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4:ビー玉の代わりを探しましょう

3話で誤字脱字報告ありがとうございます。

初めての報告だったのですが、すっごい助かりました。

新機能に驚いています。

 その後お姉ちゃんの小学校では、無事に呪い問題? は終息に向かったようです。

 結局の所、体調不良が続く子は神社でお祓いをしてもらったのと、ある意味発生源だった内田君が浄化されていたのが大きいと思う。

 その後においてお姉ちゃんのクラスではちょっとしたオカルトブームが起きているそうで、また何かしでかしそうな不安は無い事は無いのですが、とにかく日常が戻って来たようで安心です。


「お父さんどう~、何かあった~?」


「う~ん、無いな、そう易々と見つかる程甘くないなあ」


 そんな日常において最近我が家で嵌まっているのは、週末の宝石探し?

 私が使っているビー玉ではちょっと力不足な処もあって、家族で話し合った所色んな物でビー玉の代わりにならないかを試してみる事に。そんな中でお父さんが聞きつけてきたのは、この日本でも宝石が採れるって事。その為、この夏休みにお姉ちゃんの自由研究も兼ねて宝石ハンターならぬ川浚いをしているのです。


「この小さくてキラキラしてるのって宝石かな?」


「どうなのかしら?」


 私とお父さん、お姉ちゃんとお母さんでペアになって川の底を笊で掬ってるのです。別に競争している訳じゃなくて、川は何があるか判らないので安全の為ですね。万一に備えて救命胴衣だって身につけてます。


「開放されている所だから、何かしらは採れると思うんだが」


「逆に開放されてるから採れないような?」


 それでも普段はあまり外へ出かける事の無かった我が家としては、みんなで出かけること自体が楽しいので問題ありません。川遊びも兼ねて家族でワイワイ元気に川底を浚ってます。もっとも、我が家だけでなく他の家族、特に子供連れが多いのは我が家と同様に夏休みの自由研究の為かな?


「あ、水晶みたいなのあった!」


「見せて見せて」


 お姉ちゃんが声を上げます。私はすかさずお姉ちゃんの所へ近づいてお姉ちゃんが見つけた水晶を見せてもらいます。


「あ、ほんとだ。お姉ちゃんすごい!」


 笊の中に小指の先くらいの透き通った石が入っていた。もっとも、透き通ったと言っても、透明という訳では無く、白く混濁しているのだけどそれでも普通の石ではない物が入っていれば嬉しい。


 初めて宝石探しをした時と比べ、家族のみんなもある意味余裕がある。どうしても何か見つけないとという意識は無い・・・・・・つもりではあるのだけど、最初の頃はどうしても見つけてやろう! というような意気込みがあった。それも今日で3回目となると、綺麗なのがあると良いなみたいに肩の力が抜けた感じになっている。


「でも、ガソリン代とか考えると採算が合ってない気がする?」


 お昼のお弁当を食べている時、お姉ちゃんが徐にそんな事を言う。それにお父さんとお母さんは笑う。


「別に採算を気にしている訳じゃないわ。今まであんまり家族でお出かけっていうのが無かったからと、最初の宝石探しが楽しかったから続けているのよ。どう? 楽しくなかった?」


「「楽しい!」」


 私とお姉ちゃんは咄嗟にそう返事をした。それこそ、綺麗な石を見つけた時なんか本当にドキドキする。


「それなら良かった。川に入れるのは夏くらいしか無いからね」


「そうね、風邪をひいちゃったら大変だもの」


 確かに夏であっても川の水は冷たかった。気を付けなければ体が冷えて風邪をひくのは間違いないと思う。

 結局、この日も3時まで宝石探しをして、帰りには高速道路のサービスエリアでラーメンを食べて家に帰る。私とお姉ちゃんは夏休みだけど、お父さんは明日からまたお仕事、大人は大変ですね。

 そして、家に帰ると今日取って来た水晶などの宝石に対し、浄化の魔法を込めていく。


「どう? 良さそうなのあった?」


 お姉ちゃんが興味津々で私の作業を眺めている。

 特に何かを必要とするわけでもなく、それこそ魔法陣なんて使わない。ただ石を持ってその石に魔法を込めていく単純な作業。見ていて面白い物では無いと思うのだけど、お姉ちゃんはいつも楽しそうに私の横にいる。


