表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

41/135

41:お姉ちゃん待っててね、ひよりが助けに行くよ!

誤字脱字報告ありがとうございます。

 小学校からの帰り道、今日はアルバイトも無く急ぐ必要もない平凡な一日になるはずなのに、騒動はやっぱり突然来るのです。


ピシッ!


 何かに罅が入る音が聞こえて、手に嵌めていた腕輪へと視線を向けます。


「むぅ、魔女っ娘ステッキのピンクダイヤさんがご臨終しちゃってます」


 一応の保険として、ピンクダイヤさんの姉妹石を作って私の腕輪に嵌め込んでいたんですよ。どちらかがご臨終すると、もう一方も同じように割れる様にしてあったのです。


「お姉ちゃんに何かありましたね。防御用の真ん丸ダイヤさんはご存命ですね。という事は、お姉ちゃんが魔力を注ぎすぎたのかな?」


 大体の原因は推測出来ますが、あの慎重なお姉ちゃんが魔力を大量に注ぎ込むなんて状況が思いつきません。


「防御がまだ残っている内に駆けつけた方が良さそうです」


 という事で、お姉ちゃんの学校へと向かいましょう。


「あ、丁度良いのです。タクシ~~~」


 空車で走って来るタクシーを呼び止めます。今から歩いて駅まで行って、電車に乗ってお姉ちゃんの学校まで行くなんて面倒なのでお断りなのです。小学生の体力を舐めないで欲しいのですよ。


「鳳凰学院の正門までお願いします~」


「あ~~~、お嬢ちゃんひとりかい?」


「はい、あ、お金はちゃんと持ってるので安心してください。何でしたら、携帯でお母さんに繋いでも良いですよ?」


 流石に小学生でタクシーは違和感があるのでしょうか? 今どきは結構いると思うのですが、ランドセルが駄目なんでしょうか?


 ともかく、タクシーさんは鳳凰学園の正門まで送ってくれました。ちなみに、料金は5千円オーバーでした。一応、領収書を貰っておきましょう。お爺ちゃんはいつも領収書を貰っていましたからね。


 タクシーから降りて、鳳凰学院の正門を見上げます。


「おおお~~、何か凄いですね。どこのお貴族様のお家かと思っちゃいます」


 流石はお金持ちさんが多く通う学校です。でも、ここで一つの問題にぶち当たりました。


「鳳凰学院大学・・・・・・はて? お姉ちゃんが通うのは鳳凰学院中等部ですよね。ここで良いのでしょうか?」


 目の前の並木道を歩く人達を見ても、誰も制服を着用している様子はありませんね。何となく駄目な気がします。


「むぅ、鳳凰学院中等部正門と言わないと不味かった気がします。ちょっと失敗です」


 ただ、お姉ちゃんが前に大学も同じ敷地内だというような話を聞きました。大学のカフェテリアが使えたら良いのにとか言ってました。なんでも、制服だと立ち入り禁止らしいです。


「魔女っ娘ステッキの場所は・・・・・・あ、あっちですね」


 魔女っ娘ステッキに取り付けてある真ん丸ダイヤさん、その内の一個は紛失した場合に探し出す為に埋め込まれています。即ち魔女っ娘ステッキのある方向へと向かえば、自ずとお姉ちゃんへと辿り着けるはずなのです。


「えっと、こっちかな」


 大学の正門から入って、てくてくと歩き出します。


「ふむふむ、鳳凰学院ってこんな感じの場所なのですね。でも、警備はずるずるなのです」


 私が正門を通り抜けても、正門横にある警備室のおじさんに止められることはありません。それどころか、私と目が合ったら手まで振ってくれます。私も同じように手を振りながら、てくてくと学院の中へと入って行きました。


