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33:現代に魔女っ娘ニーズはあるのでしょうか?

誤字脱字報告ありがとうございます。

 アルバイト代は10万円を除いて貯金させられたひよりです。うう、購入しようと思ってた金の延べ棒は購入を見送る事になりました、シクシク・・・・・・。


「うみゃあ~~、金を使って色々作ろうと思ったのに!」


「ひよりは前にもそう言って、ぜ~んぶ訳の分からない物質にしちゃったじゃない。あの時は銀と銅だったけど」


 部屋でお勉強をしていたお姉ちゃんが、問題集から顔を上げて私を見ます。


「あの屋久島のってこないだパソコンで見てたやつ? あのうん十万とかいうの」


「うん、ほら、古木の粗材とかだと魔力の通りとか良さそうじゃない?」


「う~ん、倉庫にいっぱいある木の棒を処理してからじゃ遅いの?」


「無くなったら嫌だもん。ほら、出会いは一期一会なんだよ? あの時買っておけばッて後悔するんだよ」


「ああ、あの時なんでこんなの買っちゃったんだろうって後悔しそうだね」


 ああ言えばこう言うみたいに、私の意見に否定的な発言をしてくるお姉ちゃん。でも、それは心配してくれてるんだって知ってるけど、思わず頬が膨らむのは止めようがないのですよ。


「色々と作りたいんだよ。ほら、前に作ったファイヤーアローが出る指輪とか凄かったでしょ?」


「あのね、あんなの使えるわけないじゃない。相手死んじゃうよ?」


「正当防衛だよ? あと、魔法は凶器に入らないから大丈夫だよ?」


「はあ、そんな訳ないじゃん」


 大きな溜息を吐くお姉ちゃん。ただ、大は小を兼ねるって言葉もあるんですよ?

 私が今まで作った物の中ではお母さんの為に作った手荒れ対策クリームや、お父さんの為に作った毛生え薬、お姉ちゃんの為に作ったけど、何故か怒られた痩せ薬など、お薬系は比較的家族には好評です。

 それなのに、護身系のアイテムは、昔ながらの真ん丸ダイヤの浄化結界や物理結界、お姉ちゃん特化の治癒魔法の効果を上げるアミュレットくらいしか評価されていないのですよね。


「お姉ちゃん、そういえば今日の学校はどうだった?」


 昨日の今日では、まだ伊集院さんの所はゴタゴタしてると思う。だから娘さんも学校には行けて無いだろうし、もしかすると呪い関係の人が学校にいるかもしれない。そう思ってお姉ちゃんに様子を尋ねる。


「う~ん、平和って言い方も変だけど、特に何もなく終わったよ? 絡まれたりもしなかったし、そういう意味で平和だったかな」


「そんなにしょっちゅう絡まれてたの?」


「う~~~ん、あの事件が起きる前まではそこそこ?」


 首を傾げながらお姉ちゃんは言うけど、今更ながらに大変だったんだろうな。


「あの事件で学校がピリピリしてるからね。私の事も気遣ってくれるし、そういう意味ではあの事件で助かったのかな?」


 机の上でシャーペンを手に考え込むお姉ちゃんを見ながら、あんな事件でも救われる部分はあったんだなって何処かほっとする。


「でもね、もう勝手に治癒魔法使っちゃ駄目だからね」


「は~~い、でもね、佳奈とかにはバレちゃってるからなあ」


「あと、新作の結界用のアミュレットは必ず持っててね。最近色々と危険っぽいの、本当は指輪とか付けれるといいのに、何で中学校は指輪禁止なんだろう」


「勉強には必要ない物だからねえ」


 クスクス笑いながら答えてくれるお姉ちゃんだけど、今ひとつ危機感は薄いんだよね。


「もう、でもね、お姉ちゃん心配だから、どっか抜けてるもん」


「が~~~ん! ひよりに言われた! もう駄目かもしれない」


「ひどい!」


 二人でギャイギャイ言い合っている内に、夜ご飯になっちゃいました。


 ご飯を食べてから手持ちの材料で何かお試しで作ってみようかと悩んでいます。木板や棒は魔力をぜんぜん蓄えないし、銅も溜めた傍から拡散してっちゃう。起点となる物で使えるのはやっぱり真ん丸ダイヤさんだけど、これも多用出来ないんだよね。誰にダイヤだって見破られるか判んないし。


「むぅぅ、カモフラージュとして使えるのはこれかなあ。でも、これを使うと何かを失う気がする」


 目の前に置かれているのは、パステルカラーでキラキラした、プラスチックの魔法少女のステッキ。アニメのお子様御用達のあのアイテム。ご丁寧にステッキの頭はハートの形をしています。以前にテレビCMで見て、本物と勘違いして凄いなあと思わずお父さんに強請ってしまった黒歴史の一品。