「どれも小さいからビー玉とそんなに変わらないよ? でも、こないだ拾ったターコイズ? あの黄色い透明の石はビー玉2個分くらいの付与は出来た」


「う~ん、それでもビー玉2個なのね」


 お姉ちゃんはちょっぴり残念そう。でも、そうそう望むような結果は得られないと思う。ちなみに、お試しでテレビの通販で販売してた2万円の小さなダイヤモンドのネックレス。人造ダイヤじゃないかってお父さんは言ってたけど、あれにはビー玉50個くらいの付与が出来た。そう考えるとやっぱりダイヤって違うんだね。


「付与が消えると割れたり粉になったりしちゃうから、高価な物に付与できないのが問題」


 私はお姉ちゃんに返事を返しながらも、今日拾ってきた石に浄化の付与をしていく。


「ひより、その付与が切れる前にまた付与したら駄目なの?」


 さっきから何か考え込んでるなって思ったら、どうすれば付与を長持ちさせられるか考えていたみたい。

 そうなんだよね、前の世界でもそこは色々と研究されていたんだよね、でも結局良い解決方法が見つからなかったんだ。


「それは二重付与になっちゃうから、そもそもの素材が耐えられないの。今の付与も素材の耐久を見ながらやってるから、結構大変なんだよ」


 私は、今日持って帰って来た最後の一個に付与をして、それを並べながらお姉ちゃんを見る。


「うわあ、でも何か付与されたら綺麗になるね」


 お姉ちゃんの言葉に私は頷く。ビー玉だと元々透明度が高いから判らなかったんだけど、天然の石は浄化の付与をすると透明度が上がるんだよね。だから付与前よりだんぜん綺麗に見える。


「だいたいビー玉と同じくらいの効果だからお姉ちゃん持って行っていいよ」


「わあ、ありがとう!」


 お姉ちゃんは最近仲の良い友達にこの付与付きの石を配っている。見た目からして綺麗な為、結構評判は良いみたい。夏休みだから学校で遊べる訳では無い為、クラス全員のくれくれ攻撃にあっていないそうなので良いのかな? 数がそんなに無いから他の子には内緒だよと言っているみたいだから大丈夫と信じたい。

 ちなみに、お母さんは最近はその2万円のネックレスを常時着用している。で、お父さんはターコイズとビー玉なのは家庭内のヒエラルキーの問題なのでしょうか? 


「お父さん今度お誕生日にダイヤのネクタイピンとか買って貰えるといいね」


「う~ん、今問題になってないからどうかな? お父さんは他の物を欲しがりそう」


 確かにお父さんもビー玉で十分って思ってそうだね。この黒い靄が見えないと実感も危機感もあんまり湧かないんだろうな。そんな事を私は思うけど、そんな私もビー玉なんだ。いざとなったら私は直接浄化できるしね。


「ところで、ひよりは外の空気も悪いって言ってるけど、それって体に悪いの?」


「うん、良くはないと思う。でも、どちらかと言うと体を壊すとかじゃなくって精神に悪影響なのかな?」


「精神ってどうなるの?」


 お姉ちゃんの言葉に、私は前世の世界で起きていた悪意による精神汚染の例を一つ一つ教えてあげた。もっとも、表現は子供向けにアレンジをしてある、具体的に話すとホラーっぽくなっちゃうから。


「それって、結構怖いね」


「うん、でももう既に影響は出てるよ。自分の子供の虐待や、弱い者への虐めとか、他にも色々と」


 衝動的な殺人とか、キレるなんて言葉で言われてる行動も大なり小なり影響を受けているんだと思う。


「ひよりならなんとかできるの?」


「無理! 世界規模だもん。でも、こないだの神主さんみたいな人達がいっぱいいるなら判んない」


 あの神主さんには吃驚した。

 この世界でもきちんとした浄化を出来る人がいるんだね。でも、それなのに何でこんな風になっちゃったんだろうね。そこが不思議なんだよね。


「小春、ひより、そろそろ寝なさい。夏休みだからってあんまり遅くまで起きて無いの」


「「は~~い」」


 私達は洗面所に行って顔を洗って、トイレに行って、自分の部屋に戻る。

 そこで、私は此れからの事を少し考えた。


「神社だけじゃなくて、森の中なんかはやっぱり悪意が殆どなかった。植物が悪意を吸収して浄化してくれるのはこっちも一緒なのは判ったけど、この後どうすれば良いんだろう」


