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52:魔女・・・子?が現れました

誤字脱字報告ありがとうございます。

 第二次伊藤家お犬様騒動が勃発し、私やお姉ちゃんの善戦虚しく購入は来年になってしまいました。

 私が中学に入学したらという今まで無かった条件が追加され、結構ごねたのですが大蔵省の鉄壁の壁を突破する事は出来なかったのです。


「ううう、無念です」


「ひよりはまだ言ってるの」


 さっさと降伏したお父さんとお姉ちゃんは裏切り者なのです。きっとお母さんはまたしばらくすると私達が忘れると思っているのです。実際、色々な事がありすぎて忘れていたのは事実なので、悔しいですけど言い返せませんよ。


 それはともかく、まずは家の結界強化を行いました。


「八重垣が突破されて、最後は落とし穴でと言うのが悔しいのです。狙った通りと言えば狙った通りなんですよ。でも、ちょっと過信していたのです」


 という事で、まずは八重垣を復活させました。これは結界のベースとなる物がすでにあるので、真ん丸ダイヤを設置すれば復活します。今は無防備な状態なのでまずはこれで凌ぎましょう。


「そもそも今回の失敗は、結界を自由に攻撃する事を許したのが間違いなんだと思うのです」


 改良の方向性を考えた時、どんなに強固にした結界でも危険が無ければ結界破壊に集中する事が出来ます。まずその点をどうするかが問題だと思うのです。


「最後の見た限りだと、ぜんぜん無防備じゃなかったと思うんだけど」


「命の危険が無いのです。であれば敵にとってさほど障害にはならないのです」


「え? でも、命の危険って」


 お姉ちゃんは敵がどんなに悪くても相手の命を奪ってしまう事には躊躇いがあるみたいなのです。ただ、今まではそれで良くても、今後はそうもいかないと思うのです。


「そこで、この子の出番なのです」


 私が手にしたのは、先日庭の手入れをしていた時に薬草さんに混じって生えていた一つの植物です。おそらく、この世界の植物が魔力に感化して変化したものだと思うのですが、見た目からして非常に危険です。


「・・・・・・ひより、何その不気味なの」


「判らないのです。でも、見た感じヤバそうなのです」


 何と言えば良いのでしょうか? 見た感じでは皺皺の人面草? ただ、根っこが足みたいに動くんですよね。薬草畑となっている庭の一角から、テクテク歩いているのを見て思わず二度見しました。


「あまりの醜悪さに思わず焼き殺そうかと思ったのですが、五体投地で懇願して来たので我が家の防衛に寄与するならと許したのですよ」


 皺皺の顔にニタリと笑みらしきもの浮かべる姿は・・・・・・邪悪としか思えないのです。やっぱり焼き払った方が良いのでしょうか? 思わずそんな思いが湧き出てくるのですが、まあ様子見なのです。


「でも防衛に寄与するの? 強そうには思えないんだけど?」


「地面に植えたら増えるかな?」


「それはやめよう」


 お姉ちゃん結構マジな感じです。それにしても防衛ですかと人面草を見ますが、見たら何か警戒はしてくれそうですが駄目なら駄目で良いような気がします。


「結界の五層から八層までの内容も考えるし、あと何かいいアイデアがあれば言って欲しいのですよ」


「う~ん、小説とかなら範囲攻撃とか?」


「範囲攻撃、うん・・・・・・何か考えるね」


 お姉ちゃんも結構過激です。範囲攻撃という事は無差別攻撃という事なのですよ? 多分判っていないと思うのですが、それはそれとして有効そうなので考えましょう。


「あと、我が家の防衛もですが、外で遭遇した時の事も考えないとですよね。何を作りましょうか」


 これからは外で襲われたときの対処も考えないとです。そんな事を考えていると、突然お姉ちゃんが言い出しました。


「あ、あの収納袋が欲しい、あれあると通学が楽になりそう。それにアイテムとか入れておかないとでしょ? 持ち歩くのとかは難しそうだし」


 言いにくそうにしているのは、多分魔女っ娘ステッキセットの事かな? でも、いざという時にブレスレットやアンクレットを装備する時間は無さそうですよね。


「ほむ。良いですけど、あれは常時魔力を使用するのでコストが結構かかるから真ん丸ダイヤをもう少し作ってからでいいですか? あ、あとブレスレットとアンクレットを常時着用は無理ですよね?」


 今お試しで作った収納袋も私の魔力を使わなければ一日最低でも4個の真ん丸ダイヤを使用しています。もう少し何とかしたいのですが、中々上手くいかないんですよね。


「絶対無理、うちの学校ってアクセサリーとかの校則は比較的緩いけど、さすがにあれは目立つよ」


「むぅ、そちらも考えないとですよね。やっぱり変身する事を前提にした何かを考えたいんですが、前に失敗してますし」


「え? 失敗って何やったの?」


「大気中にある悪意を有効利用しようと試してみたんです。そしたら空間から何かが出てこようとしたので断念したのです。空間に大きな目が見えた時は流石に焦ったのですよ? レモン果汁100%が手元にあって本当に助かりました」


「ちょ! なにその魔神召還みたいなの、ひより! 何やってんのよ!」


 何かお姉ちゃんが思いっきり顔を引き攣らせて騒いでいます。でも実験に失敗はつきものなのですよ? それに、あれはきっと魔神というよりは・・・・・・うん、考えない、考えない。


