46:フラグはしっかり立っていました
誤字脱字報告ありがとうございます。
翌日、お父さんとお母さんは、会社へと出かけていきました。出かけるまで、それはもう今日は外へと出るなとか、宅配であろうとも絶対にドアを開けるなとか、もう細かい点までしつこく注意されました。
「むぅ、少しは信じてくれても良いと思うのです」
姉妹揃っての、あまりの信用の無さに吃驚です。
「お姉ちゃんは仕方が無いとしても、私の事はもう少し信用してくれても良いと思う」
「は? え? ひよりは何を言ってるの?」
口をぽか~んと開けて、お姉ちゃんは私を見ます。
「ん? お姉ちゃんどうしたの?」
「ひよりはお姉ちゃんの事をどう思っているのかな? 頼りになるとか、信頼できるとか、恥ずかしがらなくて良いよ、素直に言ってみて」
なんだろ? 今更なのですが、お姉ちゃんの意図がよく判らないですね。
「お姉ちゃんの事は勿論信頼してるよ、だって家族だもん」
「そうよね! ああ、吃驚したわ」
一転して満面の笑みを浮かべるお姉ちゃんですが、この後の言葉は言った方が良いのか、言わない方がいいのかが悩みどころです。私だって成長しているんです、言わない方が良い事があるって学習しているんです。
「ところで、お姉ちゃんに聞きたい事があるんだよ」
「え? あら、さっそくね。なあに?」
お姉ちゃんが誤魔化されてくれている内に、話題を変えましょう。お姉ちゃんが頼りになるかといえば、結構微妙なのです。
「そもそも何ですけど、ポーションくらいなら数量は限られると思うんだけど、市場に流してはいけないのですか? 先日のようにそれで病気の人が治るなら良いと思うのです」
「え? う~ん、そうよねえ、病気の人が治るんなら良い事よね。何でなんだろう?」
前世ではポーションは当たり前に作られていたし、販売されていました。ポーションだって決して万能では無く、ポーションの研究をする薬師ギルドは常に新しいポーションを模索していたし、そういう点ではこの世界の医療とそんなに違わないと思う。
「問題は、ポーションは万能だって思われる事とかかな? ひよりが何時も言ってるけど、ポーションだって種類があるし、作り手で効果が変わるんでしょ? そしたら、ポーションなら治るって期待してた人が、治らないって知って問題がとかありそう」
う~ん、お姉ちゃんの言う事も一理あるかな。本来ポーションって補助的な面が強いんだよね。治癒士がどこにでもいる訳じゃないし、小さな村や町では薬師が医療の要だったんだよね。ただ、どうしても薬師で対応できない物は治癒士が治療するんだけど、治癒魔法の金額が結構高い。一日で治癒できる人数も限られるし、どこかで篩をかけないとという所は理解できる。そのせいで貧しい人達はっていう点はあるけど、それは医療だけに限らないし。
「この世界でポーションが作れる人が増えれば良いの?」
「う~ん、今ってひよりと私が作れるけど、そもそも薬草が無いと駄目よね? あれに色々混ぜて作ってるんだし。あとはポーションがどういった物か、キチンと理解されないと駄目なのかな?」
「お父さんやお母さんは、未だに浄化も使えないしね。薬草だけの問題じゃなさそうだし」
私は兎も角として、なぜお姉ちゃんが魔法を使えるようになったのかが良く判っていない。
やっぱり、ユーステリア様をお姉ちゃんが信じているから? でも、そうするとお父さん達は信じて無いのかな? うん、良く判んない。
「薬草は、ビー玉の粉で出来たんだよね? ならまず薬草をどうにかすれば良いんじゃない?」
「薬草を粉にしたり、煎じた時に魔力を込めているよ? そうしないと効果は無いよ?」
結局は魔力なんだろうな。ただ、お爺ちゃんや神主さん達でもポーションは作れなかったし、何かが根本的に違うんだと思う。
「う~ん、そもそも魔力って何? て所に行きついちゃうもんね。私だってひよりを見ながらあとは感覚で覚えただけで、そもそも何で浄化や治癒が出来てるか判らないし」
そうなんだよね。ある意味お姉ちゃんは天才なのかもしれない。前世でも適性の有る無しはあったし、適性の無い人はどうやっても駄目だった。特に、治癒系統は切り傷なんかの軽い物は兎も角、本格的な治癒を身につけられる人は少なかったからね。
お姉ちゃんと、治癒やポーション何かの話をしている内に、時間はあっという間にお昼になる。
「カップラーメンでいいよね? ひよりは何が良い?」
「う~~んと、辛くないの!」
「判った、私は辛いのにしよっかな」
お姉ちゃんが台所へとカップラーメンを取りに行く。私はテーブルにあるポットのお湯が十分にあることを確認して、お姉ちゃんが戻ってくるのを待っている。
ピンポーーン
「! ! !」
特に家の周囲からは悪意は感じられなかった。でも、玄関のベルが鳴っているので、宅配か何かかもしれない。でも、特に今日、何かが届くとは聞いていない。
パタパタパタ
お姉ちゃんが台所から慌てて戻って来て、私の所へ来る。
「お姉ちゃん、誰か来ちゃったね」
「どう? 何か感じる?」
「悪意は特に感じないよ。でも、出ない方が良いよね」
「うん、日中は誰も居なくても不自然じゃないし、このままほっとこう」
外に声が聞こえる訳ではないけど、何となく小声でヒソヒソと会話をしてしまうのは何故でしょう?
