行くかのう」


 慌ててお店を出て、お爺ちゃんの車に乗り込みます。そして、車の中から梨花ちゃんに電話して、謝罪のオンパレードなのです。むぅ、やっぱり魔女っ娘に関わると碌な事が無いのですね。


 その後、無事梨花ちゃんの家でお勉強です。

 梨花ちゃんは5年生から同じクラスなので気心が知れているのと、梨花ちゃんも中学受験をするのですが塾が違うので比較的気楽に接する事が出来るのです。同じ塾だと成績順でクラスも席も決められちゃうからどうしてもギクシャクするんだよね。友人関係壊れちゃうよねあれは。


「ひよりちゃんは算数が得意で良いよね。梨花は算数がどうしても足引っ張る」


 そう言う梨花ちゃんですが、成績は悪くないんだよね。ただ、時々すっごく簡単な所でポカミスをするのです。計算を解く紙にきちんと書いているのに、いざ解答用紙に書き写すときに間違えたり。


「わかってるんだけど、焦っちゃうんだよねぇ。あと、変に見直すと間違ってるような気がしてきたり」


「あ、その感じは判る! 私もあるよ~」


 そんな事を言いながら、結構スラスラと夏休みの宿題を終わらせていきます。実際の所、夏休みの宿題って量が面倒なだけでそこまで難しい問題は少ないからね。


「ひよりちゃんの塾はどう? 今年に入ってからギスギスとかしてない? うちは何かすっごく雰囲気が悪くなってきてるの。毎週のように試験での席替えあるし、何となく落ち着かないの」


「う~~~ん、先生はうちのクラスは比較的落ち着いてるって言ってるかな? でも下のクラスは結構荒れてるみたい、虐めとかも出てるって。ライバルは塾内だけじゃないから意味がないと思うのに」


「そっかぁ、どこもそんな感じなんだ。何か塾行くのが嫌になって来ちゃったの、玲子や美紀と一緒に入ったんだけどクラス別々になっちゃってからあんまり話さなくなっちゃった」


 そう言えば梨花ちゃんと仲良くなったのは6年生になってからだなあ。それまでは確かに他の子達と一緒にいたと思うから、そういう事なんだと思う。


「中学もバラバラになるかもだし、あと少しの我慢って思うしかないよ」


「そうだよね。ひよりちゃんは第一志望は鳳凰?」


「うん、お姉ちゃんが行ってるから」


 その後も特に手を止めずに宿題を熟しながら、梨花ちゃんと話をしていくのです。でも、梨花ちゃんは何となくうちの塾に替わりたそう? 梨花ちゃんも第一志望は鳳凰らしいし今の塾では一応安全圏って言われているみたいです。


 ただ、私は替わっておいでとは言いませんよ? 大袈裟かもだけれど梨花ちゃんの人生を左右しちゃうかもしれないですから。


 その後、夕方になって梨花ちゃんの家を後にします。


「うぅ、何か疲れたのです。やっぱり一人で勉強している方が気が楽です」


 梨花ちゃんの周囲に薄っすらと取り巻いていた悪意は浄化しておきました。あと、お姉ちゃんが中学受験の時にお参りした神社の合格祈願のお守りと言ってビー玉入りのお守りを渡しておきました。これで少しは改善されるといいなと思います。


「虐めかぁ、何でそんな事をするのかなあ。悪意がこれだけ濃いのが原因なのかな? それとも虐めとかがあるから悪意がこんなに濃くなったのかな?」


 死は比較的身近にあった前世においても虐めはあったのだと思う。ただ、助け合って生きていかなければならない世界は非常に冷酷だった。自分の命を落とす可能性を無闇に上げる愚か者は少ない。それ故に実際に虐めが発生した場合、集団対個人となるし、そうなれば村を出るしか方法は無くなる。


「だからみんな必死に手を繋ぐし、それが出来ない者は自分の存在価値を上げるしかなかったんだ」


 私は後者だった、必死に魔法を学び魔導師となった。その環境が幸いにしてあったからに他ならないけど、あの努力を否定されるつもりは無い。魔導師になるまではそれこそ死に物狂いだったんだ。


「う~ん、そう考えると平和ボケしちゃったのです。だって、また厄介事に巻き込まれるまで気が付かなかったんだもんね」


 朝とは違う明確な悪意を感じる。何時の間にか周囲を囲まれるまで気が付かなかったのは油断もあるだろうけど、それ以上に相手が優秀でもある。


「お爺ちゃん、これは失態ですよ? 一度ならまだしも二度目ですもん」


 不思議な時空、結界魔法の一つだとは思うのですが、一度じっくり研究してみたいものです。


「何か昔を思い出していたせいかな? リミッターが外れている気がするので気をつけてくださいね」


 腰につけていた小さなポシェットから取り出したステッキを手にし、私は戦闘態勢を取るのでした。

魔女っ娘が思いの外長くなっちゃいました。

ひよりちゃんの気持ちはちょっと荒んでいる所に新たな敵?

ただ、忘れてはいけないのです!

ひよりちゃんの前世は・・・・・・研究職の引き籠りだったのです(ぁ

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