「でも、プラスチックって魔法まったく通さないんだよね。でも、このキラキラ部分に真ん丸ダイヤさんを加工して使えば誤魔化せそうなんだよね」


 ネットでダイヤに色を加える方法を調べて、今では色付きの宝石も作れる。ただ、純度が下がればそれだけ性能は落ちるんだよね。


「ステッキの部分に銅か銀を埋めて、宝石に魔法陣を書き込んでっと」


 使える魔力量はかつての半分にも満たないけど、それでも日々増えてる。体の成長と共にもっと増えると思うけど、今はこの魔力量で遣り繰りしないとなんだよね。


 ひよりちゃんの宝箱をごそごそして、以前に作った銅の塊と、本当にちょっと残っている銀の塊を取り出します。そして、魔法のステッキの柄の部分をじっくり観察します。


「魔力が拡散しやすいから、出来るだけ長さは短い方が良いよね。プラスチックの宝石は接着剤で付いてるのかあ。でも、下にあるLEDの電球が邪魔?」


 もともとそれ程大きなオモチャじゃない。ただ、問題はこの光ピカピカくるくる機能を残すか残さないかかな?


「意表を突くなら残す方が良いよね。でも、この部分は良く判んない」


 これ以上バラバラにすると元に戻せなくなりそうだし、電気は良く判んない。ただプラスチックの宝石は、中がすっからかんなのです。


「真ん丸ダイヤさんの中を空洞にしたら魔力を込めれないから意味無いし、思ったほど簡単じゃないなあ?」


 それでも、柄の部分に銅を線のように何本か這わせる。そして、真ん丸さんを填める台座部分を銀で作って真ん丸ダイヤさんを収める。


「何かちょっと出っ張って不格好になっちゃった?」


 銀の台座の部分をもう少し華美な形に細工すると、何とか恰好が付いたので真ん丸さんを取り外した。


「あとは何を刻むかだよね。魔力増幅あたりが無難だけど、それだと面白くないなあ」


 ごろんと床に寝転がって、真ん丸ダイヤさんを明かりに翳しながら考えますよ。魔女っ娘ステッキを態々使って魔力増幅なんてね。犠牲にした何かに比例してません。


「そもそも、これを使う状況を考えると・・・・・・ぜんぜん思いつきませんね。何で魔女っ娘ステッキ持って出かけるの?」


 ここまで作ってしまってから、根底部分で疑問発生です。


「いっそのこと、発想を変えた方が良いのかな? 防御には使わないし、攻撃かあ、このステッキで攻撃するの?」


 もしかするとヒラヒラミニスカートの変身なりきり衣装が出てきてしまうかもしれません。


 思わず身震いをしてしまいました。変身して決めポーズをしている自分の姿を思い浮かべちゃったんです。


「うん、ないわあ、精神的に死ねるね!」


 身体的な年齢でいけば行けるのかもしれません。でも、精神的に死ぬ自信があります。


「なんでこんなの作ろうとしたんだろう、わたし」


 思わず遠い目をしてしまいました。これをチベットスナギツネさんのようなと言うのでしょうか?


「ひよりは何を黄昏てって、あ! すごい! 懐かしい! 魔女っ娘ステッキだ!」


 私が手にしたステッキを見て、お姉ちゃんがすっごく嬉しそうに部屋に入って来ました。


「お姉ちゃんあのアニメ好きだったもんね」


「うんうん、ブルーサファイアが好きだったの。かっこよかったもん。でも、このステッキはピンクダイヤなんだよね」


 私の横にペタンと座り込んだので、思わずお姉ちゃんにステッキを渡してしまいました。


「ふふ~~ん、ピンクダイヤ、プリティーチェンジ!」


 ステッキを使って、座り込みながら変身動作をするお姉ちゃんだけど、これで中学2年生なんですよね。

 まあ良いのですけど、お姉ちゃんはブルーサファイヤと言うより、可愛い系のピンクダイヤですね。


「変身魔法かあ、流石に難しいなあ。でも、映像を纏わせるとかならいけるかな?」


 お姉ちゃんの楽しそうな様子を見ながら、真ん丸ダイヤさんに込める魔法を変身モドキ魔法に決めました。


「そう考えると、下に着てる服が白のレオタードって考えられてたんですね。映像と喧嘩しないですもんね」


「え? え? ひより? 何か変な事考えてない?」


「え? 考えてませんよ?」


相変わらずの、思いっきり迷走通り越して暴走していますよ!

まさかの魔女っ娘変身グッズ作成とは・・・・・・なんでこんな話になったんでしょう?

それこそ蛇少女から何となく路線が(ぇ

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― 新着の感想 ―
[一言] 「色々と作りたいんだよ。ほら、前に作ったファイヤーアローが出る指輪とか凄かったでしょ?」 何歳だったかなと、思う発言ですね。
[良い点] >>「無くなったら嫌だもん。ほら、出会いは一期一会なんだよ? あの時買っておけばッて後悔するんだよ」 あ、そっちのタイプなんですね。 僕の古い友人と同じですね。 (結婚して家を買ったので…
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