「外の様子を見たいけど、通話押さないと画面が見れないのが厄介」
「うん、お父さんに頼んで、ずっと見れる防犯カメラ付けてもらう。どんな人か見たいよね」
2階の部屋からこっそり見るのも良いかもだけど、覗いてるのが見られちゃうと困るから見れない。
「後でドアホンのカメラの映像を見ようね」
「うん」
二人で耳を澄ませながら、玄関の人がまだいるかどうかを探るけど良く判んないね。
「ひよりなら、気配とか見れない?」
「家の結界の中には入って来てない事しか判んない」
「一応、メールでお父さんに連絡入れておくね。誰か来たよって」
「うん、お願いします」
それから更に5分くらい待っても、特に玄関のベルは鳴らない。どっか行っちゃったかな?
「2階からこっそり見てこよっか」
「うん、このままだと不安だもんね」
二人でこっそり2階へと上がる。そして、お父さん達の部屋のカーテンの隙間から外を覗いてみた。
「どう? 誰かいる?」
「う~~ん、居ないように見える。玄関の門の所に屈んでたら判んないけど。見てみる?」
お姉ちゃんに勧められるままに、窓の外の様子を見る。
「うん、誰もいないね」
家の周りにも誰もいないし、なんだろ?
「訪問販売とかだったのかな? 宅配にしては、車の音しなかったわよね」
「あ、うん、そういえば宅配の車のドンって音はしなかった」
お姉ちゃんが思いの外しっかりとしている。車の扉の音とか、私はぜんぜん気にしていなかった。
「ドアホンの映像を見てみよう。何か気になるよね」
という事で、ドアホンの映像を再生する。
「・・・・・・知らない人だね」
「うん、見た事無い人だね」
画面に映っている恐らく40代くらいのおばちゃんは、ドアホンを押して、しばらくすると画面の右の方に歩いて行っちゃった。でも、見ている映像に何か違和感を感じる。
「とりあえずお昼食べよっか、カップラーメン出して来たし」
「うん、お腹空いた」
ポットからカップラーメンにお湯を入れて、蓋をしてじっと5分間待ちます。
「お姉ちゃん、この待ってる5分が長く感じるよね」
「うん、お腹が空いてると特にそう思うわね」
じっとカップラーメンを見ているのも変なので、ついつい先程の話に戻ります。
「そういえば、あの人何で手ぶらなんだろう? 近所の人とかなら判るけど、こんな人見た事無いよね」
「あ、うん、そうだね。何しに来たのか判んないね。あとね、気のせいかもしれないけど、あの人どっか変だった」
「どっか変って、何が変なの?」
私の言葉に、お姉ちゃんは首を傾げる。私もはっきりと何がとは言えない為、先程の映像を見た時に感じた違和感が何か考えてみる。でも、これといった違和感の正体が掴めない。
「う~ん、ひよりが気になるんだから、多分ほっとかない方が良いんだと思う。お父さんに連絡するね」
「うん、私もお爺ちゃんに連絡しておく」
携帯を取り出して、お姉ちゃんはお父さんに、私はお爺ちゃんへと電話を掛けるんだけど・・・・・・、何で繋がんないの?
「繋がんないっていうか、アンテナが立ってない! 圏外になってる!」
「あ、ほんとだ! でも、いつもはアンテナいっぱい立ってるよ!」
何かおかしな事が起きている。でも、外と連絡が出来ないと助けも呼べない。
お姉ちゃんは異変を感じて、警備会社の機械にある通報のボタンを押した。
「あ、駄目だわ」
そう言って、今度は携帯で何か作業を始めた。
「ネットが繋がってるか試してみる。ひよりは家の結界を強化して!」
「うん、判った! 八重垣発動!」
警報装置の横にある、真ん丸大ダイヤ(直径20cm)に手を当てて、そこに魔力を注ぐ。
これは、家の周囲を守る結界の要石になってるの。神主さんから教えて貰った神話を基に、緊急時に八重に結界を展開する為の物なのです。何か神さまが奥さんを守るために作った結界の話だったかな? 実際は幾重にもって意味の八重垣っていうらしいけど、文字のせいでか八層の結界になっちゃったけど。
「電波を遮断するってどうやってるのかな? すっごい嫌な感じがするね」
「携帯とかは科学の産物だから周囲を停電にしたり、電波を妨害したりとか方法はいっぱいあるよ。ほら、警備会社の通報ボタン押しても警報なってないでしょ? 多分だけど、電気来てないよ」
そう言って、お姉ちゃんは今度は部屋の電気をパチパチする。確かに部屋の電気が付かないよ。
「居留守する為に電気切ってたのが失敗したね。多分さっきドアホンは鳴ったから、それ以降だね」
「お姉ちゃん、大丈夫? 何か今日はすっごく冴えてるよ」
「・・・・・・ひより? さっき途中になったけど、普段のお姉ちゃんをひよりはどう思っているのかな? 怒らないから言ってごらん?」
お姉ちゃんの、え、笑顔が怖いです。ただ、幸いな事に、これ以上お姉ちゃんから追及されませんでした。何故かと言うと、遠くからパトカーのサイレンが響いて来たからです。
土曜日は更新出来たのですが、今後は土日の更新は諦めます。
両親からあれをしなさい、これをやってと、執筆時間が取れないんです><
出来るだけ頑張りますが、更新出来たら運が良かったと(ぇ
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