 そんなこんなで7月はあっという間に時間が過ぎて、気が付けば夏休みに突入です。

 私は仕方が無く夏期講習へと通い始めたのです。


「それで、ひよりは授業についていけてる? 今だともう受験問題が主でしょ?」


 お姉ちゃんが心配そうに私の顔を覗き込んできます。


 一応、夏期講習に参加していたお姉ちゃんから色々と教わっていたのですが、実際に行くようになると、事前に聞いていた以上に参加している人達が真剣なので焦りますね。


「数学と理科は問題ないよ。国語も何とかなりそうかな? 問題はやっぱり社会だと思う」


 社会ってなぜか頭に入らないんですよね。


 お姉ちゃんは、興味が無い事にはとことん興味が無い私の事を良く知っています。その為、今回も恐らくそこら辺を気にしてくれているんだと思います。


「まあ社会は配点低いし他でカバーすれば行けそうだけど、勿体ない所で点を落とすと損だよ?」


「何でこんなの覚えないと駄目なの? て思っちゃうのです。国語は将来的に意味があるかもって思うから仕方が無いのです、でも社会はそれこそ使い道少なさそうな?」


「それ言っちゃったら算数は?」


「あれは答えが決まっているから良いのです」


「社会も決まってるよ?」


 そんな事を話しながら駅前にある塾へと歩いています。そこで、お姉ちゃんと私は見ちゃいけない物を見ちゃいました。


「・・・・・・お姉ちゃん、あれって」


「ひより、遠回りするわよ。見つからないようにね」


 私の腕をがっしりと掴んだお姉ちゃんが、周りを歩いている人を壁にして裏道へと向かおうとします。ただ、想定外だったのは壁にした人が立ち止まって私達が隠れようとした対象をマジマジと見てしまった事です。そのせいで、逆にこちらが目立ってしまったようです。


「見つかっちゃったみたいです。でも、あれってお姉ちゃんの学校の人ですか?」


「似てるけど違うからね! コスプレ部のメンバーだって流石に普段からあんな恥ずかしい恰好をしてないから・・・・・・たぶん?」


 段々と自信が無くなったのか、声のトーンが落ちていくお姉ちゃんです。

 

 ただ、そんな馬鹿話をしてはいますが私達は足早に歩いています、でも、駄目ですね逃げきれそうにないかも。


「お姉ちゃん、絶対に振り返らないでね。このままだと追い付かれそうなので、小細工します」


 横道の路地へ入った私は、腰に付けた収納袋から、以前に作成したアイテムを取り出して足元に転がします。


カツン、コロコロコロ、パシャン!


「キャーーーーー」

「うわぁ! 目が、目が!」


 後ろへと転がしたビー玉が、転がる音に続き、思いのほか甲高い音が弾けました。


「え? 何事?」


「大丈夫なのです。路地に入ってからだから、車とかの事故は防げたはずなのです」


 絶対とは言いませんが、悲鳴は聞こえても事故の音はしないので大丈夫でしょう。あれは以前作った目つぶし用の光を発するビー玉さんなのです。あれで目くらましにでもなれば・・・・・・。


「でも、後ろからすっごい匂いがしてくるけど、とにかく路地を早く抜けよ! この匂いが体に付いちゃう」


 お姉ちゃんが凄い勢いで腕を掴んで走り出します。チラッとお姉ちゃんを見ると、うん、息を止めてるね。でも、確かに何かすごい匂いというか、どっかで嗅いだ事のある・・・・・・あ、これドクダミだ。


「お姉ちゃん、これドクダミの匂いだよ。葉っぱ磨り潰して濃厚になった香りよりキツイけど」


「・・・・・・」


 うん、無言ですね。とにかく、お姉ちゃんに腕を引かれて路地を曲がって、塾の裏の道に到達してそのまま裏口から駆け込みます。


「はぁはぁ、やっとまともに息が出来る。ひより、あなた間違えて変な物投げなかった?」


「う~んと、判んない。投げたかもしれないけど、それであの人達を捲けたから結果オーライ?」


 そう思った時もありました。でもね、良く考えたらね、あそこで待ち構えているって事は私達の目的地もバレている訳で、正面入り口からドクダミの香りが漂ってきちゃいました。


「あああ、なぜ塾に拘ったのかしら。こうなったら塾なんて休めばよかったのに」


「お姉ちゃん・・・・・・真面目過ぎたんだよ」


 がっくりと肩を落とすお姉ちゃんを慰めながらドクダミの香りを辿っていくと激オコの般若のような表情をした、それでいて赤、青、緑のそれぞれフリフリを着た20歳は超えてるだろうなって感じの痛いお姉さん3人が仁王立ちしているのが見えました。


「お姉ちゃんの末路かな?」


グワシ!


 思わず零れてしまった言葉に対し、お姉ちゃんはアイアンクローで返事をしてくれるのですが、いつもより手加減が効いてないですよ? 頭が変形しそうなのですが・・・・・・あ、ここにも般若がいたのです。

魔女の登場は、オーソドックスな魔女か、それとも魔女っ娘かを悩んで、悩んで、妥協して真ん中にしました!(ぇ


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― 新着の感想 ―
[一言] 小春姉ちゃんの対人殺傷アレルギーは、さすがに問題だよなぁ。 いくらなんでも、カルトまで絡んできて非殺傷限定なんてやってたら、本当に洒落にならない事態になるぞい。 さすがに、そこは理解してほ…
[一言] ………まさか本当に後継者不足でハタチ過ぎても現役の魔法少女?が現れようとは………ワナワナ(c" ತ,_ತ) 下手に近づくと最大な勧誘攻勢を受けてしまう!なんとか逃げなければ!?(笑) …
[一言] 前門の魔女っ娘般若、後門の魔女っ娘般若
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