「おお! あれはミセスドーナッツのお店です。なんで学校の中にあるのでしょうか?」


 独特の看板を見つけ、私はふらふらと吸い寄せられていきます。

 店内は大学生っぽい人達でいっぱいですが、今の私はお姉ちゃんを探さないといけないのでお店でのんびりドーナッツを食べている余裕なんかありません。


「おねえさん、これとこれをお持ち帰りでお願いします!」


「はい、あ、手で持ち易い様にしてあげるね」


 お店のお姉さんが、ドーナッツを一個一個包装してくれます。これで手で持っても手が汚れません。


「お姉さんありがとう~」


 私は意気揚々とミセスドーナッツを後にします。


「そういえば、制服では入れないのでしたっけ? うちの小学校は制服無いですけど」


 思わぬ抜け道を見つけてしまった気分です。


 パクパクとドーナッツを食べ始めて、いざ2個目に取り掛かろうとした時、私は大変な物を見つけました。


「ミ、ミシシッピーフライドチキンがある!」


 我が家では、お母さんが油がお腹に重いと言う理由でまず買って貰う事がない、あこがれのミシシッピーフライドチキンです。そのお店がまさか学院の中に堂々と存在するとは思いもしませんでした。


「う、ううう、こんな事ならドーナッツ1個にするんでした」


 もし、ここでミシシッピーフライドチキンにまで手を出したら、絶対に夜ご飯が食べられません。そんな事になったら、原因となった買い食いの罰として最悪お小遣いを減らされちゃうかもしれません。


「こ、今度、今度来るときにはフライドチキンなんだからね!」


 ビシッとミシシッピーフライドチキンへ指さして、私は振り返り、振り返りしながらもお姉ちゃんを目指します。


 そして、学院に入って歩く事20分くらい? もっと掛かってるかな? 若干の疲れを感じながらも、ようやく遠目にお姉ちゃんが居ると思しき建物が見えてきました。


「うう、正門から結構遠いよ。でもあとちょっとだから頑張るけど、喉が渇いた」


 ドーナッツを買った時に、一緒に飲み物も頼めば良かったかも。ただ、そうすると手にドーナッツが持てないと思うので、これまた困った事になります。


「あ、水筒があった」


 背負っていたランドセルを下ろして、横にぶら下げている水筒を袋から取り出してストローで喉を潤します。うん、これで一息つくことができましたね。


「それにしても、あそこは何でしょうか?」


 お姉ちゃんのいる建物の横に併設されている一回り小さな建物。その一角から、明らかに悪意の塊が感じられます。ただ、何か変な感じですが。


「ああ、周りが浄化されてるからかな」


 恐らくお姉ちゃんの仕業だと思うのですが、思いっきり浄化の痕跡が残っています。その残滓とでも言うのでしょうか、継続して周囲を浄化している為、周りがキラキラして見えます。ただ、その悪意の塊にとっては非常に迷惑な事だと思うけどね。


「多分、何かが依り代になってるのかな? まあいいや、聖属性強化、魔力増幅率強化、浄化!」


 ランドセルの横に差していた私専用のステッキを取り出し、魔法強化を行って、改めて悪意の塊へと叩きつけます。浄化は物理防御を透過するから、壁とかは意味を為さないので楽です。


ギャアアアアア!


「あ、依り代は人だった? うん、し~らない、私はし~らない」


 慌てて今いる場所から移動を開始します。今の叫び声を聞いて、建物の向こう側がすっごくザワザワしていますが、さっさと逃げるが勝ちです。お姉ちゃんの所へと向かいましょう。


「あれ? お姉ちゃんが移動してる」


 先程までは遠くて気が付かなかったんだけど、どうやらお姉ちゃんは移動をしているみたいです。はて、どうしたものかと考えていると、視線の先に先程とは比べ物にならないくらい質素な、それでも私の通う小学校と比べると数倍は豪華な門がありました。


「もしかして・・・・・・」


 ぽてぽてと駆け足で門に駆け寄って、外の表札? を見ます。


「鳳凰学院中等部」


 どうやらここが中等部の正門っぽいです。


「ぬう、最初からここに来れば楽だったかも? あ、でもそしたらドーナッツが食べれなかったし、結果オーライ?」


 腕を組んで考え込んでいたら、お姉ちゃんが校舎からこっちへと向かってくるのが見えました。


「うん、やっぱり結果オーライです。ドンピシャなのです」


 流石は私と思わずドヤ顔になるのは致し方ないのですよ。

謎です。ひよりが小春の下に駆けつけるだけで1話が終わってしまいました。

ついでに、何か勝手に問題の浄化までしちゃいました。

でも、謎はそのまま放置ですか?(ぁ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ミシシッピーフライドチキンの店頭には トムソーヤの人形がフライドチキンを掲げて立っているのでしょうか。。。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