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35:何故かお姉ちゃんを巻き込んで

誤字脱字報告ありがとうございます。

 魔女っ娘爆誕事件より時は過ぎて、日常は穏やかに非日常から侵食を受ける今日この頃。

 私は今日も元気に学校へと登校します。


「おはよ~、今日もみんな暗い顔だね~」


 教室へと足を踏み入れると、いつものようにクラスメイト達は自分の席で必死にお勉強をしています。

 カリカリと鉛筆がノートを走る音がそこら中から響き渡ります。


「むぅ、みんな必死だね、中学受験って大変だね」


 私が声を出しても、集中している為か誰も答えてくれません。ちょっと寂しいです。


 この半年で我がクラスは何故か中学受験ブームが到来しました。原因は、どうも地元の中学への進学を躊躇う親御さんが増えてきた為みたいです。その為、学校が終わればすぐに塾へと向かってしまい、かつてのように放課後一緒に遊ぶという事がここ数か月絶えて久しいですね。


「あ、おはよう」


 自分の席に座って、後ろの席にいる玲子ちゃんを振り返ると、さすがに玲子ちゃんは返事を返してくれました。


「大変だね」


「うん、お母さんがどうせなら鳳凰へと進学しろって煩くて、鳳凰に進学だとまだまだ成績が足らないからね。塾はともかく、クラス内であれば3位くらいまでに入らないと難しそう」


「でも、うちのクラスは結構みんな頭いいみたいだよ? 桃花でも塾では上位って言ってたし」


 クラスでは毎回後ろから数えた方が早い桃花、それでも市内の中高一貫お嬢様学校は余裕でA判定らしい。塾に行っていない私には良く判んないけどね。


「ひよりは頭良いもんね。確かお姉さんも鳳凰だよね? やっぱり頭良かった?」


「お姉ちゃん? どうなんだろう、でも塾行ってたし、家でも普通に遅くまで勉強してたよ。私と違って真面目だったもん」


 前世の御蔭もあるけど、私は暗記に滅法強い。魔導士たるもの暗記に弱ければ碌に魔法など使えない。信仰心で如何こう出来るのは神官達だ。前世の記憶術は、脳に直接書き込む様に記憶していく。これこそこの世界でいうチートと言っても過言ではない。そのお陰で私は塾に行ってはいないけど、成績は常に上位である。


「あ、ひよりのお姉さんってさ、日溜りの君だよね? あれ?日溜りの聖女だっけ?」


 突然、横の席から村上君が口を挿んできた。ただ、何だろその中二真っ盛りの綽名は。


「初めて聞いたよ、その日溜り何たらって。お姉ちゃんってそう呼ばれてるの?」


「え? 違うのか? うちの兄ちゃんも鳳凰なんだけどさ、何かそんなこと言ってたぞ。ひよりの事も知っててさ、学校での事聞かれたりするぞ」


「う~~~ん、お姉ちゃんの名前が小春だから、そっから来てるのかな? 日溜りっていう程ほんわかしてる印象ないけどなあ。どっちかって言うと、慌てん坊とか、ドジっ子って感じだよ?」


 うん、いっつもワキャワキャしているイメージが強いかな? でも居ると安心できるっていうか、ホッとする感じは確かに日溜りと言えなくもない?


 私が考え込んでいると、教室のドアが開いて、先生が入ってきたのでおしゃべりは中断されました。


 お昼休みに村上君に詳しく聞くと、お姉ちゃんは学校内で結構隠れファンがいるみたい? 村上君のお兄さんもそうらしいですし、競争率が結構高いとの事。ただ、本人があまり気が付いていないのと、お姉ちゃんの友達達がなぜかガードしているらしい。その理由は、どうもハイソな方達からの虐めがある為みたい。


「お姉ちゃんからそんな話は聞いた事無いけど、そもそもお姉ちゃんが虐められるって状況が思い浮かばないよ?」


 生半可なガードはしてないですし、浄化結界で悪意は浄化されているはず。お姉ちゃん本人も浄化などが出来るし、人の悪意には結構敏感になって来てるんだよね。そろそろ悪意検知なんかも覚えそうなくらい。


「そうなの? ほら、前にテレビに出てたストーカー事件とか、あれってひよりの所だよね? ひよりの周囲にも変な男の人達を良く見かけるし」


「あ、あのTシャツの人達だよね、私も駅前とかで良く見る」


「あ~~~、うん、あの人達は一応無害らしいよ? 偽物はすぐに判るし、排除されてるらしいし」


「意味わかんない」


「だな」


 あのファンクラブ一応は護衛代わりなんだけど、たぶん理解されないだろうなあ。筋肉ムキムキの人がピッチピチのTシャツ着てるしね。あれは普通に不審者だよ。なぜ通報されないのか不思議なくらいです。


 その後も、思わぬお姉ちゃん回りの情報が村上君から入手できたけど、お姉ちゃんから聞いている内容との乖離がひどい。お姉ちゃんの立ち位置、結構やばくない?


