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23:芸能界は興味は無いですよ?

誤字脱字報告ありがとうございます。

 私の推しに対し、失礼な発言をしたシャチホコテレビの人は、ふと腕の時計をみました。


「そろそろ上のお嬢さんも出てくるかな? 茶番は此処までにして、ぜひ此方をご覧ください」


 そう言って差し出されたのは、タブレット端末です。そして、そこには苦笑を浮かべた榊さんが映っていました。


「伊藤さん、午前中ぶりです。少々やっかいな事になっていまして、知り合いに頼んでお迎えに上がらせました。一応、本当にテレビ局の者ですのでご安心をというのは変ですかね」


「あの、これは録画じゃないのです? 今どきはすごいですわね」


「はい、まあテレビ電話と思ってください」


「お母さん、今どきって」


 私とて、今更こんなので驚かないですよ。ただ、榊さんが何でという疑問で思考がとまっています。


「ちょっとマスコミのテレビが一緒の方が安全そうなのでね。厄介な連中が動き始めているみたいでして、

ご自宅の方は高野派のお爺さんが動いてくれたので今は安全を確保しています。私が行ければ良かったのですが、ちょっと雑用がありまして」


「はあ」


 厄介な連中ってなんでしょうか? あまり聞きたくないのですが、そもそも此方の動向がバレバレなのが怖いですね。


「あれ? お母さん達、えっと、テレビ? もしかして映っちゃう? 全国デビュー?」


 後ろから声が聞こえてきて、振り返ると大きなリュックを持ったお姉ちゃんが立っていました。

 ただ、まさかテレビカメラと一緒にいるとは思っていなかったのか、お姉ちゃんも混乱しています。でも、しっかりカメラの死角へと移動するのはテレビに映りたくないのかな?


「お、これで揃われましたね。では、あちらのミニバンへ移動願います」


「怪しいとは思いますが、安全にご自宅までお送りしますので」


「そうねえ、小春ちゃん、ひよりちゃん、行きましょう。ここにいても目立っちゃうだけだわ。その方が危険だと思う」


 榊さんがタブレットからそう言いますが、それでも付いて行って良いのか悩みます。でも、お母さんは周りを見回して、さっさと移動を開始しました。


 いつの間にか用意されていたミニバンには、思いっきりシャチホコテレビの文字とロゴが印刷されています。これってコソコソする気はまったくないですよね、周囲から目立つのなんのって。もっとも、そのお陰でちょっと何か安心出来ますけど。エビフライを咥えたシャチホコの絵のせいでは無いですよ。


「あ、シートベルトをお願いします。これから、伊藤さんのご自宅まで移動します。特に何も起きないとは思いますが、一応の用心をお願いいたします」


「あ、今更ですが自己紹介を、シャチホコテレビ報道部の川瀬と申します。カメラを持っているのは木之瀬、荷物係は鬼頭、そして、運転手は坂本と申します。短い間ではございますが、お寛ぎ頂ければと思います」


「なんか、テレビの人っぽくないね」


「うん、ぜんぜん違うね、なんかチャラい」


「そうねえ、シャチホコテレビなら安藤アナウンサーが良かったわ」


 お母さん一押しのアナウンサーさんですか、言われても私には誰か判らないですけどね。


 その後も川瀬さんは私達の感想なんか、まったく気にしない様子で話を続けます。というか、私たちの事まったく気にしてなくない?


「我々テレビ局は、何かと怪しい事件なども追いかけますので日々危険に曝されている訳です。中には霊に憑りつかれたり、呪われたりと少々厄介なことも、そこで必要なのが繋がり、コネ、人脈なんですよね。有ると無いとで、それこそ自分の命が助かる可能性が大きく変化するのですから」


 うん、榊さんとの繋がりを説明し始めた川瀬さんですが、確かになるほどと思わされます。


「今回のテレビ局によるマスコミ報道は、ネットの情報を有耶無耶、曖昧、悪く言えば胡散臭くする為のものです。一般の人達は、魔法だ、霊能力だ、超能力だとテレビで騒げば騒ぐほどインチキに見えますからね。ただ、今回は残念なことに、その思考誘導に失敗いたしました!」


「えっと、胸を張っていう事じゃないんだと思うんだけど」


「そうだね、失敗を誇っちゃ駄目だよね、反省しないと」


 お姉ちゃんと私で思いっきり突っ込みを入れます。ちなみに、お母さんは先ほどから川瀬さんの演説ガン無視で榊さんとお話ししています。


「いやあ、原因は我々テレビのせいじゃ無いんですよ。思いっきり警察のミスですね。馬鹿な連中があの強盗を使おうとして2回もミスしたんです」


「え? 2回? 襲われたのは確かに2回だけど、あれ?」


 何でかお母さんとの買い物先に、あの強盗が居たのは驚きました。強盗を逃がしたのは、確かに警察のミスですが、もう1回は何?


