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30:蛇少女

誤字脱字報告ありがとうございます。

「ところで、蛇語とか判る人いません?」


「ふむ、残念ながらその様な面白い者は知らんのう。いたとしても、自分から蛇語を解りますという者は居らんじゃろうて」


「そうですか、残念です」


 鼻を抑えて私達を見上げる蛇少女は涙目です。鼻血を流しているのが実に何と言いますか、残念?

 お爺さんの調伏も駄目ですし、私の遠回しのその体から出て行った方が良いよ魔法も不発に終わりました。こうなると、此方の言葉を理解しているっぽいのを頼りに会話するしかありませんね。


「シャーシャー!シャーシャー!」


 目の前からベットの隅へと移動して、布団の中から頭を出して此方を威嚇する蛇少女。うん、威厳の欠片もありませんが、鼻血は止まったみたいです。ただ、明らかにこちらを警戒しています。


「ここまで大人しくなれば会話もしやすいですし、計画通りですね」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


 お爺さんは無言の眼差しで同意してくれます。蛇少女も同様に、やっと此方の会話を聞く準備が出来たようです。


「さて、貴方は蛇ですか?」


「・・・・・・まず聞くのがそれかのう」


 何を言うのでしょうか? 蛇少女と言いながら、まったく違ったら大問題じゃないですか。もしかしたら蜥蜴少女かもしれないですし、最悪は蛙少女かもしれません。


 そんな私の前では、布団から頭を出した蛇少女がコクコクと頷きます。


「良かったです。これで一歩前進ですね」


「そうかのう?」


 お爺さんが首を傾げますが、まずは相手の正体を把握するのは大事な事です。


「それで、あなたは・・・・・・雌ですか? 雄ですか?」


「何ゆえそんなに威圧感を出すのじゃろうか、ほれ、怯えておるではないか」


「お爺さん、もし雄であれば、女の子の躰に憑依するような変態は魂の欠片も残さず殲滅案件ですよ?」


 男性には判らないのかもしれませんが、躰を乗っ取られる、ましてや雄になど耐えられるものではありません。


「シャ、シャー、シャー」


「通訳はいませんか?」


「おらんのう。ただ恐らく雌だと言いたいのだと思うがのう」


コクコクコクコク


 お爺さんの言葉に激しく頷く蛇少女です。若干の疑いを残してはいますが良しとしましょう。


「で、何でその子に取り憑いたの? 何か理由があるんでしょ?」


コクコクコク


「理由が無ければ取り憑かんじゃろうなあ」


 蛇少女の様子を見ながら、ボソリと言葉を漏らすお爺ちゃん。さっきから、何かいじけてませんか? もしかして、調伏失敗がダメージになってます?


「自分でその子から出る事は出来るの?」


・・・・・・


「ふむふむ、出来るけどしたくない、そんな感じね」


 蛇少女の様子で、何となく自分から離れる事が出来そうではある。ただ、それはしたくないみたい。


「そういえば、その子の魂とか、意志とかはあるの? もしかして消えちゃった?」


ブンブンブン


「ふむ、消えてはおらんようじゃのう」


 だんだんこの遣り取りが面倒になってきている自分がいる。


「何かもう封印とかで良い気がしてきた。ほら、結界に封印して、100年くらい過ぎれば問題も先送り出来て良くない?」


ブンブンブンブン


 何か激しい勢いで首を振る蛇少女。


ドドドーーーン!


 そんな時、この屋敷を取り囲む結界が激しく揺れるのを感じた。


「何事じゃ?」


「キシャーーー!!!」


 私とお爺ちゃんはこの結界の揺れに気を取られる。そして、蛇少女は今までの態度とは一転して振動の発生源へと向け威嚇するように牙を剥く。


「これは、呪いじゃな。それも今までのお遊びな物とは違い、本格的な物じゃ」


ドドドドーーーン!


 先程と同様かそれ以上の強さで結界が揺れる。


「シャーーーーー!」


 私達の背後で、今まで以上に強い鳴き声を上げた蛇少女は全身を白く輝かせて力を振る・・・・・・おうとした。


「シャ?」


「そりゃあ、私の結界で遮られてるもん。力を外に出せるわけないじゃん」


 その間にも、このお屋敷への攻撃は続いているようで、結界は揺れに揺れています。


「シャ! シャ! シャ!」


 蛇少女が慌てた様子で何か訴えかけていますが、まあ言いたいことは大体わかります。


「そろそろ持たんかのう」


 私は、持って来たカバンから、仕方なく、本当に仕方なく、荷物を取り出しました。


「ほう、中々の大きさの水晶玉じゃな」


 取り出した荷物を覆っていた布を取り去ると、直径20センチの真ん丸ダイヤさんが顔を出します。


 ふ、わたしとて無駄に年月を費やしていた訳では無いのです。なんと、なんと! 真ん丸ダイヤさんを結合して大きくする術を開発したのです! 魔力の関係で、今の所この大きさがやっとですけどね。


「浄化結界!」


 大きい真ん丸ダイヤさんを中心に、浄化結界を展開します。この真ん丸ダイヤさんは、結合時に中に魔法陣を入れ込んだ特注品です。私の魔力をなんと3倍に強化してくれるのです! ちなみに、赤くないですよ?


「おおお、凄い力じゃな、しかし、その水晶・・・・・・何やら・・・・・・」


「我が家の家宝なのです」


「ふむ、その様な家宝があったのじゃな。ところで、それ本当に水晶・・・・・・」


「我が家の家宝なのです」


「む、うむ」


 余計な事は口にしてはいけないのです。何とかも蟻の一穴からなのです。お姉ちゃんからは、絶対に他人にバレたら駄目って言われているんです。


カッキーーーーン!


「あ、跳ね返った」


 私の浄化結界が内側から広がるタイミングで運悪く攻撃が来たために、何か呪い返しみたいな感じで跳ね返って行ったのを感じました。決してホームランした音では無いのです。


「あれ程の呪いじゃ、返されれば唯では済むまいのう。はてさて、難儀な事よ」


「人を呪えば皿二つですよ?」


「皿では無いと思うがのう」


「あ、あのう、ありがとうございます」


「「ん?」」


 お爺さんと、一旦屋敷の外に様子を見に行くべきかと話をしていると、思わぬところから声がしました。


「あ、蛇じゃない少女がいる」


「ほう、憑き物が落ちておるな」


「これって成功で良いのかな? アルバイト代貰える?」


「さてのう、原因が判らねば再発するじゃろうし、蛇神様はどこかの?」


「え~~~、むう。結界あるから此処から出て無いと思う。蛇さんどこ~~~」


「え、あ、あの、出来ればお話を聞いていただければ」


 少女そっちのけで部屋の中で蛇を探す私とお爺さん。そんな私達をベットの上から戸惑った表情で見る少女。そんな良く判らない光景が、数分続いたのち、漸く私は蛇さんを見つけた。


「あ~~~! あそこにいる! 魔力感じるから間違いないけど、あそこは卑怯だ!」


「ほう、なるほどのう。しかし愚僧にはいささか刺激が強いのう、ほっほっほ」


 私が視線を上げた先、少女の年齢にそぐわない豊満な胸元にある蛇のブローチ、そこから明らかに魔力が感じられた。


病み上がりの為、文字数が少なくて申し訳ありません><

お腹の調子が悪いと、気力が湧いてこないんですよね・・・・・・


皆さんもお体お大事にしてください。


とりあえず、執筆再開です。

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