 我が家の結界もこのままビー玉頼りという訳にはいかないし、神社はどう考えても結界というより神域だよね。だから参考にならないし、ちょっと壁にあたっちゃった感じ。


「魔石がこんなに貴重な物だなんて考えてもみなかった」


 前世ではそれこそ当たり前に手に入った魔石。それがこの世界ではまったく見かけない。当たり前な事、だってこの世界には魔獣がいないのだから。


「そういえば、何でこの世界では魔獣が居ないの?」


 ベットで寝ていた私は、思わず身を起こして考え込む。

 普通の獣なども悪意を溜めれば魔獣化した。それ故に魔獣は溢れており、また歳を経て行くほどに魔獣は悪意を溜めて強く、凶暴になる。毎年のように討伐隊を組織し魔獣狩りが行われるし、それによって多くの兵士達が犠牲になる。もっとも、その犠牲があるからこそ魔獣から取れる魔石も等級を気にしなければ普通に手に入る。

 魔石はある意味あの世界の燃料であるが、当たり前に身近にあるもの。その為、態々人工の魔石を作ろうとは誰も思いも考えもしなかった。そしてその考えは現世においても同じで、ひよりは結局無い物はしかたがないかと考える事を辞めそのまま眠りについた。


 時の経つのは早く、夏休みも終わり冬休みに近づいて来た時の事。

 例のオカルト騒動以降は特に何か問題が発生する事も無く、ある意味平穏無事に過ごしていた。ひよりは日課となっているビー玉への付与をしている。そんな作業を横で見守っていた小春は、粉になってしまったビー玉を見ながらひよりへ尋ねる。


「ひより、この粉ってなんなの? ビー玉だからガラスの粉?」


 普通に考えればガラスの粉となるのだろう。ただ、そもそもが普通の物ではない為、疑問に思ったみたいだった。


「え? う~んと、粉?」


「それは見て判るけど、何の粉?」


「何だろう? ビー玉だとガラスの粉?」


 ビー玉に罅が入るのだから、ガラスの粉で間違いは無いはず。ただ、ガラスも水晶も同じような粉になる。ましてや、見た目からしてガラスの粉のようなキラキラした感じはまったくしない。


「う~ん、よし! お水に溶かしてみよう」


 何を思ったのかお姉ちゃんがコップにお水を入れて来て、粉をその中に入れる。


「あ、溶けちゃった」


「うん、溶けたね」


 二人が見ている目の前で、粉になったビー玉? は水に溶けて見えなくなった。ガラスって水に溶けるのかな?


「今度は粉にお水をかけてみよう」


 お姉ちゃんは何だか楽しくなってきたみたい。うん、わたしも実験は嫌いじゃないよ。


「あ、溶けちゃった。お水ちょっとしか入れてないよ?」


 お姉ちゃんは首を傾げている。


「うん、溶けちゃったね。ドロドロした感じになるかと思ってた」


 水に溶けやすいのか、粉に対して入れた水は決して多いわけではない。それなのに綺麗に溶けてしまっている。


「う~ん、良く判んない。でも、お父さんが飲んだら危ないからお水捨てとこ」


 私がそう提案すると、お姉ちゃんはそれなら庭にお水を撒こうと提案してきたので、私はそれを了承する。しかし、本当に興味深い現象だ、あっちの世界では気にもしなかったのが実に勿体ない。


「ここにお水を撒こっか、お花が綺麗に咲くと良いね」


 家族みんなで育っている花壇にお水を撒いていく。もう9月といえまだまだ日差しは強く、暑い日が続いているので土は乾いている。お庭に出ている私達に気が付いたお母さんについでにお庭の水遣りを頼まれてしまった。


 そして翌日、日課の家の結界を確認する為に私がお庭を見ていると、良く見知った薬草が花壇に生えている事に気が付いた。


「え? 薬草? 何で?」


 この世界では生えているはずの無い薬草、それが何故か我が家の庭に生えている。その事に驚きながら、その生えている場所が昨日粉を溶かした水を撒いた場所である事に私は気が付く。


「もしかして、昨日の水のせいなの?」


 これはもっと研究しなければ、それにこれでポーションが作れる。その事に私は驚喜していた。

お気に入り登録、評価登録していただけた皆さん、拙いお話ですが見に来てくださった方を含めありがとうございます。7話書き溜めて投稿開始して、7話あれば続き各時間はあるよねって余裕してたら全然増えてない・・・・・・まずいです!

と、とにかく少しでも楽しんでいただけるよう頑張ります!

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[気になる点] 誤字報告しました。 「この世界→あの世界」 間違ってたらすいません。
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