「まあ、伊集院て家の子と仲が良かったから守られてた所があるみたいだけどさ、その子が最近来てないらしくて荒れ始めてるって兄ちゃんが言ってた」


 伊集院さんの子って言うとこないだの子だろうな。そっか、まだ解決してないのか。ただ、それでお姉ちゃんに悪い影響が出ているとしたら、それも問題だなあ。


 学校から帰った私は、いつもの様にお姉ちゃんが塾から帰ってくるまでの時間を使ってお爺ちゃんに連絡を入れました。


「お爺ちゃん、こないだの伊集院さんの所の事件ってまだ終わってないの?」


「ん? 何じゃ、ひよりちゃんにしては珍しいの。事件の事が知りたいのかの?」


 私は基本的に自分が係わった事件でも自分の担当する部分が終わったら、その後の事を聞くことは無いのです。聞いても意味がないですし、聞いたからと言って何か出来る事もないですからね。


「うん、伊集院さんの所の子がまだ学校休んでるって、それでお姉ちゃんの学校生活に多少なりとも悪い影響が出てるみたいなんだよね」


 今日聞いた事を、一応お爺さんに説明します。


「ほう、なるほどのう。未熟な者が増えてきておるのかのう、普通であれば小春嬢に手を出すなどありえんだろうにの」


「ほえ? 何で?」


 お爺ちゃんの言葉に、今度は私が首を傾げます。


「ほ、ほ、ほ、幾ら隠しておっても、既にこの界隈では小春嬢の癒しの力は知れ渡っておるわ。あの新興宗教の事件で、あっという間に広まってしまった。もっとも、小春嬢の後ろにひよりちゃんが居る。それ故に余計なちょっかいを掛ける者が居らんだけじゃ」


「え~~っと、意味が判んないですよ、真面目に」


「ひよりちゃんは少々この業界を甘く見ておるの。ひよりちゃんの事も、小春嬢の事も、既にこの業界の主だった者は知っておるよ。もちろん二人の後ろ盾に、儂や榊が居ることもの。この国のみならず、権力者や有力者などこの業界に繋がる者達も勿論知っておる。まあ、それ故に、彼らは伊藤家に手を出さず守るのに協力しておる。なにせ本当に病を治癒できる能力者は非常に貴重じゃ。自分が不治の病に侵された時、最後に縋るかもしれん存在じゃからな」


「とんでもない爆弾情報です。知りたくなかったです」


「ほ、ほ、ほ、あれだけアルバイトと称して暴れとるのじゃ、ばれぬ訳なかろうて」


 が~~~ん、もしかして思いっきり騙されていたのでしょうか? ただ、お爺さん以外にも、教会関係の人とか、他の宗教の人に会ったことがあります。基本お爺さん経由だったので、あんまり気にしたことが無かったですし、前世での依頼なんかも大体こんな感じでした。


「あれ? そしたら何でお姉ちゃんが虐められているの?」


「さて、不思議じゃのう」


 言葉ではそんな事を言いながらも、お爺さんの声には理由を既に把握している感じが漂っています。


「伊集院さんとこの呪い絡み? もしかして、お姉ちゃんが呪い返ししたと思われてる?」


「さてさて、まああと数日で片付くじゃろう。心配なら小春嬢を休ませるがよい」


「むぅ、お姉ちゃんにそんな事言えるわけないよ! う~~~、どうしてくれよう」


 まさかお姉ちゃんの件に、あの悪辣な犯人が絡んでいるとは思いもしませんでした。ましてや、私が遠因と言えなくもないのです。もっとも、思いっきり犯人の逆恨みだと思いますが。


「遅くともあと一週間もすれば落ち着くわい。ご両親には儂から話を通しておこう。ひよりちゃんも動くでないぞ、何となく大騒動になりそうだでの」


 そう言うと、お爺さんは笑いながら電話を切りました。


「ううう、でも、お姉ちゃんが危険なんだよね。何にもしないなんて出来るわけないじゃん。大騒動、ふ、ふ、ふ、上等じゃない、お姉ちゃんを守るためなら何だってやるよ!」


 切れた電話を片手に、私の頭の中ではどうやって相手を特定し、殲滅するか、その方法を必死に考えるのでした。

何と! お姉ちゃんに被害が・・・・・・

ただ、事件はこの後、急展開を?


ブックマーク、評価ポイントありがとうございます。m(_ _)m

面白いと思っていただけた方は、ぜひよろしくお願いします。

作者の栄養になります><


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