「そもそも、伊藤家にあの強盗を誘導したのも警察です。ただ、予想以上に浄化された地域で、警察に所属している霊能力者では制御が出来なくなった。瘴気を利用した傀儡の術ですから、コントロール出来なくなった段階で、浄化に反発して伊藤家を襲ったのでしょう。これが一回目ですね」


「え? 家を襲ったのも警察がやったの?」


「ええ、伊藤家の正体を探るための、言うなれば何でしょう、生贄? う~ん、違うかな?」


 私の質問に、あっさりと聞きたくない返事が返ってくる。


「一回目は良かったんですよ、あの時の我々マスコミは、普通にワイドショーで騒いでいましたから。犯人が空を飛ぼうが、あんな遠目の映像では何ともですからね。ただ、2回目のは不味いですね。あれもしっかり映像に残っちゃったんですよね。目撃者だけならまだ良かったんですが、たまたま撮影出来た人が、ネットに張り出して、絶賛拡散中ですよ。おめでとう、全国デビュー?」


「え? あれ、映像に出てるの?」


「テレビではやってないよ?」


 私達それぞれの反応に対し、テレビ局は自粛しているとの事。まあ私たちは一般人で、犯罪被害者ですから。


「そこで、此処からが問題というか、主題となりますが。今、あなた方を大きく分けて2つの種類の者達が狙っています」


「二つの集団じゃなく種類? 意味が判んないのだけど」


「そうですねえ、種類といいますか、まあ大きく分けてですが、一般の人と、一般じゃない人ですかね?」


「「「???」」」


 川瀬さんの言葉に、私とお姉ちゃんは揃って首を傾げた。


「なんでもね、一般の目立ちたい動画投稿者と、一般じゃない動画投稿者ですって」


 榊さんとのお話が終わったのか、お母さんが漸くこちらの会話に参戦した。


「マスコミと呼ばれる僕達って、意外と制約や取り決めに縛られているんだよね。そう思われないかもしれないけど」


 そこからの話は、何やら愚痴を多く含んでいましたが、要約すると暫くはシャチホコテレビが密着するという建前で、ネット系動画配信者の行動を制限してくれるらしい。テレビ局がいると余計に目立ちそうなんだけど、どうもそうでは無いみたい。良く判んないね。


「まあ、冗談抜きで、ひよりちゃんや小春ちゃんが芸能界に興味があるなら紹介するよ? 事務所次第では、良い壁になって守ってくれると思うけどね」


 最初っからこの川瀬さんには悪意が感じられなかった。だから、今の話も本当なんだと思うけど、きっと話していない事もいっぱいあるんだろうね。


 ただ、そうこうしている間に、我が家が見えてきます。


「では、お忘れ物の無い様に、今一度、身の周りをご確認の上、下車願います」


 うん、最後まで軽いですね、わざとなんでしょうけど、どこか信用できなく感じてしまうのは川瀬さんのせいですよね。


「ご苦労様、こっからはうちの利権が入るからね」


 車から一番に降りた川瀬さんが、周りに待ち構えていたカメラを持った人達にそう声を掛ける。

 それだけで、恐らくマスコミだろう人達が、カメラを片付け始めるのでびっくりします。


「シャチホコさん上手くやったね。こっちにも映像回してよ」


「う~~ん、何とも僕からは言えないなあ。それに、被害者サイドだからね、こっちは。容疑者の方はもっといっぱい向かってるんでしょ?」


「まあね、こっちの映像が使えるかは確かに微妙かあ」


「どう? やっぱり沸いた?」


「まあねえ、俺達が言うのも変だけどさ、プライバシーなんて無いも同然だな」


 川瀬さんは、他のテレビ局っぽい人と会話をしています。で、私達はその間にいそいそと自宅の門を潜って家に入りました。でも、最後の方の言葉が耳に残りました。


 私達に続いて、川瀬さん達も家に入ってきます。でも、そういえばお爺さんの所の人が警備してるんじゃないのでしたっけ?


「あれ、警備の人っていないよ?」


 私が疑問に思って、川瀬さんに尋ねました。


「ああ、榊さんが言ってたやつかな? そっちは僕じゃわかんないな。でも、あの人嘘は言わないから、どっかに居るんじゃないの?」


 なるほど、良く判りませんね。

あう、ちょっと投稿時間が遅れました。

ふと思いついた話に大幅変更したので、思いっきり修正を・・・・・・


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